【スバル レヴォーグ 新型】インフォテイメント系はデンソー、地図データはトヨタマップマスター製

新型レヴォーグ STI Sport EXの運転席周り(写真はプロトタイプ)
新型レヴォーグ STI Sport EXの運転席周り(写真はプロトタイプ)全 12 枚

新型スバル『レヴォーグ』に乗り込んで、真っ先に目に飛び込んでくるのがダッシュボード中央の大型ディスプレイだ。さらにエンジンをONにするとメーター内ではスバル初のフル液晶メーターが表示される。いずれも新たなオプション「アイサイトX」の選択で装備される注目のシステムだ。

インフォテイメントシステムの開発はデンソーが担当

この「アイサイトX」は新型レヴォーグの全グレードに+35万円でメーカーオプションされる。高速道路での「渋滞時ハンズオフアシスト」や、「ドライバー異常時対応システム」など、先進安全運転支援システム(ADAS)系オプションとして注目される一方、このディスプレイ関連の充実も「アイサイトX」の大きなポイントとなっているのだ。さらにスバルのコネクテッドシステム「STARLINK」にも日本で初めて対応し、緊急時のヘルプ体制を整えた。なお、このシステム開発はデンソーが担当した。

ダッシュボード中央の型ディスプレイの画面サイズは11.6型のタテ型。画面内には各機能がアイコンとして表示されており、そのスタイルはタブレットそのもの。アイコンの配置も自由に並び替えられ、使う頻度が高いものを右側に集中させることもできる。並べ替えの方法も、アイコンを長押しして移動をアクティブにしてドラッグするだけだ。この辺りもタブレットと同様の使い方ができ、スマートフォンに慣れ親しんでいる人ならすぐに使いこなせるだろう。

このディスプレイでは車両側のADAS機能の設定も行える。たとえばアイサイトの車線逸脱警報やステアリング連動ヘッドライトのON/OFFなどが設定でき、他にも多彩な機能を対象としている。このディスプレイで設定することで新型レヴォーグが自分好みの設定で使えるようになるのだ。

このディスプレイを上下で挟み込むように装備されたのが、上側に用意されたマルチファンクションディスプレイ(MFD)と、下側のエアコン用ディスプレイで、双方とも専用ディスプレイとなる。さらにシステム電源のON/OFFをはじめ、ボリュームやミュート、エアコンの温度UP/DOWN、デフロスターなどはハードキーとして用意された。オーディオのボリュームは回転式で調整がしやすいし、エアコンにしても上下のシーソーキーとなって確実な操作感をもたらしているのは使い勝手の上からも好ましい。

地図データはマップマスター製。更新は「全更新」「差分更新」の2通り

スマートフォンとの連携ではApple CarPlayとAndroid Autoのいずれにも対応を果たしている。これを使えば、それぞれのアプリ上で設定した目的地を反映できるようになり、クルマに乗り込んでから設定するという煩わしさはなくなる。ただし、いずれのアプリを展開するときはシステムと切り離され、測位もスマートフォン側のGPSだけとなる。一方で、アプリで探した目的地の座標をカーナビゲーションに転送できる「NaviCon」には対応しなかった。多くのナビが対応している中でこの対応はちょっと残念に思う。

カーナビゲーションで使う地図はトヨタマップマスター製を採用した。地図更新にも対応するが、システムに通信機能を備えなかったため、手持ちのスマートフォンをテザリング接続することで可能となる。地図更新は全更新と差分更新の2通りがあり、差分更新はおそらくトヨタ製ナビと同様に主要道路などは早いタイミングで更新すると思われる。ちなみに、「アイサイトX」で使う3D高精度マップはナビゲーションの地図とは別に備えており、こちらの更新はディーラーにて年4回ほど行うことになるそうだ。

気になるのは地図データの更新費用で、カーナビ用地図についてはおそらく差分更新は無料で、全更新は有料となるのではないか。この辺りについて担当者は「詳細は未定だが、おそらく最初の一定期間は無料で更新でき、その後は有料になるイメージでいる」と話した。この辺は正式な発表を待ちたい。

「アイサイトX」を選択して加わるもう一つの機能がメーター内に収まる12.3インチのフル液晶メーターだ。この採用によって、好みに合わせて表示が選べるようになった。一般的な2眼メーターをはじめ、ナビゲーション機能も備えた地図、アイサイトの制御状態をメインとした表示の3種類を備え、好みに応じて切り替えられる。その表示はいずれもデジタルっぽさがなく、自然な感じで表現されているのは好印象。なお、地図表示のスケールは固定となるとのことだった。

コネクテッド機能は「SOSコール」と「iコール」にのみ対応

このシステムでは、「STARLINK」による「SOSコール」にも対応した。そのために専用の通信機を備え、エアバッグが展開するようなアクシデントに見舞われたときは、自動的にコールセンターにつながり緊急車両やドクターヘリなどの要請を代行してもらえる。また、前席の頭上には専用ボタンを装備されており、体調不良などで運転が困難になったときもSOSボタン(赤いボタン)を押すだけでコールセンターにつながる。一方、車両の故障時などで助けを求めたいときは青い“i”ボタンを押すと「iコール」としてアドバイスが得られ、ロードサービスの手配もコールセンターがサポートするという。

一方で、音声認識機能はネットワークには接続せずシステム内で行う。そのため、目的地を探すには階層を順番に掘り下げていく形となり、一発で目的地を告げて検索してくれるフリーワード検索には対応していない。せめてスマートフォンを接続したときぐらいは実現して欲しかったのだが、担当者によれば「今回はそこまでは対応できなかった」と話す。ならば「NaviCon」に対応するとか、スマートフォンで探した目的地を転送できるようにすれば使い勝手はかなり解決できるのではないだろうか。

とはいえ、レヴォーグではこれまで専用ナビをディーラーオプションで対応するにとどまっていたが、新型ではメーター内のフル液晶メーターや大型ディスプレイによるインフォテイメントシステムを採用するなど、従来とはまったく別世界を築いたとも言える。その進化ぶりは画期的ともいえるものだ。機能的にはまだ物足りない部分もあるが、スバルは年次改良で見違えるような進化を遂げることが多い。今後はSTARLINKを活かした、さらなる進化を期待したい。

《会田肇》

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