パガーニ・アウトモビリは12月16日、『ウアイラ・トリコローレ』(Pagani Huayra Tricolore)をデジタルワールドプレミアした。
ウアイラ・トリコローレは、イタリアの空軍のアクロバット飛行チーム、「フレッチェ・トリコローリ」(Frecce Tricolori)の60周年を祝福するモデル。『ウアイラ・ロードスター』をベースに、3台が限定生産される予定だ。価格は550万ユーロ(約6億9550万円)と発表されている。
エアロダイナミクス性能を向上させる新デザイン
ウアイラ・トリコローレでは、エアロダイナミクス性能の向上に重点が置かれた。新設計のフロントスプリッターは、最大のダウンフォースを獲得するように設計されている。フロントバンパーは、サイドエクストラクターを備えた新デザイン。これは、インタークーラーの冷却性の向上を図るものだ。エアスクープには、吸気効率を高めるエアコンベヤーシステムが採用された。このシステムは、エンジンに空気を多く取り入れることができる。
パガーニ・ウアイラ・トリコローレリアには、新しいディフューザーを装着した。新形状のリアウィングは、カーボンファイバー製のリアフードと一体設計された。このリアウィングはジェット機のテールフィンを連想させるデザインとした。哨戒機と同じように、車体の外側に番号が添えられている。
フロントフードの中央には、ピトー管が配された。これは、航空機が対気速度を測定し、航空機の空力状態を判断できるようにする機器だ。
パガーニ・ウアイラ・トリコローレ航空技術が導入されたシャシー
シャシーをはじめ、素材や製造プロセスには、航空技術が導入された。シャシーには、最新の複合素材としてカーボンチタンなどが使用されており、ねじり剛性と曲げ剛性が引き上げられた。この結果、車両の動的レスポンスが向上しているという。
パガーニ・ウアイラ・トリコローレサスペンションの形状は、V型12気筒エンジンのパワーを効果的に路面に伝達するように設計された。ブレーキング時とコーナリング時のダイビングとロールの影響を軽減することも狙う。電子制御のアクティブショックアブソーバーとアクティブエアロダイナミクスを組み合わせて、車両の安定性をさらに追求している。
ミッドシップに収まるのは、メルセデスベンツの高性能車部門、メルセデスAMG製のM158型6.0リットルV型12気筒ガソリンツインターボエンジンだ。このエンジンに専用チューンを施した結果、最大出力は840hp/5900rpm、最大トルクは112.2kgm/2000~5600rpmを引き出す。トランスミッションは、7速シーケンシャルを組み合わせる。
パガーニ・ウアイラ・トリコローレ超軽量のトリプルディスククラッチ、電子制御ディファレンシャル、レーシングカー由来のトリポイドカップリングシステムで構成されるフライホイールクラッチユニットは、ギアボックスから後輪への摩擦ロスを低減する。システム全体が従来のクラッチディスクよりも4kg軽量化されているため、ギアチェンジ時のレスポンスが大幅に向上しているという。
戦闘機にインスパイアされたインテリア
パガーニ・ウアイラ・トリコローレコックピットは、フレッチェ・トリコローリのアエルマッキ「MB-339PAN」練習機にインスパイアされた。アルミ製の部品は、航空宇宙グレードの合金で作られており、機械加工されてから、独特の青色に陽極酸化される。
アルミとカーボンのモノブロックから削り出されたシフトレバーは、フライス加工され、研磨によって透明処理される。シートは白と青のツートンカラーで、2010年発表の『ゾンダ・トリコローレ』を連想させる。白、赤、緑のストライプを添えたレザーインサートは、フレッチェ・トリコローレへのオマージュだ。フレッチェ・トリコローレのエンブレムが4点式シートベルトとヘッドレストに添えられた。
パガーニ・ウアイラ・トリコローレセンターコンソールには風速計をレイアウトした。対気速度を検出し、専用のインジケーターを通じてドライバーに表示する、としている。