【キャデラック CT5 新型試乗】10速ATが“うま味”引き出す、想像以上の軽快さ…九島辰也

キャデラック CT5
キャデラック CT5全 8 枚
キャデラックに新しいセダンが追加された。すでにラインナップされている『CT6』の弟分に当たる『CT5』である。特徴はスタイリッシュなフォルムで、ルーフラインは流れるようにリアエンドまで伸びている。言うなれば4ドアクーペ的。トレンドを取り入れた感じだ。CT6もその傾向はあるがそれよりも個性は強い。バルクヘッドで独立したトランクルームを持ちながら、見た目はハッチバックに見えなくもない。

デザインはフロントマスクをご覧いただければ分かるように新世代キャデラックとなっている。CT6も2019年にこの顔へとスイッチした。クールな表情を司る水平方向のヘッドライトと縦方向のLEDライトが新鮮さをアピールする。

では走りはどうか。試乗車は上級グレードの「CT5 スポーツ」であった。

◆10速ATがエンジンのおいしいところを引き出す


ボンネット下に積まれる2リットル直4ターボに不服はない。高回転まで気持ちよく回るのは当然のこと、リニアな加速もドライバーを喜ばせる仕上がりだ。ターボラグはほとんど感じられないのがいい。この軽快さと上質さは組み合わされるトランスミッションに準じるところが大きい。ギアボックスはGM自社製の10速ATが積まれる。これを精緻にコントロールすることで、エンジンのおいしいところを引き出しているといった感覚だ。

またハンドリングも思った以上に楽しい。ステアリング操舵に対する動きはシャープでありながらしっかり感も伝わる。プラットフォーム自体を軽量化しているそうだが、4気筒ユニットもその辺を鑑みて設計されているのだろう。鼻先の軽さが運転好きドライバーを喜ばせる。

試乗車のCT5 スポーツはAWDであったが、FRスポーツ的フィーリングは活かされていた。ドライブモードをデフォルトの「ツアー」から「スポーツ」にするとさらにその傾向は強まる。「スポーツ」のトルク配分は前20:後80だそうだから、必然的にそうなるであろう。

◆キャデラックらしさは18インチで味わえる?

そんな仕様だから乗り心地は硬めでスポーティさが際立たされる。タイヤサイズは19インチ。エントリーグレードの「CT5 プラチナム」が18インチであることを考えれば、その辺の味付けは意図的なものとなる。ただ、個人的には18インチの乗り心地に興味がある。きっとこれまでのキャデラックらしさがそこにあるような気がしなくもない。

いずれにせよ、思った以上に軽快な走りを見せたのは確か。キャデラックブランドのFRスポーツの楽しさはここから始まるのかもしれない。ちなみに、本国にはハイパフォーマンスモデルの『CT5-V』もすでにラインナップに加わっている。3リットルV6ツインターボを積むそれも興味津々である。



■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの"サーフ&ターフ"。 東京・自由が丘出身。

《九島辰也》

九島辰也

九島辰也|モータージャーナリスト 外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。

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