ホンダが2月9日にオンライン会見で発表した2021年3月期の第3四半期(4~12月期)連結決算は、コロナ禍の影響で営業利益は4470億円(前年同期比30%減)となった。通期予想は販売費・一般管理費の削減などにより上方修正した。
今期の第1四半期は1136億円の営業赤字だったが、第2、第3四半期と着実に利益を積み上げている。第3四半期の四輪車グローバル販売は10%減の342万5000台となった。小売りベースでは主力の米国が16%減の104万8000台だったものの、早期に回復してきた中国は15%増の140万5000台と前年を大きく上回った。日本は14%減の43万2000台となった。
営業損益段階での販売減の影響(売上変動・構成差)は4521億円にのぼった。コロナ禍の影響が大半を占めた。為替は1ドル106円で3円の円高となり、通貨全体での為替変動による悪化影響は470億円となった。一方で販管費の削減で1286億円の増益効果を確保した。売上高は17%減の9兆5467億円、純利益は9%減の4441億円だった。
通期の四輪車販売計画は、半導体不足の影響で咋年11月時点より10万台下方修正して450万台(前期比6%減)とした。しかし費用削減やコストダウン効果により通期の営業利益は、従来比で1000億円多い5200億円(18%減)、純利益は750億円増額の4650億円(2%増)に上方修正した。純利益は一転して増益になる。
ホンダ N-BOX 改良新型オンラインで会見した倉石誠司副社長は、通期業績の上方修正について「新型コロナの感染拡大や半導体の供給不足の影響はあるが、販管費の削減やコストダウンなど全社的な取り組みの成果だ。半導体の供給不足がなければ、為替影響を除いてコロナの影響を吸収し、咋年度を上回る(営業利益の)報告となっていたので残念」と説明した。通期純利益の修正には中国などの持分法による投資利益の増加も寄与しているという。
一方、半導体不足について倉石副社長は「徐々に改善しており、今後は生産機種の入れ替えなどによって影響を最小限にしたい」と述べた。そのうえで来期の影響は「基本ゼロだと見ている」とし、需給ひっ迫の長期化には否定的な見解を示した。
ホンダ 倉石誠司副社長(参考画像)