ジャガー・ランドローバー(Jaguar Land Rover)は2月15日、新グローバル戦略の「リイマジン(REIMAGINE)」を発表し、この中でランドローバーの電動化計画を発表した。
リイマジン計画の中心となるのは、ランドローバーとジャガーの両ブランドの電動化だ。両ブランドの電動化は、独自の明確な個性を備えた異なるアーキテクチャーに基づいているという。
新型ディフェンダーのPHVはEVモード最大43km
ランドローバーは2017年9月、2020年以降に全車種へ電動パワートレインを設定すると発表した。EVをはじめ、PHV、ハイブリッド車(マイルドハイブリッドを含む)を投入していく予定だ。新型『ディフェンダー』、『レンジローバー ヴェラール』、『レンジローバーイヴォーク』、『ディスカバリースポーツ』の4車種のPHVは、この計画に沿って登場したモデルとなる。
ランドローバー・ディフェンダー 新型のPHV「P400e」新型ディフェンダーとレンジローバー ヴェラールのPHVパワートレイン搭載車は、「P400e」グレードを名乗る。エンジンは2.0リットル直列4気筒ガソリンターボ「インジニウム」で、最大出力300psだ。これに最大出力143psのモーターを組み合わせて、システム全体で404psのパワーと65.3kgmのトルクを引き出す。駆動方式は4WDだ。
新型ディフェンダーの場合、0~100km/h加速が5.6秒、最高速が209km/hとなる。二次電池は、蓄電容量19.2kWhのリチウムイオンバッテリーだ。出力50kWの急速チャージャーを利用すれば、バッテリーの8割の容量をおよそ30分で充電できる。EVモードでは、最大43kmのゼロエミッション走行が可能だ。この効果もあって、欧州複合モード燃費30.3km/リットル、CO2排出量74g/kmの環境性能を実現している。
ランドローバー・ディフェンダー 新型のPHV「P400e」レンジローバーイヴォークのPHVは燃費71.4km/リットル
一方、レンジローバーイヴォークとディスカバリースポーツのPHVが、「P300e」グレードだ。PHVシステムのエンジンは、1.5リットル直列3気筒ガソリン「インジニウム」ユニットが、最大出力200psを発生し、前輪を駆動する。最大出力109psの電気モーターは、リアアクスルに組み込まれ、後輪を駆動する。PHVシステム全体では309psのパワーと55.1kgmのトルクを獲得する。
ランドローバー・ディフェンダー 新型のPHV「P400e」レンジローバーイヴォークの場合、0~100km/h加速6.4秒の性能を発揮する。後席の下には、蓄電容量15kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載する。バッテリーは84個のセルで構成されており、各12個の50Ahモジュール7個に分けられている。EVモードでは、最大66kmをゼロエミッション走行することが可能だ。この効果もあって、燃費71.4km/リットル、CO2排出量32g/km(WLTP計測モード)の優れた環境性能を可能にしている。
今後5年間でフルEVを6車種投入
ランドローバー・ディフェンダー 新型のPHV「P400e」ランドローバーは、現在のPHV主体の電動モデルラインナップを拡大し、リイマジン計画では、今後5年間でフルEVを6車種投入する。これにより、『レンジローバー』、『ディスカバリー』、ディフェンダーの3ファミリーを通じて、ラグジュアリーSUVの世界的リーダーであり続けることを目指す。最初のフルEVは、2024年に登場する予定で、2020年代末までに、ランドローバー全車をフルEVに切り替える計画だ。
ランドローバーは、フレックス型の次期「モジュラー・ロンジチューディナル・アーキテクチャー(MLA)」を採用する。これは、ランドローバーが将来的に製品ラインナップを発展させていく中で、電動化した内燃機関(ICE)とEVの両方に対応する車台となる。さらにランドローバーは、EV専用の「エレクトリック・モジュラー・アーキテクチャー(EMA)」も採用する計画だ。
ランドローバー・ディフェンダー 新型のPHV「P400e」ランドローバーは2030年までに、モデルごとに完全な電動化を実現していく。その頃には、ランドローバーの世界新車販売台数の約60%が、テールパイプの無いパワートレインを搭載している見込み、としている。