「白バイを降りた自分にできること」元隊員が願うライダーの安全、スクールで学ぶ“ロードエイド”

ロードエイドネットワーク清水豊 代表理事。
ロードエイドネットワーク清水豊 代表理事。全 23 枚
「これまで数多くの悲惨なバイク事故を目の当たりにし、白バイを降りた自分がこれからやらなくてはいけないことは何か…。そう考えた時、ライダーへの安全啓蒙活動だったのです」

そう話すのは、自衛運転トレーニング『Road+Aid Networks(ロードエイドネットワーク)』の清水豊 代表理事。神奈川県警にて30年間、白バイ隊員として勤務し、茨城県ひたちなか市にある自動車安全運転センター中央研修所では、白バイやパトカーの乗務員らに安全運転教育をしてきた実績を持つ。

そうした経験や事故現場で得た教訓を活かし、今後は一般ライダーにセーフティライドを普及させていく。その一環として、これまでもファーストエイドの普及を広めてきた内藤学さんとともに、まず立ち上げたのが『MOTO MIXX SCHOOL(モトミックススクール)』だ。

◆最新のファーストエイドを普及したい


内藤さんもハーレー・オーナーズ・グループ(H.O.G.)のイベントで、ライディング・インストラクターとして活躍している言うならば、その道のプロ。ファーストエイドのアプローチは5年でアップデートされ、一度習えばいいというものではない。内藤さんは絶えず最新のレスキューを国内外で学び広めている。その活動はロードサイドだけでなく、ビーチでのライフセーバーなどステージを選ばない。

そもそものキッカケは、「海水浴場ではライフセーバーがいるのに、ライダーたちのツーリングでは命を助けられる人や環境が整っていない」という強い危機感から。バイクメーカーに在籍した経歴も持ち、国内外でメカニックとして経験を積んできたものの、「安全なライディングやファーストエイドを広めたい」と、イベント会場に就く部署を志願した。そうした経験をテクニカルアドバイザーとして活かしていく。

◆セーフティライドが身につくオフロードトレーニング


千葉県君津市にある都立高校の林間施設跡を利用し、事故防止のための安全運転が学べるオフロードコースなどを整備。モトミックススクールでは、ビギナーやリターンライダー、キッズなど二輪車に関わる幅広い層に各種トレーニングを提供する。

たとえば、金曜日と日曜日に開催する「はじめてのオフロード」では、初心者を最優先し、レンタルのオフロードバイクあるいは自分のバイクで参加可能。公道で使えるテクニックを大前提に1泊2日でレッスンをおこなう「オープンロード・クラス」もあり、モトミックススクールからバイクで約3分の「鹿野山ビューホテル」で宿泊し、充実の2日間が味わえる。

開催スケジュールや料金などは公式ホームページで確認可。今後は日本全国にモトミックススクールを開校していくなど、ロードエイドネットワークの活動の場をさらに広げていく。バイクを愛する元白バイ隊員らが、本気でライダーたちの安全を考え動き出した。

《青木タカオ》

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

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