ホンダ、AI音声認識による会話システム…聴覚障がいの従業員向けに開発・運用

ホンダ・コミュニケーション・アシスタンス・システムによる会議のデモ
ホンダ・コミュニケーション・アシスタンス・システムによる会議のデモ全 9 枚

ホンダは12月21日、独自のAI(人工知能)音声認識システムを活用し、聴覚障がいの人と健聴者のコミュニケーションをサポートするシステムを開発したと発表した。人材多様性の推進の一環としてグループの職場での活用を広めていく方針だ。

ホンダの先端科学技術分野を担う「ホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパン(HRI-JP、埼玉県和光市)」と、部品などを手掛け、障がい者が多く雇用されているホンダ太陽およびホンダR&D太陽(いずれも大分県日出町)が、ほぼ3年半をかけて共同開発した。9月からホンダ太陽やホンダ本体などでの運用を始め、会議や生産現場のミーティングなどで威力を発揮している。

この機器の名称は「ホンダ・コミュニケーション・アシスタンス・システム」。マイク、音声認識サーバー、テキスト(文字や図)配信パソコン、テキスト表示用タブレット、スマホなどで構成される。マイクで発言すると、AI音声認識システムが発言内容をテキストに変換し、パソコンを通じてタブレットやスマホに配信・表示する仕組み。タブレットからは手書きで自分の発言や図なども入力できるようになっている。また、発言内容は発言者ごとに色分けされて画面表示され、誰の発言かも分かりやすい。

システムの構築では、スピード重視型と正確性重視型の2種の音声認識エンジンを使用し、スムーズで変換ミスの少ないテキスト変換を実現したという。マイクでの発話は約2秒でタブレット画面などにテキスト表示される。ホンダの社内用語なども学習させているため、単語の認識誤り率は9%程度と、こうしたシステムでは極めて低い水準としている。

同日、ホンダ本社で二輪事業部の社員4人が、実際にこのシステムを使用した会議をデモンストレーションした。このうち3人が聴覚に障がいがある社員だが、手書きによる発言などもズムーズに表示され、出席者は「正確に速くやりとりができるので、ストレスも少ない」と話していた。従来は筆談が主なコミュニケーション手段だったので、相当な時間短縮が可能となっている。

開発の中心メンバーであるHRI-JPの住田直亮プリンシパルエンジニアは「『技術は人のために』の信念のもと、障がい者に寄り添うシステムで働き方をサポートしたい。そして障害の有無にかかわらず、すべての人が働きやすい職場を実現していきたい」と語った。引き続き、ハンズフリーによる音声入力や手話認識といった、より高い機能も追求していく計画だ。まずはホンダグループ内での導入を進めるが、外部への販売も「要望があれば検討したい」(住田氏)という。

《池原照雄》

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