【ルノー キャプチャー 新型試乗】700km走って実感した「脱帽もの」のコスパ…中村孝仁

ルノー キャプチャー 新型
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「うーん一言で言ってルノーらしくないクルマですね」。これ、クルマをお借りした時の広報からのコメントだ。

それは乗り心地に関しての言及で、クルマは一目見れば今のルノーそのものであることは明々白々なのだが、乗り心地に関しては違うという。どうもその擦りこみが入って乗ったからなのか、確かにルノーらしくないといえばそれはそうかもしれない。

この『キャプチャー』をお借りする数日前に実は『メガーヌR.S.』に乗った。そのしなやかでありながら、でも抜群のコーナリング性能を持ち、かつ奥深いホールド性能を感じさせるその乗り味は文句のつけようがないほど完璧なものだった。そしてこのキャプチャーである。今回は1週間で700kmを超える距離を走破した。一日で500km走った日がある。そこから得た結論は、これもはっきり言って「脱帽もの」であった。

モデルチェンジの必要がないくらい売れている

ルノー キャプチャー 新型(インテンスパック)ルノー キャプチャー 新型(インテンスパック)
このクルマはCMF-Bという呼称のプラットフォームを用いている。これはルノー日産三菱アライアンスで共用されるプラットフォームだから、当然他のブランドのモデルにも使われている。がしかしである。その乗り味はまるで異なる。勿論一緒であっては困るわけだが、どちらが上手く作りこんでいるかといえばそれはもう断然こちら!という印象である。

新しいキャプチャーは先代が用いていた着せ替えシート的な、如何にもアウトドア志向風のアイテムがなくなった。何でも日本ではあまり評判が良くなかったとか。きっと本国の反応も似たようなものだったから取りやめたのだろう。エクステリアのデザイン的には先代と近似性がある。ある意味キープコンセプトといって良いと思う。

それにしても先代はモデル末期に至るまで全く販売が落ちなかった。これはヨーロッパでもそうだしグローバルマーケットでもそうだ。敢えてモデルチェンジしたのはベースとなる『クリオ(日本名ルーテシア)』がフルチェンジされたことによるもので、もしかしたらモデルチェンジしなくても全然よかったように感じてしまう。何故ならヨーロッパでの販売はSUVセグメントのトップを突っ走るクルマだからだ。

ルノーの弱みであったADAS系が充実

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新生キャプチャーはプラットフォームを一新し、内外装も装いを改め、さらにエンジンも変更。そして何よりも従来ははっきり言ってルノーの弱みであったADAS系の充実が最も顕著な変化である。基本的な運転支援はすべて揃い、ACCもストップ&ゴーにも対応する。

一応、日産のプロパイロットと同じものか聞いてみたところ、使っているものは同じでもチューニングは異なるとの回答である。前車追従や、減速はどはほぼ完ぺきにこなすが、横から割り込んで来たクルマに対する反応はイマイチであった。流石に一歩先んじるほどの内容ではないが、ライバルと完全に肩を並べたといって良いだろう。

新たなパワーユニットは1.3リットルの直噴ターボユニット。これもすでにルーテシアに使われているものと共通だが、パフォーマンスはこちらが上。車重が重いことを差し引いても実にパワフルに感じるものだ。それに非常にスムーズで且つ静粛性が高い。

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組み合わされるのは7速のEDCと呼ばれるツインクラッチシステム。発進からシフトチェンジまでスムーズに行うのだが、新たに装備したブレーキホールドモードを使うと少し厄介なことになる。

ホールドモードを使わなければ発進は極めてスムーズなのだが、ホールドモードが入ると、信号待ちなどから発進する際にホールドモードなしの状態で発進する時より若干強めにアクセルを踏み込まないと発進せず、しかもその状況は何か粘着性のものを靴の裏で踏みつけた足を無理やりはがそうとする時のそれに似ていて、発進がスムーズとはとても言えなくなる。感じられた唯一のネガ要件がこれだった。

味付けはドイツ車風だが、硬質感はない

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冒頭の「ルノーらしくない」は、やや強めのハーシュネスが入ることを指したものと感じた。もっともそれとて気になるものでもなく、相変わらずルノーらしいしなやかさは持ち合わせている。ドスドスッとという音とともに大きめの入力に対しては一瞬ボディを揺らすが、見事に一発で収束させる。どちらかといえばこのあたりの味付けはドイツ車風だが、硬質感はない。

一日500km走ったと前述したが、疲労感全くなし。かなりの区間でACCを使ったが、それ以上に乗り心地、シートのホールド感、そして静粛性の高さが疲労を軽減させている印象だ。今回試乗した「インテンスパック」は2種あるグレードの高い方。差額は20万円だが、その中にはレザーシートや電動シート、それに車線中央を維持するレーンセンタリングアシストなどが追加される。あとスマートフォンワイヤレスチャージャーもだ。

実はインテンスではこれらは付かないものの、ほんの少し前まで高級車専用アイテムだった、フレームレスリアビューミラーや、キーを持った人間が近づくと自動的に開錠し、離れると施錠する機能なども標準装備。それに国産だったらかなりのお値段になるBOSEサウンドシステムすら標準装備だ。これを全部ひっくるめてインテンスパックのお値段319万円(税込)は安いと思う。

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■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来43年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

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