ホンダ、知財管理にAI導入---維持に関する業務量を7割減

ホンダの特許保有状況
ホンダの特許保有状況全 3 枚

ホンダは、特許など知的財産権の管理業務をAI(人工知能)で行う手法を2019年に導入し、権利の維持についての判断業務量を、従来比で年70%削減することが可能になったと明らかにした。

知的財産に関する報道関係者向けの説明会を7月30日に本社で開き、公表した。ホンダは世界で約5万件(19年時点)の特許を保有している。外部企業のデータを基にした特許資産の社内統計では19年までの10年間、常に日本企業での上位10社に入り、かつ自動車メーカーではトヨタ自動車に次いで2番手につけている。

ただし、特許は各国の特許庁に毎年維持費用を支払う必要があり、支払わないと権利は喪失する。特許を維持するか否かの判断業務は従来、年間で延べ約150人が従事、維持費用は数十億円にのぼっている。さらに国・地域別の特許件数では日本(43%)、北米(24%)、欧州(14%)で8割強を占めているが、今後は現在9%で4番手の中国の増加が確実で、管理業務の広がりや増大が予測されている。

こうした背景からホンダの知的財産・標準化統括部は、18年にAIの活用に向けた開発に着手し、翌年に導入した。(1)当該市場の状況、(2)競合企業との関係、(3)特許の技術レベル―など、多岐に渡る判断パラメーターによってAIが、維持する特許と捨てる特許を判断する仕組みを構築した。

保有特許全5万件について、AIと人手による維持か否かの判断結果を比べると、一致率は85%だったという。同部の別所弘和統括部長は「100%でなくても十分な一致率。AIが不要としたものを人間が再度判断するハイブリッドの方式とした」と説明する。AIと人手の協業により、判断の業務量は70%削減できることとなった。これによって、人手は「より戦略的な判断業務に集中」(別所氏)していくという。

別所氏は、AIの活用領域をさらに増やし「幅広い業務改善に積極的に活用する」と強調している。業務改善によって、知財部門の重要な役割である「技術者がいい発明を気持ちよくできる環境づくり」にもつなげる考えだ。

《池原照雄》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 王者アルファードを超えるか? メルセデスベンツの次世代高級ミニバンに熱視線!「車の域を超えてる」
  2. 軽自動車よりも小さい! 15歳から運転できるオペル、約132万円から販売
  3. 【スズキ ジムニーシエラ 新型試乗】「ノマド」にも期待が高まる、実に楽しいクルマ…島崎七生人
  4. トヨタの新型『RAV4』、SNSでの注目は「GRスポーツ一択」 ファンの気掛かりは…
  5. 新たな高級車ブランド誕生に熱視線!BMWベースの斬新デザインに「これはカッコいい」
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  2. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  3. シェフラーがヴィテスコ合併後初の出展、ポートフォリオ拡大と顧客対応力をアピール…人とくるまのテクノロジー展2025
  4. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
  5. 大日本印刷がカーシェア事業に参入、琉球日産と提携しマンション向けに
ランキングをもっと見る