マツダ CX-5・CX-8 改良新型「車の開発にゴールはない」…ソフトウェアによる継続的な改善

マツダ CX-8 改良新型(エクスクルーシブモード)
マツダ CX-8 改良新型(エクスクルーシブモード)全 45 枚

12月3日、マツダは『CX-5』『CX-8』の商品改良を発表した。CASE対応強化やECUのアップデートに加え、CX-8では内外装の質感アップやグリルなどのデザイン変更が行われた。

【画像全45枚】

商品改良の概要と方向性

CX-8のデザイン変更では、上位モデル(Lパッケージ、エクスクルーシブモード、100周年特別記念車)のフロントグリルが水平バータイプからブロックメッシュパターンに変更される。さらに特別仕様車として、CX-8、CX-5ともに「ブラックトーンエディション」が追加された。これは、ドアミラー、ホイール、内装を黒基調に統一し、シートにレッドステッチが施され、精悍さ、スポーティさをアップさせたもの。ブラックトーンエディションは、今回マツダ2、マツダ6にも追加された。

また、ユーザーからの要望を反映させる形で、CX-8のみに最上級モデルとなる「エクスクルーシブモード」も加わった。外装は新色となるプラチナクォーツメタリック、ナッパレザーの内装(クロマブラウンとピュアホワイト)、オリジナル10本スポークのアルミホイールが装備される。ハンズフリーのリアゲート、スマートフォンのワイヤレス充電(Qi)対応など便利機能も充実する。

コネクテッド機能と制御ソフトウェアのアップデート

CASE機能ではマツダコネクトのためのCMU(コネクティビティ・マスタ・ユニット)ハードウェアが新世代商品群のものにアップグレードされた。これによりマツダ3、CX-30、MX-30でサポートされるマツダコネクト機能、「マイマツダ」アプリの最新機能が使えるようになる。マツダ3などとは、HDMI入力端子、ドライバモニタカメラ非搭載、オーナーズマニュアルなしといった違いはあるが、緊急時にボタンひとつでオペレータセンターにつながる「マツダエマージェンシーコール」が装備される。

CMU他がアップグレードされたため、ナビ精度の向上や画像品質の向上も図られた。画像処理能力もアップしており、センターディスプレイに8.8インチと10.25インチのものが用意された。ディスプレイの拡大は視認性の向上に加え、360°ビューモニターなどカメラ画像の品質も上がっている。鮮明な周辺画像が得られるのが利点だ。

走り感の向上は、エンジンおよびトランスミッションの制御ソフトウェアのアップデートによって実現。方向性は、マツダ従来からの「人馬一体」をより高めるものといってよい。力強い走り、思ったとおりに車が動く自在感を進化させたとする。CX-8、CX-5にはガソリン(SKYACTIV-G)とディーゼル(SKYACTIV-D)の2種類のエンジンがある。ガソリンエンジンには2.5Tというターボエンジンがあるが、今回は手を加えられていない。

制御の詳細を見てみよう。ディーゼルエンジン(SKYACTIV-D2.2)は、最高出力が140kW(190PS)/4500rpmから147kW(200PS)/4000rpmにアップされる。最大トルクは450Nm(45.9kgfm)/2000rpmと変更はないが、3500から4000rpmあたりのトルクを太らせており、高速道路の合流や追い越しをアシストする。

ガソリンエンジン(SKYACTIV-G2.0/2.5)はエンジン出力等、制御の変更はないが、トランスミッション(SKYACTIV-DRIVE)制御を変えて、中間加速のレスポンスアップを実現する。トランスミッションの制御変更はディーゼルエンジン搭載車にも適用される。

商品改良を継続する戦略の意味

ハードウェア的な機構の追加・変更はなく、純粋のソフトウェアだけによるチューニングだが、現在のエンジンの完成度は高く、見方によっては機構や補器類でいじるところはない。特にモデル開発で究極までシミュレーションして開発されるエンジンの設計をいじることは、デチューンもしくは改悪にしかならない。トルクカーブやレスポンス向上といった特性の調整はソフトウェア(ECUの制御)で行うのが今のセオリーだ。

開発主査の松岡英樹氏は次のように話す。

「クルマの開発にゴールはありません。製品として完成させた後も、改良点やアイデアがでてくるのは普通です。昔はモデルチェンジで改修していくしかなかったのですが、今はソフトウェアによる継続的な改善が可能です。技術者の立場でも、やり残したことや新しいアイデアを試して商品に還元できることはうれしい。CX-8、CX-5の商品改良の意味はそこにあります」

マツダは、新世代車両からCMUも新しいハードウェアにリプレースしている。CASE時代の新しいニーズに柔軟に対応するスペックを持つものだ。車両はモデルごとに完結させるのではなく、商品改良によって新技術を投入し完成度を上げていくというスタイルだ。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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