欧州のCO2排出量は12%減少、SUVに期待…JATOレポート2020

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世界的な調査会社であるJATOダイナミクスは、欧州での自動車からのCO2排出量についてのレポートを公開した(4月21日)。それによると、2020年には6カ国で平均排出量が100g/kmを下回った。タイプ別ではSUVの削減量が最も大きかった。電動化によるCO2排出量の減少はこれからも続くと予想する。

電動化によるCO2排出量の減少が続く

2020年は新型コロナウイルスによる困難の中、電気自動車の需要が増加し、CO2排出量はこれまで以上に減少した。JATOダイナミクスが欧州21カ国で行なった調査によると、2020年に販売された台数による加重平均のCO2排出量(NEDCモード)は106.7g/kmとなった。2019年に記録された値よりも12%減少した。

レポートによると、CO2排出量の減少は当局の規制強化や、電気自動車を支持する消費者の意識に起因する。ピュアEV(BEV)およびプラグインハイブリッド車(PHEV)の販売台数は、2020年は121万台、市場全体の10.6%を占めた。2019年は46万6000台、3.1%。

感染拡大で高まった持続可能性の追求

新型コロナウイルスの感染拡大は、電気自動車の普及を後押ししたという。欧州各国は、環境に配慮したサステイナブルな復興をめざしており、経済刺激策として新たな購入奨励策を打ち出している国もある。

多くのユーザーがコロナ禍で内燃機関(ICE)車から離れ、代わりに低排出ガス車を購入した。ICE車の台数は、2019年の1470万台から2020年は860万台にまで減少した。国別平均CO2排出量国別平均CO2排出量

平均排出量が100g/kmを下回ったのは6カ国

国別の平均排出量が100g/kmを下回ったのは、オランダ、デンマーク、ポルトガル、スウェーデン、フランス、フィンランドの6カ国だった。これは、電気自動車の販売台数が多い国のランキングにも呼応しており、スウェーデン(市場シェア32%)とオランダ(25%)が1-2位で、以下フィンランド、デンマーク、ポルトガルの順となっている。いっぽうスロバキア、チェコ、ポーランドではCO2排出量が多く、電気自動車の普及率が低い。

欧州で最も売れているピュアEV(BEV)は、テスラ『モデル3』、ルノー『ゾエ』、フォルクスワーゲン『ID.3』だ。

SUVが販売をけん引するとともに、排出量を削減した

2020年は厳しい経済状況にもかかわらず、SUVが市場の成長の原動力となり、ハッチバック、セダン、MPV、ワゴンなどの販売台数の減少による市場のダメージを緩和した。SUVの販売台数は2020年に乗用車全体の40%を占め、CO2の平均削減量でも最大となった。VW ID.3VW ID.3

JATOダイナミクスによるとSUVの平均CO2排出量は、2019年から2020年の間に16.2g/km減少した。これは分析した5つのセグメント=普通車、MPV、スポーツカー、SUV、バンの中で最大の減少となった。中型・大型SUVのラインナップでPHEVおよびBEVが充実してきたことが一因だという。

もっとも、SUVは他の乗用車セグメント(シティカー、サブコンパクト、コンパクトカー、ミッドサイズ、エグゼクティブ、ラグジュアリー)よりも多量のCO2を排出している。JATOダイナミクスによると、SUVは他の自動車よりも平均して18%多くのCO2を排出し、スモールSUVでさえエグゼクティブよりも排出量が多い。JATOダイナミクスのグローバルアナリストのフェリペ・ムニョスは「SUVは電動化の次のターゲットであり、今後数カ月のうちにまた進展があるだろう」という。

これまでのところ電動化の競争は、ハッチバックやセダンといった伝統的な市場セグメントに見られ、SUV市場にはまだ大きな可能性がある。JATOダイナミクスは、電動化モデルが導入されればSUVの需要は加速すると予想している。ムニョスは「混乱の1年を経て、前向きになれる理由がある。自動車メーカーは、ゼロエミッション車や低公害のSUVに注力することで、販売台数の減少を速やかに相殺できるだろう」とする。

《高木啓》

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