【三菱 eKクロススペース 新型試乗】スーパーハイトの動的性能はここまで進化したか…工藤貴宏

三菱 eKクロススペース
三菱 eKクロススペース全 12 枚

不安も諦めもなく「普通に運転できる」こと

これはなかなかなだ。クルマをスタートしてひとつめの交差点を曲がっただけで、仕立ての良さが伝わってきた。

ただ、誤解を受けないように先に伝えておくと、『eKクロススペース』の走行性能は軽自動車全体から見れば特別に高い水準というわけではない。ただし、eKクロススペースのように全長や全幅に制約を受けているうえにとびきり背が高いスーパーハイトワゴンの運動性能は、物理特性上不利となる。そんな不利なパッケージングとしては、かなり頑張って動的性能を作り上げてきたと感じたのだ。

三菱 eKクロススペース三菱 eKクロススペース
思えば2003年、ダイハツがスーパーハイトワゴンのパイオニアとなった初代『タント』を発売した時、試乗会では広い空間や実用性を引き換えに運動性能が大きく犠牲になったことを実感した。車体の重さゆえに自然吸気エンジン車はもちろん、ターボエンジン搭載車ですらターボ付とは思えないほど加速せず、重心の高さゆえに旋回はロールとアンダーステアが激しすぎてまるで「船」。

あの時から考えれば、ライバルも含めてスーパーハイトワゴンの動的性能は15年ちょっとで、なんと進化したものか。不安も諦めもなく普通に運転できるeKクロススペースの出来の良さに、ただただ驚いた。

これはクラストップの実力ではないだろうか

三菱 eKクロススペース三菱 eKクロススペース
その安定したハンドリングと不安のない感覚の理由は、とにもかくにも車体の安定性に尽きる。まず強靭な車体をつくり、そのうえでしなやかに動くけれど芯のあるサスペンションを作ってきたのだ。ロールスピードがしっかりと一定に保たれることで腰砕け感を作らず、交差点を曲がる際にグラリと車体が不安な傾きをしない。それが運転の安心感になっている。

背が高いこともあってサスペンション自体はそれなりに硬め。だから乗り心地でいえば高速道路など速度の高い領域で、路面のうねりや凹凸などを受けて車体の上下動が気にあることもある。

三菱 eKクロススペース三菱 eKクロススペース
しかし、市街地走行では路面の段差などを通過する際の衝撃もしっかり吸収し、乗り心地も上々。操縦安定性のレベルがぐっと高まったうえで、乗り心地とのバランスも良好だ。

液体封入エンジンマウントなど高価な部品を採用していることの効果もあるのだろう。3気筒エンジンとは思えないほど乗員に伝わってくる微振動がしっかり遮断されていたのも褒めたい部分。さらに高速巡行中の静粛性が予想以上に高かったこともお伝えしておこう。これはクラストップの実力ではないだろうか。

三菱 eKクロススペース三菱 eKクロススペース
※5つ星評価はライバルに対してを想定したもの。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

工藤貴宏|モータージャーナリスト
小学校高学年から自動車雑誌を読みはじめ、1日でも早く運転したくて18歳誕生日の翌日には仮免許を取得したクルマ好き。大学在学中から自動車雑誌でアルバイトを始め、自動車専門誌編集部在籍後、編集プロダクションを経てフリーランスライターに。愛車はディーゼルエンジンのSUVと欧州ホットハッチ。

《工藤貴宏》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  2. 船上で水素を製造できる「エナジー・オブザーバー」が9年間の航海へ
  3. 最後のフォードエンジン搭載ケータハム、「セブン 310アンコール」発表
  4. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
  5. 高機能ヘルメットスタンド、梅雨・湿気から解放する乾燥ファン搭載でMakuake登場
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
ランキングをもっと見る