【メルセデスベンツ GLB 新型試乗】GLAとGLB、選びかたの決め手は?…中村孝仁

メルセデスベンツ GLB(GLB250 4MATICスポーツ)
メルセデスベンツ GLB(GLB250 4MATICスポーツ)全 25 枚

『GLA』と『GLB』。いずれもFWDプラットフォームを使ったコンパクトSUVだが、GLAの2列5人乗りに対し、GLBは3列7人乗りだ。

そもそも、このFWDプラットフォームで誕生した『Aクラス』と『Bクラス』。ご存知の通りAクラスはCセグメントのハッチバックとしてVW『ゴルフ』などと同じセグメントに送り込まれたモデル。一方のBクラスはいわゆるMPV風のスタイルと広い居住空間を有したモデルとして同じCセグメントに投入されたモデルである。この2車から派生したのがGLAとGLBだ。

3列7人乗りのコンパクトSUV

メルセデスベンツ GLB(GLB250 4MATICスポーツ)メルセデスベンツ GLB(GLB250 4MATICスポーツ)
GLAの方は先代W176をベースとしたモデルから派生して存在していたが、GLBの方は今回が初登場である。GLAがハッチバック風SUVだった先代から明確にSUVデザインに変化したのにある意味呼応してか、GLBも明らかなSUV風スタイリングを持つ。ただし大きく異なるのは冒頭に述べた通り3列7人乗りのインテリアを持つことである。GLAに対し全長で210mm長く、ホイールベースも100mm長い。とはいえ3列シートの構築は少々きつく、3列目のシートはさすがにオケージョナルシートとなるが、子供なら問題なさそうだ。

両車ともにSUV風デザインを持つと記したが、フロントエンドこそメルセデスのグリルを装備しているから似ているといえばそうかもしれないが、GLAの方が遥かにスポーティーなイメージに仕上げられていて、スタイリッシュ。一方のGLBは機能性優先のスタイリングとでも言えばわかり易い。例えば各ピラーなどもAクラスと比べて明確に立っていて、ボクシーな印象を持っている。

メルセデスベンツ GLB(GLB250 4MATICスポーツ)メルセデスベンツ GLB(GLB250 4MATICスポーツ)
ダッシュボードに関してはどちらも全く同じで、ドライバーズシートからの眺めはどちらに乗っているのか区別できない。

GLAに試乗した時に記述したが、あちらは2リットルのターボディーゼルしかエンジンのチョイスがないのに対し、こちらはターボディーゼルの他に2リットルのガソリンユニットをチョイスすることが出来る。ただし、後者、即ちガソリン仕様は4MATIC(4WD)のフルオプション設定となっていて、価格的にも696万円と高額になる。一方2リットルターボディーゼルの方はFWDの設定のみで、こちらは車両本体価格が512万円とGLAに近いが、必要な装備を加えていくとやはりそれなりのお値段になるのは覚悟した方が良い。

GLA(左)とGLB(右)のリアGLA(左)とGLB(右)のリア

出力、トルクでディーゼルを上回るガソリンターボ

メルセデスベンツ GLB(GLB250 4MATICスポーツ)メルセデスベンツ GLB(GLB250 4MATICスポーツ)
2リットルのガソリンターボユニットは224ps、350Nmと、驚くことに最高出力、最大トルク共にターボディーゼルを上回る。パワーはまだしもトルクまで上回っているのだから驚きだ。しかもその発生回転域は1800rpm~4000rpm。ディーゼルの方が若干低めの回転域から(1400rpm~3200pm)ピークトルクを発生させているが、元々ガソリンエンジンは回転で稼ぐタイプなので400rpmほど発生域が上がったところで大した問題ではなく、実際に乗ってみるとその力強さとドライバビリティーの高さに驚かされる。それに走行フィーリング自体が遥かに滑らかで気持ちが良い。

どちらのエンジンも組み合わされるトランスミッションは8速のDCTである。GLAに試乗した時は、あたかもステップATに乗っているのかと錯覚したほどスムーズだったうが、ガソリンエンジンとの組合わせでは明確に変速時の印象がDCTであることを感じさせるものだった。もっともそれが悪印象なのかと言えば全くそんなことはなく、渋滞に巻き込まれても試乗中に関していえば、チョイスするギアに迷うということもなかった。

さすがに燃費の方は10km/リットルに届かず、WLTCモードの12km/リットルは下回り、ランニングコストはディーゼルに比べてかさむことは避けられない。エンジンに関してはまあ、ご自身の年間走行距離を勘案して車両をチョイスするのが良いだろうが、方やFWD、此方4MATICとなると、単純にエンジンだけで決めるわけにもいかず、さらにガソリン車はいわゆるフルオプション設定で他に選びようがなく非常に高価というのも悩みどころになる。

GLAとGLB、選びかたの決め手は?

メルセデスベンツ GLB(GLB250 4MATICスポーツ)メルセデスベンツ GLB(GLB250 4MATICスポーツ)
では、GLAとGLBではどちらが良いかという話になると、決め手は実用性にあるような気がする。

3列目を折りたたんでしまえば比較的ゆとりのあるラゲッジが広がるが、そこからさらに2列目も倒せば広大な空間が広がる。これだとワゴン風に使うことも可能だし、何より背が高いからラゲッジ空間は相当なものだ。そうした点では大は小を兼ねるので、GLBがお勧めということになる。

背が高いので運動性能という点では攻め込んで行けば差が出るのだろうが、日本の交通事情でそこまで差が出ることもなく、スタイリッシュでスポーティーが良ければGLAだし、大人数で愉快に快適に、時々荷物運びにという機能優先ならGLBというところだろう。

メルセデスベンツ GLB(GLB250 4MATICスポーツ)メルセデスベンツ GLB(GLB250 4MATICスポーツ)

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来43年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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