【三菱 エクリプスクロス 改良新型】PHEV投入でクリーンかつ上質なカラーを…カラーデザイナー[インタビュー]

三菱エクリプスクロス改良新型
三菱エクリプスクロス改良新型全 14 枚

ビッグマイナーチェンジした三菱『エクリプスクロス』。そのボディーカラーに新色のホワイトダイヤモンドが追加された。PHEVの投入を踏まえたカラーであるとともに、インテリアにも新色が追加されたので、カラーデザイナーにその理由等、話を聞いてみた。

クルマの陰影をより見える白を目指して

----:早速ですがエクリプスクロスPHEVには、ダイヤモンドカラーシリーズの第2弾としてとしてホワイトが新色として追加されました。まずはこのカラーの特徴について教えてください。

三菱カラーデザイングループデザインマネージャーの安井智草さん(以下敬称略):ホワイトダイヤモンドという新色です。ダイヤモンドカラーはレッドダイヤモンドを第一弾として出しており、次がこのホワイトダイヤモンドです。このシリーズは、三菱の有料色の中でも特別な特徴を持った質感のある色として出しているものです。

具体的にホワイトダイヤモンドは、ハイライトのところでは輝く白を目指しており、シェードのところでは影面が落ちてシルバーのような見え方をする白です。ホワイトパールではどうしてもクルマ自体がのっぺりと見えて、陰影が見づらい色になっているのですが、そこで輝度感を少し出すことで、白とシルバーの中間のような質感を狙った新しいホワイトを開発しました。

塗膜構成ですが、これまではホワイトソリッドの上にパールを含んだ層を入れて、クリアをかけて仕上げているものに対して、新しい手法として、2層目のパール層のところにすごく細かなメタリックをはじめ、アルミナと呼ばれている光輝材などをパールと一緒に入れることで、光があたった時の反射を強く見せ、かつ今度は影になった時にその陰影が出るようにという工夫をしています。

ベーシックカラーでより良い色を提供したい

----:デビュー当初からエクリプスクロスはレッドダイヤモンドをテーマカラーとしていましたが、ホワイトダイヤモンドを追加したのはなぜですか。

安井:今回電動車を追加するということで、より先進感やクリーンなイメージを持たせるために、内装も新色でライトグレーを採用しています。その内装とセットでよりその演出を高めるために、ホワイトダイヤモンドを投入しました。

----:その演出というのはPHEVとしてのものですか。

安井:そうです。よりわかりやすくクリーンさや先進感、モダンさを出したいと考えたのです。

----:例えば他メーカーですと、白ではなくてブルー系が多かったりしますが、あえて白を選んだのはなぜですか。

安井:もともと自動車業界では白、黒、シルバーなどのベーシックカラーが、お客様が買う時に大半を占める色になっています。そこで、多くのお客様が買いたいと思う色で、より良い色を提供出来ないかというところから、ダイヤモンドカラーシリーズの考え方が始まっています。三菱はレッドの構成比が高いので、まずはレッドを出しましたが、基本的には多くのお客様が買う色であえて新しさや他社とは違う質感を狙っているのです。

より上級に、質感高く

----:インテリアに関してはライトグレーが追加されたのですね。

安井:もともとブラックで、そこにアクセントカラーとしてカッパーみたいな色を使った内装を持っていました。今回PHEVを追加しますので、クリーンでモダンなイメージを出すために、内装色をいくつか検討しています。

その中でエクステリアのホワイトダイヤモンドと相性のいい、ライトグレーという若干クールな色相に振れたグレーを採用したいということで進めたのです。

----:今回コンビネーションシートも初採用していますね。

安井:グランリュクスという『アウトランダーPHEV』などでも使っている人工スウェードのタイプのものに、今回はエクリプスクロスなので少しスポーティな印象を与えたいと、エンボス加工を施したコンビネーションシートを採用しています。

----:これはかなり特徴的な印象ですが、なぜ追加したでしょう。

安井:PHEVを投入しますので、価格帯も上がります。そこで質感の向上を考えた時にいままでのファブリックのシートと、その上がいきなり本革シートというものではなく、お客様がわかりやすいスウェード調の素材と合皮のシートのコンビシートを入れることで、全体としてアップグレード感を出したいと考えました。

----:ガソリンモデルと比較した時に、より上級に見えるようなイメージですか。

安井:そうです。上級に見せつつも、スウェードとのコンビネーションなので少しスポーティーな印象もあり、実際に座った時にも体がしっかりホールドされるような機能性もありますので、これを追加しました。

----:インテリアではスイッチまわり、エアアウトレットやPHEVのシフターの部分でピアノブラックを採用していますが、こういった特徴づけの理由は何でしょう。

安井:これもPHEVとしてアップグレード感や、より上質にしたいという考えからです。ピアノブラックと、もともと使っている高輝度のシルバーのコーディネーションで、質感をより上げることを狙いました。インテリア全体としてどう質感を上げていくのか、どう上質にかつスポーティに見せられるのかという中で、出てきたものです。

----:改良前のエクリプスクロスでもそれほど質感的に劣っているようなイメージはありませんでした。今回あえてより向上させようとしたのは、お客様から何らかの声があったのでしょうか、それともPHEVを投入するにあたり、もっと上質にかつスポーティーに見せたいということなのでしょうか。

安井:後者です。今回PHEVを入れるにあたり、いままでのガソリン車とは違う質感をより強調していかなければいけないという考えです。特にお客様から質感が低いというような声は出ていません。

----:ガソリン車ではここはピアノブラックにはなっていないのですか。

安井:ピアノブラック自体は一緒です。今回のマイナーチェンジに合わせてPHEVもラインナップするので、全体的に上質に振っています。

----:では最後にカラー、マテリアル面で強調しておきたいことはありますか。

安井:今回、日本国内ではSUVとして初めてホワイトダイヤモンドを投入します。内装の新しいライトグレーとコーディネートしていますので、そこをぜひ見てほしいですね。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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