【ホンダ N-ONE 新型試乗】「好き」を貫く潔さを肯定してくれる…岩貞るみこ

ホンダ N-ONE 新型(プレミアムツアラー)
ホンダ N-ONE 新型(プレミアムツアラー)全 12 枚
◆なんといってもデザインがもたらす「世界観」

きゅっとひきしまったシルエット。顔つきはシンプルで見る人によって、かわいくもかっこよくも見える。新型『N-ONE』は私には、すっとぼけたタヌキ顔に見えるけれど、そう連想させる愛くるしい目元は、レンズのなかにウィンカーまで組み込むという技ありのヘッドライトである。

N-ONEの魅力は、なんといってもデザインがもたらす世界観だ。昨今の軽自動車は広い車内が好まれる。なんたって、普段使いの足というポジションだからだ。でも、そんな流れに一石を投じ、たとえ足であっても自分の「好き」を貫く潔さを肯定してくれる。


車内のサイズは、トールワゴンに比べればたしかに控えめ。でも、どんなにデザインがよくても走りがすごくても、狭すぎるとあっという間にそっぽを向かれることもよくわかっている。だから、後席は脚が組めるくらい広いし、身長170cmの私が座っても天井は見上げるくらい余裕がある。あれ、ぜんぜん控えめじゃないじゃん?

後席のドアは90度開いてなにかと便利なうえ、低い床と幅のあるサイドシル(乗り込むときの敷居みたいなところ)が水平になっているので足をかけやすい。これ、小さな子どもやおじいちゃんたちは便利だろうな。足腰弱ってきた私もだけど。

◆「自慢の」Sモードがとにかく秀逸

ホンダ N-ONE 新型(プレミアムツアラー)
床が低いので荷物スペースの床も当然、低い。さらに、後席の背もたれを前に倒したときに、後席座面が上手に下に下がってくれるので、できあがる広々とした荷物スペースもフラットなうえ、これまた低い。重いものが苦手な女性でも、大きな荷物を扱いやすいはずだ。

インテリアの質感は、ほかの人もきっと褒めるからここではパスするとして、リクエストをするならば、モノを隠せる小物入れが欲しかったところ。ぜんぶ、丸見えなんだもの。それとも、N-ONEを選ぶおしゃれさんは、車内をちらかさないのかしら。

ホンダ N-ONE プレミアムツアラー
走りは、特に「自慢の」Sモードがとにかく秀逸。ターボ付きの「RS」の走りのよさは言うまでもないけれど、ノンターボでもSモードにすると、高速道路での追い越し加速のときに、胸が抑え込まれるようなつっかえ感がまるでない。660ccに「胸のすくような」という言葉を使っていいのか躊躇するけれど、でも使いたくなる気持ちよさだ。エンジン音も3気筒エンジンの安っぽさがなく野太くて耳に心地いい。

◆あとはテレスコピックがあれば…


最後に、テレスコピックがないために、やっぱり軽自動車の宿命でもあるハンドル位置が遠い。せっかくアクセル~ブレーキペダルの位置関係が抜群によくて踏みかえ操作がしやすいのに、ハンドルが遠いからシートを前にせざるをえなくて、そうすると足首きつくなるから踏みかえがしにくくなるのである。

「軽自動車のハンドル位置遠い問題」は、以前コラムでも書いたように、かなり根の深い問題だとわかっているし、我々ユーザーも考えなくちゃいけないんだけど、でもやっぱり遠いのは運転しにくい。なんとかしてもらいたいのである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、ノンフィクション作家として子どもたちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

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