寄付金付き切符、観光列車のてこ入れ、映画製作…コロナなどで苦境の地方私鉄が窮余の一策

ユニークさの中にも危機感が溢れる『電車を止めるな!』のポスター。12月27日の上映では、銚子電鉄の竹本社長、赤井監督、キャストによる舞台挨拶も。
ユニークさの中にも危機感が溢れる『電車を止めるな!』のポスター。12月27日の上映では、銚子電鉄の竹本社長、赤井監督、キャストによる舞台挨拶も。全 3 枚

新型コロナウイルスの感染拡大による観光客の減少などで苦境が続く地方私鉄で、相次いで打開策が打ち出されている。

青森県の津軽五所川原駅(五所川原市)と津軽中里駅(中泊町)を結ぶ津軽鉄道は11月30日、運行経費の上昇などを理由に、冬の風物詩である「ストーブ列車」のストーブ列車料金を12月1日から100円アップの500円に改定した。

同社では「観光客の激減により鉄道の運行が危ぶまれる状況となっております」と訴えており、通常のストーブ列車料金に寄付金200円を加算した「寄付金付きストーブ列車券」(700円)の発売も開始。「この窮地を乗り切り鉄道の運行を継続し、鉄路を維持する」としている。

また、新潟県のえちごトキめき鉄道は11月27日、観光列車『雪月花』の基本料金改定を2021年3月1日に実施すると発表。現行の1万7500円が1万9800円となる。これに合わせて、インターネット予約の導入や食事、車内販売の一部変更など、サービスの向上も図るとしている。

そして、極めつけが千葉県銚子市の銚子駅と外川(とかわ)駅を結ぶ銚子電気鉄道(銚子電鉄)だ。利用促進にさまざまな施策を打ち出している同社だが、12月18日には池袋シネマ・ロサ(東京都豊島区)で、オリジナル映画『電車を止めるな!』 が封切られることになった。

同社の変電所が設置以来40年以上経過しており、その改修には公的支援を受けたとしても1億円以上の費用を要するとされており、このままでは資金不足で列車運行そのものが不可能になるという危機感から製作された作品で、タイトルはまさにこうした苦境を地で行くものとなった。

「日本一のエンタメ鉄道」を目指す銚子電鉄ではこの作品を「鉄道を舞台にしたホラー10%、ギャグ90%の『超C(銚子)級エンターテインメント映画』」としており、村井美樹さんや木村裕子さんなど、知名度がある鉄道好きタレントも出演。「一人でも多くの方に観ていただくことが、鉄道存続に繋がります」と訴えている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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