テスラ モデル3 が突如82万円の値下げ!…これは買いか?

テスラ・モデル3
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2月17日、ソーシャルメディア上に「(テスラ)モデル3値下げ」の書き込みを発見。テスラの公式ウェブサイトを確認すると、確かに『モデル3』(Tesla Model 3)のスタンダードレンジの本体価格が511万円から429万円へと改定されている。

関連の情報は複数確認され、中には成約済みで納車待ちの顧客も新価格が適用されたという書き込み、交渉中の担当者に連絡したら担当者も今知った、という書き込みもあった。ただし、新価格の適用は17日からの注文分とのことだ。すでに注文済みで納車待ちの場合は、キャンセルして新たに注文すれば新価格が適用されるが、この場合、最終的な納車日、装備など細かい条件は注文方法に依存するので、新しい価格を適用したい人はテスラによく確認したほうがよい。

テスラは、昨年の発表でモデル3より廉価版の『モデル2』の市場投入を示唆している。モデル2のターゲット価格は3万ドルを下回ると言われており、日産『リーフ』やルノー『ZOE』、VW『iD.3』など、大衆EV市場の強力なライバルになると予想されていたが、モデル2投入を待たず、またプレミアムクラスのHVや純内燃機関車とも競争力のある価格設定をしてきたことになる。

今回値下げになったのは、WLTP航続距離448kmのスタンド―レンジモデルと、同580kmのロングレンジモデルの2モデル。それぞれ、429万円と499万円という価格設定だ。航続距離567km(WLTP)、最高速度261km/h、0-100km/h加速が3.3秒というパフォーマンスモデルは717万3000円のまま据え置きだ。

この違いはそれぞれの製造工場の違いと一致する。スタンダードレンジとロングレンジモデルは、新しく上海で稼働したギガファクトリーで製造される。パフォーマンスモデルは北米工場での生産モデルだ。また、上海工場で製造されるモデルは搭載されるバッテリーも変更されている。LFP(リン酸鉄リチウムイオン電池)というコストや耐久性、温度特性に有利だが、エネルギー密度や充放電性能が劣るタイプを利用している。

テスラは、セルの構造やパッケージを改良し、充放電制御のソフトウェアの変更によって、航続距離などの性能を変えずLFPによるコストダウンを実現した。また北米からの輸送より上海からの輸送のほうがコストを下げられる。

値下げの理由は、上海工場の本格稼働と、そこからの海外輸出が始まった措置を受けてのものと考えられる。既存メーカーの車両の場合、エンジンやバッテリーの調達コストが変わったり、拠点工場が変わったり、ロジスティックスコストの変動が販売価格に反映されることはまずない。もちろんこれは車両の価格が社会情勢などで大きく変動することがないように、サプライチェーンの努力によるものだ。一概にユーザーが損をしているわけではないが、コアとなるバリューチェーン(製造・販売)を自社で押さえているテスラが、コスト変動をそのまま小売価格まで即座に反映させるのは合理的で透明性も高い。

合理的ということは、逆の理由で値上げされる可能性もあるわけだが、現実問題として82万円もの値下げに、クリーンエネルギー関連の40万円の補助金(テスラは外部給電装置やHEMS等への住宅給電設備への接続機能を持たないので、すべての補助金が対象ではない)が適用されると、300万円台でモデル3が手に入る。

これまでは、「EVは高いので同じセグメントなら脅威にならない」と安心していられたかもしれないが、今回のテスラの値下げのインパクトは大きい。テスラ品質を気にして購入に踏み切れなかった層、選択肢に入れていなかった層にささる可能性がある。しかも、テスラは実費が下がった分を反映しただけで、値下げによる収益へのインパクトは最小限だが、競合メーカーが価格で対抗するとなると戦略価格を設定せざるをえない。

日本勢は苦しい戦いになりそうだが、これも正常な市場競争原理で、国内EV市場の活性化につながるものだ。国産クオリティやサポート体制など工夫してテスラに負けない製品・サービスを期待したい。

《中尾真二》

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