ゼネコンが建物や道路のバーチャル化と都市OSに取組むわけ…清水建設ICT・スマート事業部長 加藤雅裕氏[インタビュー]

ゼネコンが建物や道路のバーチャル化と都市OSに取組むわけ…清水建設ICT・スマート事業部長 加藤雅裕氏[インタビュー]
ゼネコンが建物や道路のバーチャル化と都市OSに取組むわけ…清水建設ICT・スマート事業部長 加藤雅裕氏[インタビュー]全 1 枚

東京の豊洲スマートシティ連絡会は国土交通省スマートシティモデル事業の先行モデルプロジェクトに選定され、豊洲版都市OSとデータ取扱いルールを構築し、データを活用した観光・モビリティ・イート・ヘルスケア・防災など複数領域横断型サービスの実装を目指す活動を行っている。その事務局を務める清水建設株式会社LCV事業本部ICT・スマート事業部 事業部長の加藤雅裕氏に、清水建設がスマートシティに取組む理由や豊洲スマートシティの取組みについて聞いた。

加藤氏は、10月27日に開催するオンラインセミナー大手町・丸の内・有楽町と豊洲のスマートシティ~に登壇し詳説する予定だ。

スマートシティにゴールが見えなかった

---:なぜゼネコンである清水建設がスマートシティに取組むのでしょうか?

加藤氏:日本のスマートシティは、経済産業省のエネルギーを中心としたスマートコミュニティからはじまり、総務省のデータ利活用型都市OSづくりへ変遷してきた流れがあります。

清水建設もスマートコミュニティ、都市OSに取組んできましたが、”健康に暮らす”、”キャッシュレス”をテーマにスマートシティを考えると、エリアを限定する必要がなかったり、個人を特定して考えれば良かったりと、なかなかゴールを見いだせませんでした。

その原因は、スマートシティの都市OSのアーキテクチャーの中に、建物や道路インフラが無かったからなのではないかと考えました。建物や道路インフラを三次元CADでバーチャル化し、都市OSと連携させ、蓄積させたデータを街づくりなどに活かすことで、真のスマートシティの実現に近づくと感じています。

都市空間をまるごとデジタル化し、それを運用していく役割を担える企業はそう多くはありません。ゼネコンの出番だと考えました。

「運用」に力を入れていく

---:海外の動向は?豊洲スマートシティの特徴は

加藤氏:海外では、都市や道路インフラの空間をデジタル化させる動きは、行政主導で行われており、行政自身の計画に活かすことを目的につくられています。それを住民などにオープンにするようになってきています。

日本では都市空間などのデジタル化は他国に比べて遅れていましたが、2020年に入って国土交通省が都市の三次元化に力を入れ始めるようになってきました。

豊洲スマートシティとしては、都市の三次元化に加えて、データプラットフォームを構築してデータを集めて活用する「運用」に力点を置いて、民間や国交省や地元自治体である江東区などと連携していきたいと考えています。

今後は、豊洲エリアのビルの主な所有者の方に、豊洲スマートシティに参画していただき、ビルの外形図や壁面に加えて、1階部分などの共有部分の情報をオープンにしていく活動をしていきたいと考えています。

豊洲周辺でビルを持つ企業が集まった

---:豊洲スマートシティ推進協議会の体制を教えてください。大企業同士が連携し合うのは難しかったのではないでしょうか?

加藤氏:幹事企業は、江東区の豊洲にビルを持つ企業のうち、IHI、清水建設、東京ガス不動産、三井不動産で、事務局を清水建設と三井不動産が務めています。またNTTデータ、東京地下鉄、TIS、日本総合研究所、日本電気、日立製作所、三井住友銀行、三井住友カード、三菱地所の民間企業の皆さまにもご参画いただいています。

これまで幹事会の各社は2つの協議会に分かれ、それぞれ活動していましたが、連携するメリットを共有することができました。

---:今後のロードマップは?

加藤氏:2020年はインフラ情報の見える化をするために3次元情報基盤を構築し、2021年にはリアルタイム情報を見える化させるためにデジタルツインを構築します。さらに2022年にはAIを活用したマクロ解析を行っていく予定としています。

最近行ったことは、LINEを活用したバーチャル避難訓練です。毎年のように台風や大雨などが日本全国に甚大な被害をもたらしています。避難すべきか、どのような行動をとるべきか、日ごろの訓練が大切です。豊洲には、働く人、住む人、観光に来る人と様々な目的で人が集まって来ています。ビルごとではなく、町ぐるみで避難訓練をする取組みを行っていけることも豊洲スマートシティの魅力です。

---:都市や道路インフラのデジタル化ができれば、自動運転車が走行しやすい環境が整います。またビルの共用部分の情報がオープンになれば、パーソナルモビリティやロボットなど屋内での自動化がより一層進みそうですね。

加藤氏が登壇するオンラインセミナー大手町・丸の内・有楽町と豊洲のスマートシティ~は10月27日開催。

《楠田悦子》

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