【コンチネンタル VikingContact 7 試乗】スタッドレスタイヤの価値観が変わるトータル性能… 飯田裕子

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コンチネンタル VikingContact 7
コンチネンタル VikingContact 7全 41 枚

150年に及ぶ歴史を持つコンチネンタル社

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150年に及ぶ歴史をドイツ(ハノーバー)で築いてきたコンチネンタル社。黎明期から4輪の馬車や2輪車用ソフトラバーやソリッドタイヤなどの製造に取り組み、近年はグローバルメガサプライヤーとして成長を遂げている。なんと自動車部品で開発に携わっていないのは鉄板とガラスくらいなのだとか。

“Safety First”を企業哲学とする同社だが、注目して欲しいのは150年におよぶその歴史はタイヤを始めとするゴム製品の開発からスタートしていることだ。そのため世界のメガサプライヤーのなかで唯一タイヤを扱っており、タイヤ開発部門と制御システム部門で連携がとれることは同社にとっては大きな強み。これはユーザーにとっては頼もしく思えるのではないだろうか。欧州車の標準装着タイヤのシェアはなんと約1/3で、さらにタイヤショップや量販店などで購入できるリプレイスタイヤのバリエーションも豊富だ。

雪や氷はもちろんのことシャーベットやウェット性能にも強いVikingContact 7

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今回試乗したスタッドレスタイヤもそのひとつ。2018年9月に登場したVikingContact 7(バイキング・コンタクト・セブン=以後VC7と略)は“あらゆる冬道を支配”をコンセプトに開発された同社のフラッグシップ・スタッドレスタイヤに位置づけられる。

その特徴は従来製品であるContiVikingContact 6に比べ雪や氷に対しての性能が向上しているのはもちろんのこと、これまでスタッドレスタイヤの弱点とされてきたシャーベットや雨の路面における走行安定性が新たに備わっている点だ。

コンチネンタルタイヤは日本で“雪国”と一言でまとめられてしまう北海道、秋田、新潟の気象傾向や雪質を含む路面状況を調査。北海道は雪や氷に効く性能がとくに求められるが、秋田は水分を多く含む重たい雪質が特徴で、海に面した新潟などは案外、冬期も雨量=ウェット路が多いという違いに注目した。さらに近年の気候変動も考慮すればいわゆる雪国に限らず様々な冬道で有意義な性能を発揮するスタッドレスタイヤとなっているのだ。

さらにコンチネンタル社としての強みを活かすタイヤ開発にも触れておきたい。コンチネンタルタイヤはコンチネンタル・オートモーティブというABSや横滑り防止装置(ESC)などの電子制御技術開発を行う部門と連携しタイヤを開発している。同社はドイツに完全自動化された屋内ブレーキ施設を所有し、様々な気象条件下を想定した再現性の高い試験が24時間365日無人で行えるという。ここでVC7はもちろん、様々なタイヤやブレーキシステムの開発が行われているそうだ。

コンパウンドとパターン、3Dサイプが織りなす抜群の性能

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そんなVC7の特徴は低温/ウェット路でも優れたグリップ性能を実現するコンパウンド。そしてウェット路面の排水、排雪性能向上させた特徴的なパターン。さらに雪道を走行する際、雪をしっかり掴む雪中せん断力を効果的に高め、摩擦力=グリップ力を稼ぐ3Dサイプという3点

コンチネンタルタイヤのノルディック・コンパウンドにはゴム以外にも様々な充填剤(化合物)が配合されている。低温でグリップ力を維持し転がり抵抗の向上も担うアクティブグリップシリカやゴムを柔らかく保つ柔軟剤として菜種オイルを採用。これにより、柔軟で低温/ウェットに優れたグリップ性能を実現している。

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VC7との初対面で驚かされたのがインテリジェント・パターンと名付けられたトレッドパターン。中央部にトランプのダイヤのようなパターンが左右対称にキレイに並んでいるこれはまさにVC7の特徴である排水、排雪性を体現している。

「どの部分に雪や水があっても最短距離で排出できる、これを狙ったのがVC7です」と担当者は太鼓判を推す。タイヤの中央部から水やシャーベット状の雪をエフィシエント・グルーブ・ネットワークと呼ぶ“溝ネットワーク”により一気に排出することができるのだという。タイヤは縦溝(ストレートグルーブ)の排水効率が一番いいとされているが、むしろ45度より浅いV字なら溝の体積は縦溝より多く、より大きな排水、排雪効果が得られるのだそうだ。

ではなぜ近年の市販タイヤでV字が減っているのか。これはABSとの相性を配慮してのことだという。コンチネンタルタイヤの場合は専用ブレーキテスト施設でこのV字パターンでもABSの効果を最大限活かせることが確認されている。そこでV字溝を復活させることができたのだった。

さらに補足をしておくと、このV字のような鋭角なブロックでも高いブロック剛性を保たれている。その高さを速度レンジで表すと国産スタッドレスの一般的な速度レンジがQレンジ=160キロなのに対し、VC7が生まれた欧州はTレンジ=190キロまでの対応が求められる。故に剛性の高さも必然なのだ。

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最後は積雪路や凍結路の性能の強化を実現させた二つのテクノロジーの組み合わせだ。V字パターンの両サイドには厚さが異なる細かいギザギザカット(=3Dサイプ)が施されている。ここに雪を押し込めて摩擦を稼ぎ雪上性能を強化。またワイパーブレードのようなエフェクティブ・アイスエッジが雪上ではエッジ効果を、氷上では水分を掃きながら走行に有効な接地面積を増やし、雪上、氷上でのトラクションとブレーキ性能を向上させている。VC7ではこれらをアドバンスドグリップ・コンセプトと呼んでいる。

気温摂氏-3.5度の北海道紋別市でVikingContact 7 をインプレッション 

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VC7の試乗は北海道紋別市内近郊の市街地とコンチネンタルのテストコースで行われた。試乗車はメルセデスベンツ『C180』の2WD(FR)。4WD仕様でない理由は「4WDではタイヤの真の性能を体感してもらえないだろうから」とのこと。この雪国でFRとは少々不安があったと言えばウソではない。が、今回、これまでで最もCクラスが良くできたクルマであることを実感できた試乗となった。

初日午後の天候は曇りから視界を悪化させるほどの雪に変わり、路面は積雪状態に。試乗開始直後の乾いたアスファルトの上ではよく整備された路面を走っているような乗り心地と静粛性の高さがとにかく印象的だった。低速でのブレーキのシットリとした踏み応えとコントロール性はワンクラス上の上質さが安心感とともに得られた。

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次第に降り積もる雪の上ではとにかく雪を踏む音がいい。ギュウギュウと音を立てて踏みしめているのが分かる。と同時に交差点などでハンドルを操作すると積雪のためやや重めに感じられるが、路面の雪をしっかりと捉える手応えでリニアな応答をしてみせてくれた。

発進は平坦路、そして登坂路でも試してみた。タイヤが路面の雪を噛んでスムーズに発進することもあれば、ESC(=横滑り防止装置)などの電子制御に助けられることもあったが、市街地での走行安定性と安心感は十分に体感できた。

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翌日はテストコースでの試乗後に再び一般道を走行できた。お天気に恵まれすぎて凍った轍と積雪が溶けてベシャベシャになったシャーベット路、そして日当たりの良い場所では完全なウェット路を走行した。

轍を横方向に移動してみる。目に見えている形状に対して足下の当たりは滑らかだが、どんな路面を走行しているのかは分かりやすかった。シャーベット路とウェット路は正直に言って、スタッドレスタイヤを履いていることを忘れてしまった、と言ったら性能の高さをご理解いただけるかしら。速度は決して速くはないけれど、タイヤの骨格や断面から伝わってきているのであろう剛性感が高い。しかし走行フィールはしなやかで運転席から感じ取れる手応え/足応えの確かさとの相乗効果は市街地試乗だけでも十分に感じられたほどだ。

テストコースでストイックに雪上、氷上走行性能を試す

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とは言えメルセデスの良さまで総評が発展したのはテストコースでよりストイックな試乗もできたからこそ。コースでのテストメニューは50R/100Rの円旋回。そして30km/h程度で氷上での制動テスト、雪上スラロームだった。

いまこうして原稿をまとめていても円旋回のコーナリング時の優れた走りが蘇ってくる。円旋回はハンドルをずっと切った状態が続く。タイヤは直進時のような縦方向ではなく斜め横方向の性能が求められるシチュエーションになる。アクセルの踏み方を変えて外に膨らませてみたりお尻を出そうとしてみたりするのだが、総じてタイヤの横方向のグリップ力の高さと変化ぶりがリアルに伝わってくる。

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さらに驚かされたのがESC/ONの状態での自然かつ安定したドライブフィーリングだった。一般的な制御は、タイヤが滑り出して制御するときにタイムラグが生じ、制御が入るとグッグッとかグギーッ、グギーッなどの音と、ブレーキも活用して姿勢を抑える際の大なり小なりの制御衝撃が発生する。これまではそれを制御していると判る“合図”だと感謝していたくらい。

しかしVC7を履くC180はESCが介入するようなシチュエーションでも制御も含め、ともすれば気づかないほどに安定かつ滑らかにコーナリングが可能だった。これがコンチネンタル社のタイヤ開発と車両制御技術開発が協調して生まれる安心感と安定感なのかと正直、驚かされた。念のために申し上げておくが、どんなに優れたタイヤにも電子制御デバイスにも性能限界があることだけはお伝えしておきたい。

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ESC/OFFも走りやすい。いわゆる過渡域=タイヤが滑り始めてから続くモーションが、いきなりスパーンと滑ってしまうような唐突な挙動ではなく粘る感覚があり、ドライバーには対応するための安全マージンになる。

氷上のブレーキ性能と雪上の高速スラロームはどうか?

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ウェット/シャーベットでの性能が大きな魅力のVC7。しかし多くのユーザーが求めるスタッドレスタイヤの性能と言えば氷上でのブレーキ性能である。VC7はこちらも先代モデルに対し向上しているという。

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晴天の下、昼近くの氷盤路の状態は刻々と変化する。気温上昇とともに氷が解け、当然のことながら制動距離は伸びはするものの、30km/hからブレーキを踏み始め制動を開始する際の制動感の確かさに変化なし。ABSが作動する急ブレーキを踏み続けながら障害物を避けるようなハンドル操作を行っても、反応はいい。

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最後に雪上スラロームをドライブモードを“S”に変更し、やや積極的な加速を試みながら行った。まずはESC/ONで走行をスタート。すると左右に繰り返すハンドルの操作量が少ない、無駄なく効率のよいスラローム走行が可能だった。やはり斜めに切ってあるV字パターンの斜めのエッジ効果により、斜め方向のトラクションが逃げないからだ。

さらにESC制御との協調が自然なハンドリングを可能にし、この滑りやすい雪上でのスラロームを繰り返し行うも、姿勢を大きく乱すことない。

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ESC/OFFはよりタイヤの“素”の効果が確かめやすかった。斜め方向のトラクションが効いてハンドルの操作量が少なく、やはり安心感とスムーズさは変わらない。ESC/ONにすると速度は落ちるけど、協調制御によってスムーズに走る。その違いもわかりやすかった。

いずれの状態でも斜め方向のトラクションがやはり肝となる。サイプが雪を掴みながらグリップを稼ぎ、なおかつ低温でもエッジ効果を頼もしく保つコンパウンドも含めVC7のあらゆる効果を理解できる体験になった。

“あらゆる冬道を支配” というキャッチコピーは伊達じゃない

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冬道で想定されるあらゆる路面状況の摩擦力は雨→シャーベット→雪→氷の順で低下する。ハンドルを操舵したときの反応が薄いとドライバーはついつい、よりハンドルを切り込みたくなるもの。ところが摩擦力が低い状況でもイメージとおりの反応が得やすければそもそもクルマの姿勢を乱すリスクは減り、ドライバーにとっても同乗者にとっても快適なドライブが可能になる。

この快適なドライブを実現するために、今や多くのクルマに採用されるABSやESCといった電子制御との協調効果を狙ったタイヤづくりが可能であるならば、それに越したことは無い。それを“当たり前の性能”として可能とするのがコンチネンタル社のグループ力の為せる技。VikingContact 7は“空気を読む才能”ならぬ“道を読み、クルマに馴染む性能”がとにかく長けている。そしてそれをあらゆる冬道で常に体感することができた。

まさにVikingContact 7は“あらゆる冬道を支配”というキャッチフレーズがピッタリくるスタッドレスタイヤだった。さすがコンチネンタルタイヤのフラッグシップモデル。スタッドレスタイヤの価値観が変わるかもしれない。

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飯田裕子|自動車ジャーナリスト協会会員
現在の仕事を本格的に始めるきっかけは、OL時代に弟(レーサー:飯田章)と一緒に始めたレース。その後、女性にもわかりやすいCar & Lifeの紹介ができるジャーナリストを目指す。独自の視点は『人とクルマと生活』。ドライビングインストラクターとしての経験も10年以上。現在は雑誌、ラジオ、TV、シンポジウムのパネリストやトークショーなど、活動の場は多岐にわたる。

《飯田裕子》

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