【INDYCAR 第5戦】今年は若手旋風の年!? 20歳のビーケイが初優勝…F1から転向のグロージャン2位、琢磨は16位

インディカー初優勝を飾った#21 ビーケイ。
インディカー初優勝を飾った#21 ビーケイ。全 8 枚

NTTインディカー・シリーズ第5戦の決勝レースが現地15日、インディアナポリス・モーター・スピードウェイ(米インディアナ州)のロードコースで実施され、20歳のリナス・ビーケイが初優勝。F1から転向のロマン・グロージャンがポール発進から2位となった。佐藤琢磨は16位。

昨年はコロナ禍の影響で6月開幕だったインディカー・シリーズが、今年は“5月のインディアナポリス・モーター・スピードウェイ(IMS)”へとやってきた。IMSのロードコース(部分的にオーバルも使用)で戦われる今回のシリーズ第5戦、そしてIMS伝統のビッグオーバルが舞台の第105回インディ500(今季シリーズ第6戦)へと続いてゆく、聖地での約半月バトル“定例パターン”である。

第5戦の予選(現地14日)では今季からインディカーに参戦している昨季までのF1レギュラードライバー、“新人”ロマン・グロージャン(#51 Dale Coyne Racing with RWR/ホンダ)がポールポジションを獲得した。オーバルコース以外に参戦中のグロージャン、参戦3戦目での初ポールである。佐藤琢磨(#30 Rahal Letterman Lanigan Racing/ホンダ)は予選17位。

3回のピットストップが基本戦略となった85周レース、ピット時期等が多少入り組んだ展開ではあったが、グロージャンはほぼ王道的な組み立てで、2回目のピットストップまではレースを掌握していたといっていいだろう。しかし2回目のピットを終えてコースに戻った44周目、リナス・ビーケイ(#21 Ed Carpenter Racing/シボレー)に抜かれ、実質先頭と考えられていたポジションを失ってしまう。

ビーケイはその後、しっかりした走りで終盤は独走態勢に。インディカー参戦2年目、オランダ籍の20歳(2000年9月11日生まれ)が見事に初優勝をつかむのであった。

予選こそ7位だったビーケイだが、「この週末は素晴らしい始まり方だったし、速いクルマがあることは分かっていた」ため、勝てるという思いを抱いての決勝レース臨戦だった。そして成し遂げた初優勝を、「チームにとても感謝している。パーフェクトな日だ。素晴らしいよ」と喜んでいる。

これで今季は開幕から5戦で5人のウイナー誕生となった。昨季王者スコット・ディクソン(#9 Chip Ganassi Racing/ホンダ)以外の4人は1997~2000年生まれの若手で、そのうち3人がインディカー初優勝である。なにやらフレッシュ旋風が吹き荒れるなかで、シリーズは最大舞台のインディ500に向かうこととなった。

一方、決勝2位に敗れはしたもののグロージャンは、さすがF1で長くレギュラーを張ったベテランドライバー、という高い適応力を見せた。自身3戦目で、インディカー初の表彰台圏内リザルト。「アメリカのレースファンには本当に力強く支持してもらっている。信じられないくらいのサポートだ。今日、素晴らしいレースを戦うことができた。チームは見事な仕事をしてくれたよ」と満足感をにじませている。

決勝3位は開幕ウイナーのアレックス・パロウ(#10 Chip Ganassi Racing/ホンダ)、4位には17、19年王者のジョセフ・ニューガーデン(#2 Team Penske/シボレー)が入り、5位は琢磨の僚友グレアム・レイホール(#15 Rahal Letterman Lanigan Racing/ホンダ)だった。ディクソンは今回9位ながら、チームメイトのパロウに13点差でポイントリーダーの座を維持している。

琢磨は浮上ならず。決勝16位に終わり、「残念なレースになりました。悔しいレースと表現すべきかもしれません」と、この日を振り返った。「わるいところはなかったんです。好スタートを切り、ピットタイミングも戦略通りでした。でも、コースに戻るたびにトラフィックに引っかかってしまいましたね」という展開だった。

「レース中にはいくつか非常におもしろいバトルもあり、それは素晴らしいことでした。しかし、結果が16位というのはフラストレーションが溜まります」とも語る琢磨だが、とにかく今、見据えるのは“次”である。

「次はインディ500です。自分たちの置かれた状況を一転させて、いい走りを見せることができると期待しています」

次戦は第105回インディ500。昨年は8月に第104回大会が開催され、琢磨は3年ぶり2回目の制覇を成し遂げた。もちろん今年、狙うは自身初の2連覇、通算3度目の優勝である。走行は現地5月18日から始まり、同30日が決勝日。大きな期待をもって、日本からエールをおくりたい。

(*なお、第5戦を前に現地7月11日決勝予定だったカナダ・トロント戦の中止が発表された。第5戦終了段階で今季のインディカー・シリーズは、公式サイトのカレンダー上で従来より1戦減の全16レースとなっている)

《遠藤俊幸》

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