京成が「異常時総合訓練」…欲張りな内容で対応を再確認[フォトレポート]

京成電鉄「異常時総合訓練」
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京成電鉄は12月22日、宗吾車両基地(千葉県酒々井町)において「異常時総合訓練」を実施した。列車脱線、信号・保安装置故障、河川増水といった重大な事象が相次いで発生したと想定し、異常時対応を再確認するとともに対応力の向上を図った。

設定された状況は、前日の夕方から夜にかけて関東地方を台風が通過、豪雨をもたらした。翌日は台風一過で空は晴れているものの、強風が吹き、京成電鉄が横切る荒川の水位が上昇しつつある、というもの。

開会式で京成電鉄の室谷正裕専務取締役鉄道本部長は「安心安全はコロナ禍でも変わらない。しかし今年、青砥で脱線事故が発生したのは痛恨の極みだ。訓練では、例えば指揮命令系統の明確化といった異常時対応の確認、課題の抽出をしてほしい。訓練内容は経験したこと、あるいは今後起こりうることだ。課題を認識して訓練が有意義になるように」と訓示した。

想定された事象は次の通り。

(1)上野トンネル入口付近(日暮里~京成上野)を走行中の上り列車が、突風による飛来物を巻き込み、乗り上げた最後尾車両の後部台車が脱線した。時刻は朝の8時ごろ。列車はトンネル内で停車した。乗客の2名が負傷、また視覚障がいのある乗客1名が乗車している。脱線で枕木が破損、架線が断線して地上に垂れ下がった。脱線した列車。実際にレールから外してある。脱線した列車。実際にレールから外してある。

(2)脱線事故を受け、運転見合わせのため、運行中の列車を各駅に収容する指示を出したところ、信号トラブルにより千住大橋駅手前(京成関屋~千住大橋)に上り列車が駅間停車した。千住大橋駅に進入するための場内信号機が無現示(消灯)している。信号機無現示の原因は、ケーブルに飛来物があたったことによる断線だった。信号機無現示の原因は、ケーブルに飛来物があたったことによる断線だった。

(3)荒川の水位が上昇し、数時間以内に本線荒川橋梁(堀切菖蒲園~京成関屋)軌道上への土のう設置が必要となる水位に達する見込み。水害に備えて荒川の堤防は嵩上げされたが、橋梁は嵩上げ前の高さで建設されているからだ。京成電鉄では荒川基本水準面(A.P.)プラス4.43m以上で運転整理を始め、プラス4.8mで千住大橋~青砥間が運休となる。今回の訓練では、脱線による運転見合わせ後に運休水位となった。再び架線の復旧作業。再び架線の復旧作業。

これらを想定した訓練概要は次の通り。

(1)災害対策本部・現地対策本部の設置と関係各所との連携
(2)災害現場2か所と対策本部との情報伝達
(3)列車防護、連絡通報、旅客の誘導案内
(4)駅間停車列車の救済
(5)事故現場における復旧作業

閉会式で室谷本部長は「意欲的な、欲張りな訓練内容であったが、全体を通じてうまくいった。ひとつ気が付いた点をあげると、駅間停車した列車から下りる避難梯子が急だということ。今回の訓練でやっていたように、両脇で、少なくとも片側で介助が必要だ。事故は夜間や雨天でも発生する。実際の対応では訓練のシナリオ通りいかないかもしれないが、訓練は基本だ。訓練は生きてくる。素晴らしい訓練だった」と講評した。

《高木啓》

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