インディ500で2勝目達成の佐藤琢磨、2台の優勝車の前で“凱旋報告”

2台揃ったインディ500優勝マシンとともに、佐藤琢磨が“凱旋報告”。
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12月3日、今年8月に開催された「第104回インディ500」で3年ぶり2回目の優勝を飾った佐藤琢磨が、2台の優勝車とともにあらためての「凱旋報告取材会」に臨み、偉業の振り返りや来季以降への決意等を語った。

世界3大レースのひとつ、米国のインディ500において史上20人目とされる複数回優勝者となった佐藤琢磨(現所属はRahal Letterman Lanigan Racing、エンジンはホンダ)。例年5月を開催時期とするインディ500はコロナ禍の今年、8月に無観客で実施された。

優勝直後の時期にもオンラインでの会見は実施されたが、今回は琢磨本人が帰国して、東京・青山のホンダ本社1階「Hondaウエルカムプラザ」で“2台の優勝マシン”を前にして(あるいは背にして)の現場&オンライン会見となっている。

琢磨の眼前に揃った2台の優勝マシン、2017年の第101回大会でインディ500初優勝を飾ったときのマシン(#26)と、今年の第104回大会を制したマシン(#30)である。

(*2017年当時の所属はAndretti Autosport、エンジンはホンダ。なお、2017年の優勝マシンはもともと日本に居て、2020年11月14日~2021年3月17日はツインリンクもてぎのHondaコレクションホールで佐藤琢磨の企画展の1台として展示中=12月1~9日は“遠征中”のため、このマシンは展示なし)2度目のインディ500制覇、その思いを語る佐藤琢磨。2度目のインディ500制覇、その思いを語る佐藤琢磨。

この2台が日本で居並ぶこととなった経緯には、今年の優勝のまさに直後、琢磨がホンダの八郷隆弘社長に電話報告した際の「約束」が関係していた。

この日の凱旋報告に登壇し、あらためて琢磨に祝いと感謝の言葉を述べた八郷社長が、「優勝直後に琢磨選手から電話をいただいたとき、彼と2つの約束をしました」と振り返る。ひとつは「来年(2021年)もホンダとしてサポートするので、またインディ500での勝利とインディカー・シリーズのチャンピオン獲得を目指して一緒に頑張る」こと。そしてもうひとつが、琢磨からの熱い願いを受けての「2020年の優勝マシンも日本へ」ということであった。

2017年と2020年の優勝マシンは12月6日(日曜)、スーパーフォーミュラ第6戦予選&決勝日の鈴鹿サーキットでダブル展示される予定(琢磨のトークショーも実施予定)。やがては(2020年マシンも)ツインリンクもてぎのHondaコレクションホールで展示されるという。八郷社長からは「ぜひ来年も(3台目の)優勝マシンをもってこられるように頑張ってください。(ホールには)あと1台でも2台でもスペースは取っておきますので」と、さらなる勝利を期待する言葉もかけられている。

琢磨自身も、願いが叶っての優勝マシン2台揃い踏みに、「さらに嬉しさがこみ上げてきますね。ドライバーとしてこれ以上の幸せはないと思います」と話す。2つのインディ500優勝リングが輝く。2つのインディ500優勝リングが輝く。

2勝目の重み、という部分で象徴的なのは、「まさしくこのリング(指輪)の重さですかね」と笑顔で語る琢磨。優勝者に与えられるリングが、「ちょっと恥ずかしいくらいなんですけど」という大きさで右手と左手、両方の指に輝いている。「特に今回は8月の無観客というインディ500でしたから、それをホンダとともに制したチームの一員であるというところにも重みを感じています」。

優勝直後にも語っていたことだが、現所属のRahal Letterman Lanigan Racing(RLLR)とは2012年のインディ500でも優勝目前まで迫って夢破れたことがあったため、「(2018年から再共闘している)このチームでインディ500に勝ちたい、という思いが強かった」ことを琢磨はあらためて語った。また、世界中で多くの分野のアスリートがコロナの影響を受けて活動の場が縮小するなか、いろいろと変更事項はあったにしても自分たちがレースを戦えたことに関し、シリーズ主催者らへの深い感謝と敬意も述べている。

40歳でインディ500初優勝、43歳で2勝目。1977年1月生まれの琢磨は来シーズンを44歳で迎えることになる(RLLRでの続投が決定済み。RLLRに所属するのは4年連続で通算5年目)。大ベテランとなった今も「コクピットに座ってステアリングを握るとワクワクしますし、自分の進化は感じ続けています」。そして、「それを感じられなくなったときが、おそらく僕がステアリングを置くときなんだと思いますけどね」と続ける。

でも、“そのとき”はまだまだ先だ。「プロのレーサーとして(F1やインディという世界の)第一線で長く走らせてもらってきて、自分は本当に恵まれていると思いますし、これだけやってきたんだから、いつか『もういい』っていうふうになるのかな、とも思ったりするんですが、そういう気持ちにはならないんですよ」。さらに「(インディ500に)2度勝つと、『もっと勝ってやろう』と思いますしね」とも琢磨は語る。

インディ500での3勝目、4勝目、そしてインディカー・シリーズのチャンピオンへ、琢磨の挑戦は続く。その姿を若手に見せ続けることが、母校の鈴鹿サーキットレーシングスクール(SRS)でフォーミュラ&カート部門の校長職を務める彼の最も効果的な教育方法でもあるようだ。佐藤琢磨、凱旋報告佐藤琢磨、凱旋報告

ホンダ系の若手ドライバーでF1昇格近しと評される角田裕毅(今季F2参戦中)に関する質問も出た。琢磨は「ホンダの次の世代を代表する、素晴らしいドライバーだと思っています。もちろん毎回応援していますし、僕自身も彼の活躍から刺激を受けているんです。きっと自分の力でF1への切符をつかんでいくだろうと思います」と高く評価し、後進への期待を込める。

そして自身の今後についても、あらためての決意を琢磨は語った。

「自分自身がドライバーとして前進できていると思いますので、やはり今も最大の目標はまたインディ500で優勝することであり、シリーズチャンピオンを狙っていくことです。それらに向けて(来季以降も)頑張っていきます」

ホンダとともにさらなる偉業を達成することに、今後も期待したい。

琢磨にとって12年目の参戦となる2021年のインディカー・シリーズは3月開幕予定。シリーズの一戦である第105回インディ500の決勝日は5月30日に予定されている。

《遠藤俊幸》

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