【アウディ e-tron スポーツバック 新型試乗】走りに関して高得点をもらえるのは間違いない…九島辰也

重量が気になっていたスタンダードモデル

2.5トンを超える重量は見事に消された感覚

徹底したロールの抑え込みがおもしろい

アウディ e-tron スポーツバック
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2018年9月にサンフランシスコでワールドプレミアした『e-tron(イートロン)』。スポークバックはその派生モデル。日本市場におけるアウディブランド初のピュアEVである。

重量が気になっていたスタンダードモデル

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試乗したのは、e-tron スポーツバック55クワトロ ファーストエディションのバーチャルエクステリアミラー仕様車。リチウムイオンバッテリーを搭載し、前後それぞれにモーターを積んで4つのタイヤを駆動する。ある意味新しい種類のクワトロだ。

スポーツバックとのご対面は今回が初めてだが、スタンダードボディのe-tronは実はドイツでテストドライブしたことがある。ミュンヘン郊外の市街地とハイウェイを走り回った。なので、今回はその違いがどうなのかという期待もあった。

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「期待」としたのは、ドイツでのe-tronの印象は正直「これはいい!」という感じではなかったからだ。ステアリングの操舵感はしっかりあり、それに反応するサスペンションの素直な動きはさすがなのだが、どうしてもボディの重さが気になった。言うなれば機敏さに欠けていたのだ。途中カメラカーの『Q5』を動かしたこともあり、その違いはよくわかった。車両重量がアウディらしさをスポイルしている。

2.5トンを超える重量は見事に消された感覚

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がしかし、今回ステアリングを握ったスポーツバックはそうではなかった。出だしから軽快で、箱根のワインディングを機敏に駆け抜けた。さらにいうと、高速道路での走りは想像以上に頼もしい。EVならではの加速感でドーンとボディを前へ押しやる。2.5トンを超える重量は見事に消された感覚だ。ユニークなのはアクセルを踏み込んだ先に加速スイッチがあること。ガソリン車にかつてあったギアをキックダウンするスイッチのようなものだ。ドイツ車を乗り継いできた者にとってはちょっと懐かしい気もする。

なので、全長4900mm、全幅1935mmのサイズも走り出せば小さく感じる。横に立った時のボリュームとはかけ離れた印象だ。スタンダードボディを補強したスポーツバックがこれなのだから、もしかしたらそちらもあの時から進化しているかもしれない。年次改良を見事に進める彼らのことだから、そこは間違いないであろう。

徹底したロールの抑え込みがおもしろい

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また、エアサスペンションのセッティングも素晴らしい。ドライブセレクトで好みを調整できるが、どのポジションであっても一定の快適さは担保される。この辺はアウディ『A8』で磨いてきたノウハウの投入だろう。高級車の乗り心地をここで体感できる。

個人的におもしろいと思ったのはコーナリング時の制御。フロントのエアサスが踏ん張ってロールをピタッと抑える。いい悪いとか別にしてここまで徹底したロールの抑え込みはアウディとしては珍しい。『Q8』もこの傾向だが、このクルマはそれ以上に思える。これは好みはあるだろうが、ヨーロピアンSUVのトレンドだ。例えばレンジローバーファミリーもこの挙動に近い。どんなシチュエーションであれこのエアサスはキャビンをフラットに保つよう躾けられている。

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といったe-tronスポーツバックは現在日本で売られているEVの中でトップレベルの走りにあると思う。もちろん、1000万円オーバーの高級車なのだからそうでなくては困るが、こと走りに関してクルマ好きから高得点をもらえるのは間違いないであろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの"サーフ&ターフ"。 東京・自由が丘出身。

《九島辰也》

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