【マツダ MX-30 EV 新型試乗】モーターにするだけでこれほど質感が上がるのか…丸山誠

マツダ MX-30 EV
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『MX-30 EV』は、マツダ初の量産EV。これまで『デミオEV』など地道な開発を継続していたことが、ようやく市販車に活かされたわけだ。

MX-30 EVに興味を抱いている人はかなり多いと思う。マツダ初のEVだけでなく、ロータリーエンジンを発電機として搭載したモデルも2022年の登場が予告されているからだ。今回の試乗会ではリモートでエンジニアに取材することができたが、ここで意外なことがわかった。じつはMX-30 EVはロータリーエンジン搭載モデルのほうが先行して開発され、当初は発売も早くローンチする予定だったという。

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なぜだろうか? それは欧州での規制が変更されたからだ。ご存じのように欧州ではCAFÉ(企業別平均燃費基準)での燃費規制で水準を満たさないとペナルティが課せられる。EVであっても発電用に内燃機を積むモデルは燃費基準が厳しいのだ。CAFEに貢献度が高いクルマの開発と投入が急がれ、ピュアEVであるMX-30 EVの開発が途中から優先されて昨年から欧州で販売されているわけだ。

本来なら先に登場していたはずだが、欧州のCAFÉを考慮するとしかたがない。最近欧州ブランドがEV専門ブランドになるとかEVフルラインアップするというのは、このためだ。CAFEの次はライフサイクルアセスメント(LSA)の規制を強化する。製造から廃棄まで排出するCO2の規制が強化されると、製造時に使う電力がCO2を排出していないことが求められる。欧州メーカーのEV用バッテリーを中国や韓国ではなく、EU圏で製造する流れになっているのもこのためだ。

プレミアムクラスに近い乗り味

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MX-30 EVに試乗してとてもビックリした。先行して発売されたガソリンのマイルドハイブリッドと比べると、乗り心地やハンドリングなど2クラス分くらいアップしていたからだ。マイルドハイブリッドを購入したユーザーは残念がるだろうが、ネーミングやボディ構造の基本は一緒でも、乗り味の質感がかなり向上したモデルに仕上がっている。

いままでも重量物であるバッテリーをボディ前後の中心に置き、しかも搭載位置をフロア下にすることで低重心化が可能になり、運動性能がアップすることは幾度となく体感してきた。MX-30 EVは、これまでのコンバージョンモデルとは異なり、走りの質感が大幅に高められている。

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特に乗り味がフラットなのがいい。首都高速道はジョイントが多く段差がきついところもあるが、そんな場所を通過してもドライバーにはショックを伝えてこない。じつにあっさりと通過してしまうのだ。

サスペンションがよくストロークするのはもちろん、バッテリー搭載のために剛性が高められたボディの効果だろう。すっきりした乗り味でプレミアムクラスのモデルに近い乗り味を実現している。もちろん静粛性は高く、加速時は疑似モーター音をスピーカーから聞かせて、ドライビングの臨場感を高めているのがマツダらしい。

「10年前からわかっていた」EVならではの質感

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それにしてもモーターに替えることで、これほど走りの質感がアップするのには驚いた。前出のエンジニアにこの点を聞くと、すでに2012年にリース発売したデミオEVで知見を得ていたという。

開発時はリース前のことだから10年前になるというが、エンジンはもちろんガソリンタンクやマフラーなど車体にマウントする必要があるガソリンエンジン車は、サスペンションのセッティングを変えても乗り心地にこうした搭載物の影響が出てしまう。EVはタンクやマフラーなどが不要で、ボディと異なる動きをする搭載物が少ないことで、すっきりした乗り心地を実現できることは、すでに10年前からわかっていたのだ。

MX-30 EVのロータリーエンジン搭載車にもかなり期待ができる。以前プロトタイプのデミオEVのロータリーレンジエクステンダーに試乗したことがあるが、エンジンのノイズはほとんどなく始動や停止も気づかないほど静かだった。欧州ではCAFÉの問題もあってEVが本命だが、充電インフラが十分でない日本ではエンジンでの発電があれば使いやすい。それにロータリー復活というのも、マツダファンにとってはうれしいことだ。

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■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

丸山 誠|モータージャーナリスト
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。先進安全装備や環境技術、キャンピングカー、キャンピングトレーラーなどにも詳しい。

《丸山 誠》

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