[プロが答えるカーケア]雪国の「塩カル」って何? 下回り洗車はなぜ必要?… 回答 相互車体

【プロが答える】雪国の「塩カル」って何?「下回り洗車」はなぜ必要?… 回答 相互車体
【プロが答える】雪国の「塩カル」って何?「下回り洗車」はなぜ必要?… 回答 相互車体全 10 枚

カーオーナーの素朴な疑問  

10月半ばに、ようやく初のマイカー(スバル XV)を新車で手に入れました。とにかく運転したくて、週末は往復2時間ぐらいドライブして楽しんでます。

そろそろ長距離ドライブに挑戦したくて、11月末か12月上旬ぐらいに長野あたりまで行ってみようかと思っているんですが、『塩カル地域に行ったときは、ちゃんと下回りを洗車しろよ。放ったらかすと、サビるから』とクルマ好きの父(愛車は、1998年式の三菱パジェロ)に言われたんですが、ちゃんと説明してくれなくて。最近のクルマでもサビるんですか? 塩カルって何ですか?
(東京都・25歳男性・会社員)



プロショップの回答  

初のマイカー納車、おめでとうございます! スバル XVは、コンパクトで都会的なデザインのSUVとして魅力がありますよね。乗れば乗るほど運転は上手くなるものなので、長野への長距離ドライブで運転スキルを磨いてください! 大前提として、スタッドレスタイヤに履き替えて、安全運転を心がけてくださいね。



◆「塩カル」とは?

11月末や12月上旬ごろの長野は、例年の状況を考えると、早朝や深夜は道路が凍結しているでしょうし、積もらない程度に雪が降るかもしれませんね。それを思うと、お父上がおっしゃるとおり愛車の『塩カル』対策は必要です。






塩カルとは、融雪剤(塩化カルシウム)のことで、道路の雪を溶かすためにまかれるものです。凍結防止剤(塩化ナトリウム)もあり、要するに「塩」です。

雪が降らなくても積雪予報が出た時点で、長野の道路には大量の塩カルがまかれるので、いわば「塩の道」を走っているような状況になります。タイヤが塩カルを巻き込み、車両の下回り(マフラー、サスペンションアームなど)をはじめ、ドアの下部、サイドシル、フェンダー、バンパーなどが塩まみれになり、これがサビにつながります。



◆「塩カル」対策はとても大切

塩カル対策の鉄則は、洗い流すこと。DIYでやる場合は、高圧洗浄機を購入して、下回りに水を吹き付ける方法がありますが、雪が降る真冬にそれをやるのはとても大変で、現実的ではないでしょう。凍えてしまいますからね。

長野をはじめ、積雪地域にはガソリンスタンドや洗車場に「下回り洗浄機」が導入されているので、カーオーナーの皆さんはそういった場所で愛車の下回りを綺麗に洗い流しています。

このほか「下回り防錆(サビ止め防錆/防錆塗装)」という本格的なサビ予防サービスがあり、新車購入時に費用をかけてしっかり施工するカーオーナーさんも多いですよ。下回り防錆を行っておけば、愛車を手放す時の価値(リセールバリュー)が下がりにくくなるので、そういった意味でも大切です。

参考までに、長野県岡谷市の「郷田鈑金」さんでは、本格的な防錆塗装をお願いできますよ。積雪地域にクルマで出かける頻度が多かったり、長野、山梨、静岡など、塩カルがまかれる地域にお住まいの方で、より長く愛車に乗り続けたい方は、郷田鈑金さんのように、しっかりとした防錆塗装を行っている専門店などに相談されてみるとよいでしょう。


「郷田鈑金」Webページ:www.godabp.com/coating


もうひとつ、覚えておいてほしいことがあります。それは「気温」です。気温が低いうちはサビの発生が遅いのですが、20度を越えてくる春ごろは急速にサビが進行し、あっという間に腐食して、ボロボロにサビてしまいます。ですから、寒い時期に下回り洗車ができなかったり、防錆塗装をしていない方は、暖かくなる前に下回り洗車をしたほうがよいとおもいます。



◆クルマは「サビる」もの

最近のクルマは、サビの発生をなるべく防止する「防錆鋼板(ぼうせいこうはん)」素材を使って製造されていたり、防錆塗料も使用されているので、昔のクルマと比べて、サビにくくなっているのは確かです。ですが、サビないわけではありません。クルマはやっぱり、サビるものなのです。

「ワゴンR フェンダー サビ」で画像検索すると、数多くのサビた写真がヒットする

例えば、インターネットで「ワゴンR フェンダー サビ」というキーワードで画像検索してみてください。サビた画像がたくさんヒットするはずです。年式が新しいクルマでもサビてしまうので、下回りのケアは本当に大切なのです。

また、当社所有車両(サービスカー)の1台である、トヨタ・デリボーイは、最近のクルマではありませんが、お恥ずかしながら、下回り洗車をしっかり行わず防錆塗装もしなかったことで、以下の写真のようにサイドシルがサビて穴があいてしまいました…。

相互車体のサービスカートして活躍している、トヨタ・デリボーイは、下回り洗車や防錆塗装をしなかったことで、サイドシルがサビて穴が空いてしまった


あと、1960年から70年代ごろに生産された国産車両の場合は、防錆鋼板ではなく、いわゆる「生鉄」を使ってボディ素材が作られているケースが多いのでサビやすいことを覚えておいて下さい。例えば、いまお預かりしている日産・フェアレディZ 280Zの写真を見て下さい。塩カルをしっかり洗い落とさなかったことが原因で、こんなに酷い状態になってしまっています。

日産・フェアレディZが、塩カル被害により、サビて腐ってしまっている

日産・フェアレディZのリアフェンダーも、塩カルが原因でボロボロの状態



ちなみに当社(相互車体)は、鈑金塗装が得意で、国産車はもちろん希少な輸入車にいたるまで、たくさんの経験を積み重ね続けています。サビてボロボロになってしまった車両でも、しっかり修理できる技術と設備があります。

いま、レストア(復元)作業を進めているうちの1台として、日産・シルビアのスペックRがあります。下回りやフェンダーなど全体的にサビてボロボロなのですが、大切な愛車として「これからも長く乗り続けたい」というオーナー様の強いご希望があり、当社でレストアさせて頂くこととなりました。

作業工程のひとつとして、写真をご紹介します。サビてしまったパーツを車体から取り外し、同じような形状のパーツを制作して取り付ける作業を行っている様子です。



ひどくサビていても、修理できる可能性はあります! 廃車にする前に一度当社にご相談頂ければ車両の状態を拝見し、ご希望をしっかりお伺いして最適なご提案をさせて頂きますので、お気軽にお問い合わせください。


カーオーナーさんの「質問」に回答してくれたプロショップさんは……   

長野県飯田市にある「相互車体」の内山嘉彦社長です!




<ショップ情報>
相互車体
〒395-0156 長野県飯田市中村75番地
tel.0265-25-5151
www.sougo-bp.jp

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《カーケアプラス編集部@金武あずみ》

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