東武SL列車が増発へ、日光線にもC11形蒸気機関車---鬼怒川線での運用との違い

東武日光駅に入線したSL大樹 C11形207蒸気機関車
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東武日光線に、国鉄C11形蒸気機関車が走り出す。運転区間は下今市~東武日光の7.1km。17~23分かけて走るその列車名は、SL大樹「ふたら」という。

東武鉄道で蒸気機関車列車「SL大樹」が、鬼怒川線下今市~鬼怒川温泉間12.4kmで走り始めて3年が経った今年、いよいよ東武日光へ乗り入れることになった。SL大樹「ふたら」は、JR北海道から借りているC11形207号機と、真岡鐵道から導入したC11形325号機が、上り勾配が続く下今市発~東武日光着の列車をけん引する。

客車はJR四国・JR北海道から譲受した14系客車3両。その後ろからJR東日本から譲り受けたDE10形ディーゼル機関車1099・1109号機がプッシュする。蒸気機関車・ディーゼル機関車ともに重連ではなく、どちらか1両が担う。

8月5日に行われたデモンストレーション走行では、東武日光寄りからC11 207+ヨ8634+スハフ14 1+スハフ14 5+DE10 1099 という編成で東武日光駅4番のりばにつけた。気になるのは、その走り。東武鉄道の乗務員に聞いてみると、おもしろい話題が聞けた。

20パーミル前後の連続勾配が続く日光線の“走り”

東武日光駅に入線したSL大樹 C11形207蒸気機関車「日光線 下今市~東武日光は、最大25パーミル(水平距離1000対高低差25)の勾配がある。鬼怒川線の運転区間には最大35パーミルの勾配があって、鬼怒川線のほうがきつそうにみえるけど、日光にむけてずっと20パーミル前後の上り勾配が続く日光線のほうが、電車も蒸気機関車もきつい。だから煙もずっと吐き出す」

SL大樹は、鬼怒川温泉に転車台(三次駅の転車台をJR西日本から譲受)を設置して機関車の向きを逆転できるので、往復で蒸気機関車の位置と向きを変更する。しかし東武日光折り返しのSL大樹「ふたら」の場合は、東武日光に転車台がないことから、往路の編成そのまま、DE10形ディーゼル機関車を先頭に折り返す。「返しは、東武日光を離れるときに、DE10形ディーゼル機関車の出力をちょっと入れるだけ。あとはほぼブレーキをきかせて坂を下っていく。C11形蒸気機関車の出力はほぼカットして、ぶら下がって坂を下る感じ」

Google マップでみてみるとたしかに、標高380mの下今市から、540mの東武日光まで、ほぼ一定の傾斜角で上り勾配が続いているのがわかる。高低差160メートルを7.1kmで上ると考えると、平均およそ22.5パーミル勾配となる。

2022年にはC11形3両体制に

東武日光駅に入線したSL大樹 C11形207蒸気機関車そんな道のりだからか、鬼怒川線を行くSL大樹のように毎週走るとはいかない。まずは10月3日に東武トップツアーズ(東武旅倶楽部)で団体ツアーを実施し、その後の2020年度の間は、月1回の運転をめざす。

また12月からは、もと真岡鐵道のC11形325号機が営業運転に入り、207号機と325号機の2両体制て運用。2021年1月から同年夏まで207号機が検査に入ることから、325号機がこの期間のSL列車を担う。207号機が工場を出場する2021年夏からは、C11形2両による本格運用を始め、207号機と325号機で下今市~鬼怒川温泉を毎日運転させる構え。さらに、2021年冬には日本鉄道保存協会から譲受した蒸気機関車C11形(江若鉄道発注のC111)の復元作業が完了するということで、2022年からの東武鉄道 蒸気機関車列車はさらにバラエティ豊かになると予想される。

列車名は、男体山のかつての呼び名「二荒山」に由来

ちなみに、SL大樹「ふたら」はの名の由来は、日光の地名の由来ともなった男体山のかつての呼び名、二荒山(ふたらさん)から。「鉄道産業文化遺産であるSLとともに、奥日光の雄大な自然や世界遺産「日光の社寺」等の威風堂々としたその姿を感じてほしいという想いを込めた」(東武鉄道)という。ヘッドマークは、男体山とそのシンボル「大剣」(たいけん)を大きくデザインし、左右には風を切るような躍動感をイメージした雲を配置した。

新たなフェーズに入る東武鉄道の蒸気機関車列車。8月5日のデモンストレーション走行公開時に、東武鉄道関係者に「たとえばいま2両あるDE10ディーゼル機関車がけん引する客車列車を、浅草~東武日光・鬼怒川温泉を定期列車で走らせてほしい」と子どものように話しかけたら、「安全面や保安装置、ダイヤ設定などでいろいろハードルが高い、高すぎるけど、走ったらおもしろい」と返してくれた。

《大野雅人》

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