【ルノー メガーヌR.S. 新型試乗】乗れば誰もが口角が上がり、目じりが下がる…中村孝仁

ルノー メガーヌ R.S. 新型
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「R.S.」の名前は最後になる?

ルノーという会社は今、日産および三菱とアライアンスを組んでいる会社だ。アライアンスでは世界最大規模の自動車会社ということになるようだが、ルノー単体を見ると経営は決して楽ではないはず。

実際データを見ると2019年から赤字に転落している。そんな状況であるにもかかわらず、モータースポーツは非常に積極的で、F1だって今年からアルピーヌのブランドで継続している。どこかのメーカーとは大違いだ。こうしたモータースポーツへのパッションが、走って楽しい、面白いクルマを作り上げる原動力となっている気がしてならない。

だいたいいつも「R.S.」と名の付くクルマに乗ると、試乗後に鏡を見たわけではないけれど、自分の口角が上がり、目じりが下がっていると感じる。はっきり言って、何の変哲もないハッチバックが、ルノーの手にかかると面白くて乗っていてわくわくするようなクルマに変身するから不思議だ。

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R.S.はルノー・スポールを意味する頭文字だが、どうも例えばレーシングスポーツの頭文字と混同され易く、アウディも「RS」の名をスポーティなモデルに使用していることはご存知の通りである。そんなわけで新たにF1のブランドにもなったアルピーヌとこのルノー・スポールが合体するというアナウンスが今年1月に流れ、ことによるとこのR.S.の名を持つモデルは今の『メガーヌR.S.』が最後になるかもしれないという話もちらほらあったりする。

勿論それはこの種のクルマの生産をやめるという話ではないと思うのだが、何でも聞くところによるとフランスではこのR.S.を買うのにCO2のペナルティーを120万円も払わなくてはならないから、売れ行きが悪いと言われる。ヨーロッパ人はホントにCO2に対する警戒心が強いのかあるいは神経質なのか、それが電動車に舵を切っている理由だ。

FF最速のDNA

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さてそんな話はともかく、新しいメガーヌR.S.である。基本的にはマイナーチェンジであり、エンジン出力を300psに引き上げて、より高性能だった「R.S.トロフィー」と同じにした。最大トルクも420Nmである。

今回は1時間の短い試乗時間だ。よって、装備のあれこれを試す時間はなく、あくまでも運動性能とモードの違いによる走りの印象の違いに焦点を当てて話をする。

ルノーは以前からニュルブルクリンクにおいてFWD車最速の称号を手にしていたが、それにホンダが『シビックタイプR』を持って挑戦し、そのタイトルを奪い去った。しかし、2019年にはルノーが再びその座を奪い返し、コロナ影響下で現在は2019年のタイムが最速となっている。つまり今のところルノーがFWD車最速の称号を持っているわけだ。

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そんなクルマのDNAを直接引き継いでいるのがこのクルマである。試乗したモデルは6速のEDCを持つモデルだが、マニュアルも用意されている。最速とか300psなどと聞くとどうしても気難しいクルマをイメージしてしまうが、実際は真逆。信じられないことだが、下手なスポーティーモデルより遥かに快適な乗り心地を持つ。

寄与しているのはハイドローリック・コンプレッション・コントロール(HCC)。簡単に言うとダンパーが一つの筒の中に二つ入っていると思えばよい。一つのダンパーの減衰が極限に近づくと、もう一つのダンパーのピストンが減衰力を発生させるというもの。だから乗り心地だけじゃなくて限界域での踏ん張り感もぐっと奥深いものになる。

あたかも自分が腕を上げた感覚にさせてくれる

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低速でステアリングを左右に振ってみると、非常にシャープにノーズが食い込んでいくのを感じる。これは4コントロール、即ち4輪操舵のおかげだ。60km/h以下では逆位相に切れるから実にシャープな印象。これが高速になると今度は同位相に変わる。逆位相では最大2.7度、同位相では最大1度切れるという。

そして最後はマルチセンスと呼ばれる走行モード切り替え。マイセンス、スポーツ、レース、セーブの4モードを持つが、レースはR.S.では機能せずR.S.トロフィーの専用だ。それでもスポーツをチョイスすれば明らかにステアリングがどっしり安定し、シフトタイミングも変わる。因みにセーブは他メーカーのエコに相当するモードだ。

生憎のウェットコンディションだったが、とにかくステアリングは正確無比だし、何よりその切れ込み感や高い安定感などは、あたかも自分が腕を上げた感覚にさせてくれる。本当にこの手のクルマを作らせたら抜群のセンスを持つのがルノーというメーカーである。恐らく誰もが試乗後に口角が上がり、目じりが下がるはずだ。

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■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来43年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

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