地盤に充填材を注入して強化へ---相鉄・東急直通線新横浜トンネル陥没事故対策

新横浜トンネルの坑内切羽における掘進状況。
新横浜トンネルの坑内切羽における掘進状況。全 6 枚

独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)東京支社はこのほど、相鉄・東急直通線新横浜トンネルの掘削工事による道路陥没事故の再発防止策を公表した。

新横浜トンネルは、仮称・新横浜駅と仮称・新綱島駅を結ぶ全長3304mの円形地下トンネルで、前面の土砂崩壊を防ぎながら筒状に掘削するシールドマシンを使う「シールド工法」で建設が進められており、6月12日に発生した陥没事故までは新綱島駅~横浜アリーナ手前付近間の掘削が完了していた。

この事故を受けて、鉄道・運輸機構では「神奈川東部方面線新横浜トンネルに係る地盤変状検討委員会」と題した第三者委員会を設け、6月24日から4回にわたり原因究明や再発防止策を検討してきた。8月2日に開催された4回目の委員会では、再発防止の計画などが策定され、道路管理者や交通管理者らから確認を得られたとして、9月2日にトンネル掘削を再開。最後まで車線規制が行なわれていた歩道側1車線も規制解除された。

公表された再発防止策によると、掘削が完了している区間については、環状2号線直下区間で地盤に穴を開けて行なう「探り削孔(さっこう)調査」を実施し、地盤が弱い箇所に充填材を注入し強化した。

陥没発生時の様子。2回発生しており、左が6月12日に発生した時の様子、右が6月30日に発生した時の様子。陥没発生時の様子。2回発生しており、左が6月12日に発生した時の様子、右が6月30日に発生した時の様子。

その他の掘削済み区間については、陥没箇所とは地層が異なること、トンネルが深い箇所に位置することから陥没の危険性はないとしながらも、慎重を期すために過去の掘削データを再検証。その結果、「空隙(くうげき)」と呼ばれる、地層のすき間が発生していないことが確認されたという。工事実施前から地盤変状などの監視を行なってきた地盤変動監視委員会による、より詳細な計測でも同様のことが確認されているとしている。

鉄道・運輸機構では、今後掘削を進める横浜アリーナ手前付近~新横浜駅間については、地盤の空隙が生じないための対策を施すとしており、すでにボーリング調査により地質状況を把握。続いて、シールドマシン掘削面付近の土圧の適切な管理、土砂取り込み量の正確な把握、「裏込め注入」と呼ばれる、空隙を埋めるためのモルタル材注入における適切な管理を行なうとしており、土砂を取り込み過ぎた場合には、トンネル内から速やかに充填材を再注入するとしている。

陥没のメカニズム。シールドマシン上部に「空隙」と呼ばれるすき間ができた関係で、その上からの土圧に耐え切れず、地層が崩落し陥没につながった。陥没のメカニズム。シールドマシン上部に「空隙」と呼ばれるすき間ができた関係で、その上からの土圧に耐え切れず、地層が崩落し陥没につながった。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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