【マツダ CX-30 新型試乗】ガソリン&ディーゼルを比較、乗り心地の違いに驚いた…中村孝仁

マツダ CX-30 SKYACTIV-G
マツダ CX-30 SKYACTIV-G全 22 枚

2020年12月17日に、マツダは『CX-30』の商品改良を発表し、主としてディーゼルエンジン搭載車の改良をリリースしている。

それによれば「クリーンディーゼルエンジンSKYACTIV-D 1.8搭載車のエンジンとトランスミッションの制御技術をアップデートしエンジン出力を高めました」とある。さらに続けて「アクセル操作に対する応答性とコントロール性をより高め、ドライバーの意思とシンクロする走りを際立たせました」なのだそうだ。

一方のガソリン車には何ら対策は施されていない。そして発表時から現在に至るまで調べてみたところ、ガソリンモデルのCX-30に試乗していないことが判明した。そこで、少し新しくなったSKYACTIV-DとガソリンモデルのSKYACTIV-GのCX-30で乗り比べをしてみることにした。

ガソリン車とディーゼル車の乗り心地はかなり違う

マツダ CX-30 SKYACTIV-Dマツダ CX-30 SKYACTIV-D
ディーゼルに関してはかつての原稿で特に乗り心地に関して「個人的には満足していない、ということである。つまり乗り心地はもう少し改善して欲しい…である。トーションビームのリアアクスルは確かに固定点が少なくなって取り付け剛性アップには寄与するが、それで良くなるのハンドリングで乗り心地自体はやはり限界があると思う」と書いていた。『マツダ3』と共に商品改良されて登場しただけに、てっきりCX-30の足回りにも改良が入ったのかと思いきや、何と全くいじっていないという返事が来た。

何故こういう話をするかというと、初めに試乗したのはガソリン車の方。そしてそれに乗った限り初期のディーゼルモデルで感じていたリアサスペンションのドタツキ感や突き上げ感がほとんど感じられず、おやっ?だいぶ改善したのかな?と思っていたからである。で、クルマを返却に行って「足回りはどのあたりを改善したのか教えてください」と、質問したところ、上述の答えが返った来たのである。これはまさに青天の霹靂であった。

じゃあ、以前に感じたドタツキ感は一体何だったのか?ということで改めて以前にも乗ったことのあるディーゼルに乗ったところ「やはり」、であった。つまりガソリン車とディーゼル車ではその乗り心地にかなりの違いがあるということである。ディーゼルはご存知のようにフロント軸重でガソリン車に比べて3ケタのオーダーで変わるほど重い。だから当然ながら前後バランスはかなりガソリン車と比較して異なるのだが、メーカーは当然それがわかったうえでチューニングを施しているのだが、満足できる結果になっていないということなのだと思う。

マツダ CX-30 SKYACTIV-Gマツダ CX-30 SKYACTIV-G

改良されたディーゼルエンジンの印象は

実は改善点があまりにも少なく、特にガソリン車は何も手が付けられていないから昨年12月に商品改良のリリースが出ても、メディアがほとんど食いついていない。話題はもっぱらより改良範囲が広かったマツダ3に集中していた。

改良されたというディーゼルにしても、性能的にはパワーで10ps、トルクで16Nm引き上げられているのだが、肌感としては大きくは変わっていない印象。元々『CX-3』に搭載されているのと同じエンジンで車重が160kg重かったから、パフォーマンスの面ではデビュー当初から少し物足りなさを感じたのだが、それが改善されるほどの進化はしていないというのが結論だ。

一方でアクセル操作に対して応答性を高めたとあるが、こちらは確かに特に静止からのけり出し感が俊敏になった印象を受けた。しかしスロットル全体の話をすると、逆に少しリニアリティーには欠けてしまった印象を受けた。直前に『CX-5』のディーゼルは、アクセルの踏み具合を重くして加速感に制御を加えることでスムーズな発進を出来るようにしたというアナウンスがあったのだが、ならばこの1.8リットルディーゼルの方にもそうした改良を加えた方がよりスムーズになるように感じる。

次は足回りとエンジン、トランスミッションに大ナタを

マツダ CX-30 SKYACTIV-Gマツダ CX-30 SKYACTIV-G
初めて乗ったガソリンモデルは、ディーゼルと比べたらとにかくスムーズライドが印象的で、流石に音振関係は俄然ガソリンの勝ちである。また、1.8リットルディーゼルにさほどのトルク感がないことから、燃費を除けばほぼすべての面でガソリン車の方が有利であることが判明した。

相変わらず上質な作り込みは確実にクラスをリードしているし、いわゆるハイエンドの輸入車に対しても負けていないから、この部分はとても素晴らしいと感じる。絶妙なサイズ感とスタイルの良さはこのクルマ最大の魅力。十分な使い勝手(Aピラーは少し寝かせ過ぎだが)をスタイリッシュなエクステリアで包み込んでいる。

今回の改良は正直なところアナウンスするほどのものでもないというのが正直なところなのだが、着実にクルマを進化させるマツダの取り組みは大いに評価したい。次は是非、足回りとエンジン、それにトランスミッションに大ナタを振って欲しいものである。

マツダ CX-30 SKYACTIV-Gマツダ CX-30 SKYACTIV-G

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来43年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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