ラグジュアリー・アウディの原点…半世紀以上の歴史を持つ『Audi A6』が今も輝く理由

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Audi A6 45 TFSI quattro sport
Audi A6 45 TFSI quattro sport全 34 枚

Audi A6のアイデンティティはどこにあるか?

Audi A6Audi A6
サルーンとしてアウディの最先端テクノロジーを余すところなく搭載し、その先進的なヴィジョンと走りをつねに体現し続けるモデルが、『Audi A6(アウディ A6)』だ。無論、アウディのラインナップ上位にはショーファードリヴンもありうる『Audi A8(アウディ A8)』やファストバックの4ドアクーペである『Audi A7 Sportback(アウディ A7スポーツバック)』も存在する。だがA6は欧州Eセグメントのコアであるドライバーズカーとして、ひとつの頂点、独立峰であり続けている。

「A6」と名のつく最初のモデルは、1995年に「Audi 100」のマイナーチェンジから発展的に登場したC4型だが、祖型であるAudi 100は初代C1型が1968年に生まれており、今回試乗した最新世代のA6はC8型にあたる。じつに初代Audi 100から8世代にわたって半世紀以上、A6としても5世代・25年もの歴史がある。

いわばA6はアウディ伝統のモデルではあるが、歴代の各モデルがその時代における前衛にして最先端のサルーンであり続けてきた。そこに存在理由がある。

Audi quattroにつながるデザイン

Audi A6 45 TFSI quattro sportAudi A6 45 TFSI quattro sport
外観デザインはセダン、そしてワゴンのAvant(アバント)のいずれも水平基調のプロポーションで、ボンネット両脇からリアエンドに向かって浮かび上がるようなキャラクターラインが走っている。滑らかな面繋ぎから始まりながら、まるでノミで削り込んだような、プレス成型とは思えないほど深く鋭いエッジだが、注目すべきはさらに一段下。前後フェンダーのワイドながらも控え目な膨らみを、ほとんどブリスターフェンダーのように印象づけるプレスラインが走っている点だ。

A6をA6たらしめた先進的テクノロジーといえば、当然quattro(クワトロ)システムで、最新のA6の前後フェンダーアーチ上を走るプレスラインは、80年代にWRCラリーを席巻した「Audi quattro(アウディ・クワトロ)」へと繋がるライトモチーフそのものだ。

Audi A6 45 TFSI quattro sportAudi A6 45 TFSI quattro sport
quattroという4WDシステム自体はA6以前のC3世代から採用されたが、4WD技術を悪路走破性の向上のみならず、オンロードでのアクティブセーフティに結びつけたのはアウディが元祖で、あまつさえ、ハイパワーを路面に効率よく伝える4WDとその制御技術を、ハイパフォーマンスへのキー・テクノロジーとして進化させたのが、C4世代(Audi 100)以降のA6の歩みでもある。

欧州Eセグという、4.9m超の全長に3m近いホイールベースが許される優雅なクラスで、伸びやかなプロポーションの車は少なくない。だがA6の優美なサイドビューは、かくも雄弁に歴史とテクノロジーとハイパフォーマンスを内包する、欲張りなデザインといえる。とくに初代A6であるC4世代からシングルフレーム前夜のC5の頃、バウハウス的と評されていたアウディだけに、伝統的に意味のない線は引かないのだ。

軽やかでしなやかなオンザレール感覚とは

Audi A6 Avant 40 TDI quattro sportAudi A6 Avant 40 TDI quattro sport
今回乗り比べた2台は、Avant(アバント)がディーゼルの「40 TDI」で、セダンがガソリンの「45 TFSI」。いずれも直4・2リットル直噴ターボで12V MHEVが組み合わされ、上位グレード「50 TFSI」に設定されたV6・3リットルのガソリン+48V MHEVの「55 TFSI」より身近な位置づけの、新世代パワーユニットといえる。

ガソリン、ディーゼルともにトランスミッションは7速Sトロニックを組み合わせる。ギア比もオーバードライブ領域でのセッティングは多少異なるが、5速までは一緒だ。もちろん今回の組み合わせだけでなく、セダン、アバントそれぞれのボディタイプにガソリンとディーゼルをラインアップしているので、ライフスタイルに合わせてお好みで選ぶと良いだろう。

まずはセダンの方、ガソリンユニットは中高速域まで昇りつめていく際のパワー感の滑らかさが際立っている。こちらの奥ゆかしい感触に対し、ディーゼルはトルクの出方が率直だ。初速のつき方・分厚さでは400Nm/1750-3000rpmを誇るディーゼルの方が優るものの、両者ともゼロ発進でも一定速度からの踏み込みでも、加速に移るまでのラグが感じられず、ほとんど第一印象としては無機質なぐらい、力強く地面を蹴り続ける。

どちらのエンジンも元よりV6に匹敵するスムーズなエンジン駆動力に加えて、ベルト駆動のオルタネータースターター(BAS)が、状況に応じて最大60Nmのアシスト駆動を最大5秒間、効かせる。これがあらゆる速度域でブースト的にではなく、瞬発的な下支えとして効いているのだ。滑らかな吹け上がりを求めるならガソリン、トルクフルで巡航時の余裕、そして走行距離に対する絶対的な省コスト性を採るならディーゼル、といえる。

Audi A6 45 TFSI quattro sportAudi A6 45 TFSI quattro sport
ちなみにいずれのエンジンでもBASは、駆動アシストのみならず回生やコースティングへの切り替えをクランクシャフトとの間で行うため、効率が高く、フィール面でも黒子ほどの存在すら感じさせない。通常の車載バッテリーとは別に、0.15kWh容量リチウムイオンバッテリーを積み、必要に応じていつでも電気による駆動アシストを受けることができる。

また今回はA6、A6 Avantとも、「ダンピングコントロールサスペンション」と4輪操舵システムである「ダイナミックオールホイールステアリング」が装着されていた。気密性が高く静かなインテリアと、コンフォートモードでの柔らかな足さばき、そしてquattroならではの直進スタビリティが相まって、高速クルーズは至高の体験といえる。操舵や身のこなしの軽やかさと、オンザレールのどっしり感が同居した、不思議なライド感なのだ。

音楽のように心地いいドライバーズカー

Audi A6 Avant 40 TDI quattro sportAudi A6 Avant 40 TDI quattro sport
通常の並一辺倒の車ならば、ルーフが大きく長いワゴンボディの方が動的質感ではセダンに譲りやすい。が、トルクの厚みと4輪操舵の自然なステアリングフィールもあって、「A6 Avant 40 TDI quattro」のハンドリングは、「A6 45 TFSI quattro」のそれにまったくヒケをとる気配がない。

パワートレインをフロントに縦置き搭載する「MLB Evo」は、後輪駆動モデルを前提に開発されつつ『e-tron Sportback』など最新鋭のEVにも用いられるプラットフォームだが、FF専用設計とは比べ物にならないほどデフォルトで後車軸周りの剛性が高いせいもあるだろう。

ちなみにドライブモードでINDIVIDUALを選べば、サスペンションとパワートレイン、ステアリングを、剛・柔・中の3段階で個別設定できるので、道路や好みに応じていつでも変えられる。

車内インターフェイスは、アウディのハイエンド・モデルに共通するMMIタッチレスポンス。解像度が高く、指での操作に敏感に反応するダッシュボード中央の上下2画面と、フルデジタルのメーターパネルという構成だ。

Audi A6 Avant 40 TDI quattro sportAudi A6 Avant 40 TDI quattro sport
ステアリングホイール上のショートカット的な物理的ボタンを駆使して、メーターパネル内に映し出せる表示モードも多様だが、最大の利点はマップや燃費情報、パワートレインの状態など、同時に見たい複数情報を呼び出せるだけでなく、優先順位の高い方にトグル&ズームできること。つまり自分の好みや運転スタイルに適したセッティングが可能ということだ。

ドライバーの要求が高くなるほどにアウトプットの質を上げて応じてくれるのは、歴代A6に流れ続ける通奏低音でもある。そもそもquattroのスタビリティの高さは、雨の高速道路や氷雪路など、条件が厳しくなるほどに頼りになる。スポーツドライビングを楽しみたい時は、ファイナル減速比が少し低い後車軸の側から、FR的に蹴り出すような加速感が得られもする。また高速道路でのクルーズ時は、パワートレインの電動化デバイスやADAS機能の働きが最大化されることで、静粛性と寛ぎ感がさらに高められる。

多機能やハイパワーを誇るより、指揮者のタクトの僅かな動きにも反応するオーケストラのような、先進的で統合されたコントロール性の高さ。それこそ無機質どころかじつは官能的な、Audi A6という比類なきドライバーズカーの本質は、最新世代にも見事に受け継がれているのだ。

Audi A6 Avant 40 TDI quattro sportAudi A6 Avant 40 TDI quattro sport

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《南陽一浩》

南陽一浩

南陽一浩|モータージャーナリスト 1971年生まれ、静岡県出身。大学卒業後、出版社勤務を経て、フリーランスのライターに。2001年より渡仏し、パリを拠点に自動車・時計・服飾等の分野で日仏の男性誌や専門誌へ寄稿。現在は活動の場を日本に移し、一般誌から自動車専門誌、ウェブサイトなどで活躍している。

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