羽田イノベーションシティを核としたスマートシティ…鹿島建設 開発事業本部事業部 事業部長 加藤篤史氏[インタビュー]

羽田イノベーションシティを核としたスマートシティ…鹿島建設 開発事業本部事業部 事業部長 加藤篤史氏[インタビュー]
羽田イノベーションシティを核としたスマートシティ…鹿島建設 開発事業本部事業部 事業部長 加藤篤史氏[インタビュー]全 1 枚

羽田空港を発着する飛行機を見ながら解放感のあるスカイデッキで足湯を楽しんだり、自動運転バスやロボットなどの最先端技術を楽しんだりできる施設として、コロナ禍でも華やかなニュースとしてメディアに取上げられ注目されたHANEDA INNOVATION CITY(略称はHICity、羽田空港滑走路跡地の5.9ヘクタール)。鹿島建設を代表に9社が、東京大田区から50年の定期借地で取組む壮大なスマートシティだ。2020年7月3日まち開きが行われ9月18日から本格稼働しはじめた。

同社が独自開発を行うデジタルツイン「3D K-Field」を施設運営ツールとして導入している点にも注目が集まっている。HICityの取組みや大田区などの地域展開について、鹿島建設 開発事業本部事業部 事業部長の加藤篤史氏に聞いた。

加藤氏が登壇する1月27日開催のオンラインセミナー「スマートシティビジネス2021~HANEDA INNOVATION CITY~」はこちら。

先端と文化のコンプレックスを創りたい

---:HICityのコンセプトを教えてください

加藤氏:大田区から頂いたテーマは「先端」と「文化」です。

大田区は下町ロケットに代表されるように”中小企業の街”です。以前は約1万社ありましたが、現在は約3千社に企業数が減少し、世代交代が進まないなどの問題を抱えています。そこで
先端技術に取組む企業とそれに役に立つ技術を提供する大田区企業という図式を作りたいという思いが込められているのかと思います。私たちのプロジェクトでは、「医療」「先端モビリティ」「ロボット」に焦点を当て取組むことにしました。

羽田空港は、国内外の文化が交差する場所です。日本の固有の文化を発信し、地方の文化を引き込み融合させ発展することも可能ではないかと感じています。

実店舗営業を行っている施設でのテストベットとしても

HICityを単なるショッピングセンターにしたくない、先端と文化のコンプレックスを作りたいという思いから、先端モビリティセンター、体験型商業施設、足湯スカイデッキ、アートアンドテクノロジーセンター(2023年開業)、研究開発拠点(2023年開業)、先端医療研究センター(2023年開業)の施設を計画しました。

施設の店舗が営業を行い、一般来訪者がある環境下で、さまざまな実証実験が行えるテストベットとしてして活用も可能です。9月18日の本格稼働に合わせて、先端モビリティやロボットなどを集めて、社会的受容性の検証を行いました。

将来的には羽田空港を自動運転バスで結びたい

---:HICityでは、ナビヤ社の自動運転バスを1台購入され、BOLDLYの遠隔監視システムを活用して日本交通が運行管理を担うかたちで、自動運転バスのサービスを常時提供されていますね。将来的にはどんな風に走らせたいと考えていますか?

加藤氏:将来的には、HICityと羽田空港第3ターミナルの約2キロメートルの区間も自動運転バスで結びたいと思っています。そのため、現在は施設内の道路ですが、警察との相談しながら進めたり、ナンバープレートを取得したりして定常運行させています。

リアルタイム現場管理システム「3D K-Field」を活用

---:リアル空間の情報をIoTなどで集めて、サイバー空間でリアル空間を再現するデジタルツインを鹿島建設が中心となって独自開発しているようですね。

加藤氏;もともと弊社はデジタルを活用した建物の施工を行っています。図面を3Dでデジタル化したり、作業員の位置とバイタルやクレーンの稼働状況をビーコンやスマートフォンを活用したりして工事の進捗をリアルタイムで管理しています。このシステムをリアルタイム現場管理システム「3D K-Field」といます。

このリアルタイム現場管理システム「3D K-Field」を施工だけではなく、施設のデジタルツインとして施設運用などに活用する可能性を見出し、HICityに導入しています。これを用いて、データ収集や分析を行ったり、情報の可視化を行い人の流れを変えたり、自動運転やロボットを動かすなど行っていきたいと思っています。

---:他の施設や地域の展開は可能ですか?

加藤氏:一度システムを作ってしまえば、横展開が可能で価格も抑えられるかと思います。またデジタル化する作業もさほど時間を要しないでできるようになるかと思います。まずはHICityの施設の中で、ビジネスモデルを構築させて他地域でも展開していけるようにしたいと考えています。

鹿島建設は、大田区をはじめとする地域が抱える課題を解決するために、まずは閉じたHICityの施設内で先端テクノロジーを育てて、他地域でも展開できるように実用化を図っていきたいと考えています。

加藤氏が登壇する1月27日開催のオンラインセミナー「スマートシティビジネス2021~HANEDA INNOVATION CITY~」はこちら。

《楠田悦子》

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