「スマートシティ加賀」の取組みとは…加賀市 政策戦略部 政策推進課 課長 山本昌幸氏[インタビュー]

「スマートシティ加賀」の取組みとは…加賀市 政策戦略部 政策推進課 課長 山本昌幸氏[インタビュー]
「スマートシティ加賀」の取組みとは…加賀市 政策戦略部 政策推進課 課長 山本昌幸氏[インタビュー]全 1 枚

石川県の南西部、福井県との県境に位置する加賀市は、スマートシティの実現に取り組んでいる。どのようなスマートシティ事業に取り組まれているのか、加賀市政策戦略部政策推進課課長の山本昌幸氏に聞いた。

山本氏は、11月27日に開催するオンラインセミナースマートシティ/加賀・熊谷・南相馬~令和2年度重点事業化促進プロジェクト~に登壇しスマートシティ加賀について詳説する予定だ。

「消滅可能都市」の指摘の衝撃

---:なぜスマートシティに取り組むようになったのですか?

山本氏:加賀市は「山代」「山中」「片山津」の個性豊かな3温泉が有名で、年間約200万人の宿泊客で賑わっています。また「加賀橋立」の北前船船主集落が日本遺産に登録されました。2023年春には北陸新幹線加賀温泉駅が開業予定です。

人口は1990年は80,720人だったのですが、2020年8月1日現在で65,662人に減少しています。2014年に「消滅可能都市(日本創成会議が指摘。2010年から2040年にかけて、20~39歳の若年女性人口が5割以下に減少する市町村)」の一つに指摘されたことで、より大きな危機感を持ち、市が存続していくための道として、第4次産業革命(IoT、AI、ビックデータ、ロボットなど)を見据えたイノベーション施策に取り組むようになりました。

IoT人材の育成、先進テクノロジーの導入

---:2016年度に経済産業省の「第1回地方版IoT推進ラボ」に選定されるなど、全国に先駆けてスマートシティに取組まれているんですね。主に力を入れている点を教えてください。

山本氏:IoT人材の育成、先進テクノロジーの導入を2つの柱としています。

IoT人材の育成においては子どものプログラミング教育を重点的に行っています。アメリカ発祥のロボットプログラミング大会「加賀ロボレーブ国際大会」を経済産業省、文部科学省、総務省の後援を得ながら毎年開催しています(2020年度は新型コロナウイルス流行により中止)。また、プログラミング教育を、2020年の必修化に先駆けて2017年から全小中学校ではじめました。その他にも2019年5月にコンピュータクラブハウス、2018年4月に加賀市イノベーションセンターを開設しました。

15件の連携協定と宣言

---:先進テクノロジーの導入に関して、イノベーション関連企業との連携について教えてください。

山本氏:2018年から2020年の間に、イノベーション関連企業との連携協定や宣言を15件行いました。

例えば、ANAホールディングスさんとアバターを用いた入院患者への見舞い、トラジェクトリーさんとドローン活用、加賀MaaSコンソーシアム(MaaS Tech Japan、JR西日本、ヴァル研究所、日本旅行など10事業者)を2020年2月に設立、加賀市総合サービスさんと自治体新電力、DMM.comさんと3Dプリンタものづくり都市、東京大学生産技術研究さんと道路や公園の損傷や不具合をスマートフォンで知らせる「My City Report」などに取組んでいます。
これらのような取り組みを行うことで、2020年10月にG20 グローバル スマートシティ アライアンス(GSCA)のパイオニア都市の認定を受けました。

電子国家エストニアから刺激を得た

---:行政サービスのデジタル化にも取り組まれていますね。ブロックチェーン都市宣言、電子生涯健康手帳は全国初。マイナンバーカードを活用したスマホによる個人認証、デジタルツイン都市の取組みが非常にユニークだと思いました。

山本氏:行政サービス手続きの9割以上がデジタル化されている電子国家エストニアを参考にしています。行政サービスがデジタル化されていないことにより、市民の皆様の大切な時間を奪ってしまってはいけないと思うんです。

ブロックチェーンでは、スマートバリューさんなどと連携して、2019年9月に住民のそれぞれのニーズに応じた情報を提供するポータルサイト「加賀POTAL」を開設しました。

マイナンバーカードを活用したスマホによる個人認証では、エストニアの最先端技術を導しています。それに伴い、マイナンバーカード取得を促しました。マイナンバーの申請率は全国1位の64.5%です(2020年11月現在)。

これまで不便だと感じていながらも、あきらめていたことが技術の力で解決されている町がスマートシティです。マイナンバーカードの普及は、その基盤となるものです。着実かつスピーディにスマートシティの実現を目指していきたいと思います。

---:加賀MaaSの取組みは存じ上げていたのですが、その他にも数えきれないほどのデジタル活用プロジェクトに取り組まれており、大変驚きました。

山本氏が登壇するオンラインセミナースマートシティ/加賀・熊谷・南相馬~令和2年度重点事業化促進プロジェクト~は11月27日開催。

《楠田悦子》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 伝説のACコブラが復活、「GTロードスター」量産開始
  2. トヨタ『ランドクルーザー300』初のハイブリッド登場!実現した「新時代のオフロード性能」とは
  3. ようやくですか! 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』日本仕様初公開へ…土曜ニュースランキング
  4. 【BYD シーライオン7 新型試乗】全幅1925mmの堂々サイズも「心配無用」、快適性はまさに至れり尽くせり…島崎七生人
  5. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  4. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  5. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
ランキングをもっと見る