ヤマハ SR400 が生産終了、「ファイナルエディション」正式発表…1000台限定車も

ヤマハ SR400 が43年の歴史の幕を閉じる。写真はSR400 Final Edition
ヤマハ SR400 が43年の歴史の幕を閉じる。写真はSR400 Final Edition全 24 枚

ヤマハ発動機が『SR400』の最終モデルとして「ファイナルエディション」を発表した。生産終了の危機を乗り越えながら43年にわたり販売された名車が、いよいよ幕を閉じる。

改良を続けた「リアルクラシック」

この10年、バイク界で盛り上がったムーブメントが、ネオクラシックと呼ばれるジャンルだ。往年の名車の名を復刻したモデル、古き良き時代の雰囲気を感じさせるモデルが、世界中のメーカーから登場。ファッション性に富んでいることや、カスタムを手軽に楽しめることも手伝って、大きなトレンドになってきた。

そんな中、「私、昨日今日のぽっと出じゃないんで」と言わんばかりに泰然と構えているのが、ヤマハSR400だ。なにせ、初代モデルの登場は1978年のこと。つまり、43年も前の話で、ネオクラシックどころかリアルクラシックである。

もっとも、当時のまま生き長らえてきたわけではない。時代や環境に併せてコツコツと改良が積み重ねられてきたわけだが、姿形はほぼそのまま。空冷単気筒をタンクインフレーム(フレームパイプがオイルタンクを兼ねる構造)に搭載し、キックで始動するという古式ゆかしい方法も守り抜いた。『V-MAX』や『セロー』など、息の長いモデルを多く輩出してきたヤマハの中でも群を抜くロングセラーである。

ヤマハ SR400 Final Edition Limited(ブラック)ヤマハ SR400 Final Edition Limited(ブラック)
そんなSRには、これまで幾度となく生産中止の危機があった。実際にわずかな期間、ラインナップから外れたこともあるのだが、ユーザーやショップに後押しされるように復活。なによりヤマハ社内に、「SRを消してはならない」という強い思いがあった。

しかしながら、ついにと言うべきだろう。「SRファイナルエディション」と「SRファイナルエディション リミエッド」が発表された。これまで「スペシャルエディション」や「リミテッドエディション」、あるいは誕生年数やヤマハの創業を記念した特別仕様は発売されてきたものの、最後を意味する言葉が使われたことはない。

ヤマハの公式見解としても、これにて本当に生産終了であり、復活の予定はないとのこと。いよいよお別れの日が近い。

SR400 ファイナルエディションと限定1000台のリミテッド

ヤマハ SR400 Final Editionヤマハ SR400 Final Edition
ファイナルエディションの名を持つふたつのモデルは、塗装や外装パーツが異なり、スペックは従来モデルと共通だ。それぞれの特徴は、次の通りとなる。

●SR400 ファイナルエディション
歴代モデルを彷彿とさせるシンプルなダークグレーと、親しみやすく温もりを感じさせるブルーの2色を展開。価格は、60万5000円。

●SR400 ファイナルエディション リミテッド
歴代のファンに愛されてきたブラックを採用。燃料タンクは職人の手作業によるサンバースト塗装が施される他、シリアルナンバー入りの電鋳エンブレム、真鍮の音叉エンブレム、本革調シート、新色のアルマイトホイールリム、「Final Edition」と記したメーター文字盤を装備。こちらの価格は、74万8000円。1000台の限定生産だ。

今回の決断に至った最大の理由は、令和2年排ガス規制(ユーロ5とほぼ同意)をクリアしようとすると人的にもリソース的にも無理があり、現実的ではないコスト高を招くからだ。タイ向けのみ、しばらくは継続されるとのことだが、それもいつまでもというわけにはいかない。

SR400 ファイナルエディションの方は限定ではないが、迷っている人は早めにオーダーした方がいいだろう。発売は、2021年3月15日から始まる。

ヤマハ SR400 Final Editionヤマハ SR400 Final Edition

《伊丹孝裕》

モーターサイクルジャーナリスト 伊丹孝裕

モーターサイクルジャーナリスト 1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

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