新連載[カーオーディオ ブランド名鑑2021]ダイヤトーン…エポックメイキングな製品群

ダイヤトーンサウンドナビ・NR-MZ300PREMI-3
ダイヤトーンサウンドナビ・NR-MZ300PREMI-3全 3 枚
あまたある世界中のカーオーディオメーカーの中から特に注目したいブランドについて、それぞれの特色や現行ラインナップを分析する新連載を開始する。第1回目となる当回では、国産人気ブランド“ダイヤトーン”にスポットを当て、その特長や魅力を浮き彫りにしていく。

◆2006年に高級スピーカー『DS-SA3』をリリースし、華々しく復活!

ところで、“ダイヤトーン”はアルファベットで表記する際には“DIATONE”と綴るが、カタカナで表記する際には「ダイヤトーン」が正解だ。「ダイアトーン」と表記されることも散見されるが、それは実は誤りだ。

さて、同ブランドは歴史が古い。かつて昭和の時代にホームオーディオの一大ブームが巻き起こったが、“ダイヤトーン”はブームが本格化する以前から、特にスピーカーメーカーとして愛好家からの羨望の眼差しを浴びていた。

ところが2000年代に入る頃に、一旦その名前は市場から消える。しかし…。カーオーディオブランドとしては2006年に華麗なる復活を果たす。高級スピーカー『DS-SA3』(税込価格:25万円、当時)を発売したのだ。そしてその翌年にはさらなる高級モデル『DS-SA1』(税込価格:50万円、当時)をリリースし、その秀麗な音質性能を持ってして当時のカーオーディオ愛好家たちをあっと驚かせた。

以来“ダイヤトーン”は、エポックメイキングなユニットをさまざま世に贈り出し続けてきた。例えば2008年の暮れには、デジタルプロセスセンター『DA-PX1』(税込価格:80万円、当時)を発売し、大きな話題を呼ぶ。これはメインユニットとDSPがセットになったアイテムで、当機には“ダイヤトーン”だけの独自機能「マルチウェイ・タイムアライメント」も初搭載されていた。

なお、「マルチウェイ・タイムアライメント」も含め当機に搭載されていたさまざまな技術は、現在の“ダイヤトーン”の看板アイテムの1つである『ダイヤトーンサウンドナビ』に引き継がれ活かされている。その意味でも『DA-PX1』は記念碑的なモデルであったと言って良い。

ダイヤトーン・DS-SA1000

◆理想的な特性を有する振動板素材「NCV」を採用した新スピーカーを発売!

そして“ダイヤトーン”は2011年に、新たに開発した振動板素材「NCV(ナノ・カーボナイズド・ハイベロシティ)」を使用した2ウェイスピーカー『DS-G50』(税込価格:15万円、当時)を発売する。

「NCV」とは、カーボンナノチューブと数種類の樹脂とを最適配合して作られた三菱電機による独自新素材だ。そしてこれは、振動板素材としての理想的な特性を有している。というのも振動板素材には、伝搬速度の速さと素材自体の固有音の影響の少なさという相反する2つの性質が求められるのだが、「NCV」はチタンと同等の伝搬速度を誇り、紙と同等の固有音の影響の少なさを発揮する。

しかも、ツイーターとミッドウーファーの両方に使用できるので、結果、高音から低音まで一体感のあるサウンドの再生も可能となる。

ちなみにこの「NCV」は、以後“ダイヤトーン”から発売されたスピーカーのすべてで採用されてきた。そして新たなモデルで使われる度に進化を繰り返し、その特長を一層伸長させてきた。

また“ダイヤトーン”は、先述した同社の代表的ユニット『ダイヤトーンサウンドナビ』の初代モデル『NR-MZ60シリーズ』を、2012年7月に世に放つ。

ところで当機が誕生する以前には、ハイエンドカーオーディオシステムの中心には1DINのメインユニットが据えられることが多かった。しかしカーナビの普及とともに、センタークラスターパネルのオーディオスペースはそれに占拠されることが増え、別に1DIN機を取り付けにくくなっていた。

しかし『ダイヤトーンサウンドナビ』を選べば、ナビとハイエンドカーオーディオメインユニットとを同時に手にできる。その点においても『ダイヤトーンサウンドナビ』は革新的なユニットと言えた。そして以後は、ハイエンドナビを核とするシステム構築スタイルも、本格システムを築き上げる上での主たる方法論の1つとなった。

ダイヤトーン・DS-G300

◆『ダイヤトーンサウンドナビ』は第6世代となるまで、毎年進化を繰り返した…。

なお『ダイヤトーンサウンドナビ』は、2017年に発売された第6世代『NR-MZ300PREMI』となるまで、年々進化を遂げてきた。そして新たなモデルが出される度にその進化幅の大きさが話題を集め、都度カーオーディオ界を刺激した。

ちなみに現行モデルは、8型大画面モデルの『NR-MZ300PREMI-3』(税抜価格:26万8000円)だ。当機は2020年の4月より販売開始されている。

ところで当機には先にも記したとおり、『DA-PX1』にて初採用された「マルチウェイ・タイムアライメント」が搭載されている。そして当機能を活用すると、「ナビを換えただけで」システムの高音質化が果たせる。スピーカーは純正のままで、しかも配線をそのまま使用しながらもツイーターとミッドウーファーの個別制御を行えるので、ハイエンドシステムでなければ実現できないようなリアルなステレオイメージの再現が可能となる。ゆえに当機はカーオーディオビギナーに使われることも多い。つまり『ダイヤトーンサウンドナビ』は、愛好家の裾野を広げる役目も果たし続けてきた。

またスピーカーについては現在、フラッグシップとなる『DS-SA1000』(税抜価格:67万円)と、スタンダードモデルである『DS-G300』(税抜価格:8万円)、この2モデルを擁している。

そしてさらには25cmサブウーファー『SW-G50』(税抜価格:8万円)も用意する。当機もまた、専門家からの評価の高いひと品だ。これにも「NCV」が使われていて当機では、レスポンスの速い正確な重低音をドライブできる。2012年2月の発売以降、ロングセラーを今もなお継続中だ。

エントリーユーザーからハイエンド愛好家まで、幅広い層に愛されている“ダイヤトーン”。良い音で音楽を楽しむことに興味があれば、“ダイヤトーン”にもぜひご注目を。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

ブランド名鑑・2021 第1回「ダイヤトーン」編

《太田祥三》

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