ポルシェ『924カレラGTS』をレストア…当時のラリードライバー、ロールに贈呈

最大出力245psの2.0リットルターボ搭載

WRCなどのラリーで活躍したヴァルター・ロール氏

40年前に924カレラGTSが製造されたのと同じ場所でレストア

ポルシェ924カレラ GTS(1981年式)とヴァルター・ロール氏
ポルシェ924カレラ GTS(1981年式)とヴァルター・ロール氏全 19 枚

ポルシェは5月14日、1981年式『924カレラGTS』(Porsche 924 Carrera GTS)のラリーカーをフルレストアし、当時同車でラリーに参戦してヴァルター・ロール氏の誕生日に、サプライズで贈呈した、と発表した。

最大出力245psの2.0リットルターボ搭載

ポルシェ924カレラ GTS(1981年式)とヴァルター・ロール氏ポルシェ924カレラ GTS(1981年式)とヴァルター・ロール氏

ポルシェ各車に用意されている「GTS」は、「グラン・ツーリスモ・スポーツ」を意味しており、モータースポーツに由来する。その起源は、1963年に遡る。ポルシェのモータースポーツ部門は1963年、世界のサーキットでレースに参戦しながら、公道も走ることができるミッドシップクーペ『904』(後に『カレラGTS』に改名)を発表した。この904カレラGTSはフェリー・ポルシェの長男で、デザイナーのフェルディナンド・アレクサンダー・ポルシェが手がけた美しいボディを備えていた。

1981年に、924カレラGTSがGTSの歴史を引き継いだ。2.0リットル直列4気筒ガソリンターボエンジンは、最大出力245psを獲得。924カレラGTSは、サーキットやラリーで活躍した。

ポルシェ924カレラ GTS(1981年式)とヴァルター・ロール氏ポルシェ924カレラ GTS(1981年式)とヴァルター・ロール氏

トランスアクスルモデルは、理想的なスポーツカーを体現している一方で、ポルシェの歴史から見ると独創的な存在という。その歴史は1976年、トランスアクスルパワートレインの駆動方式を導入したポルシェ『924』から始まった。ポルシェは1976~95年の約20年間で、『911』で確立された原理とは全く異なる、924、『928』、『944』、『968』を生み出した。

このポルシェ924の高性能モデルが、924カレラGTSだ。ラリーで成功を収めた924カレラGTSは、ロール氏がステアリングホイールを握って、多くの勝利を飾っている。

ポルシェ924カレラ GTS(1981年式)とヴァルター・ロール氏ポルシェ924カレラ GTS(1981年式)とヴァルター・ロール氏

WRCなどのラリーで活躍したヴァルター・ロール氏

ロール氏は1947年、ドイツ・レーゲンスブルクで生まれた。最初に購入した車は最大出力75psのポルシェ『356Bクーペ』。フォード、オペル、フィアット、ランチア、アウディのファクトリードライバーとして活躍しながら、自ら所有する911でラリーに出場して、ポルシェとの関係を深めた。

ポルシェ924カレラGTS(1981年式)ポルシェ924カレラGTS(1981年式)

1981年にポルシェは、すでに世界耐久選手権で2度優勝していたロール氏を、ファクトリードライバーに起用した。最初にドイツ・ラリー選手権に出場した後、911で世界ラリー選手権(WRC)のサンレモ・ラリーに参戦した。

ロール氏は、ラリーとロードレースの両方で世界選手権タイトルを獲得したモータースポーツ史上、数少ないドライバーのひとりだ。トランザム、IMSA、ヒルクライム(パイクスピーク)、ドイツ・ツーリングカー選手権など、多くのクラスやシリーズで優勝を勝ち取っている。

ポルシェ924カレラGTS(1981年式)ポルシェ924カレラGTS(1981年式)

またロール氏は、ドライビングスキルとハンドリングを分かりやすく正確に説明する能力によって、今日に至るまでポルシェの市販スポーツカーのチューニングとテクノロジーに影響を与え続けている。ポルシェ『959』、『カレラGT』、『918スパイダー』など、スーパースポーツカーの開発にも参画してきた。現在は、ポルシェのブランドアンバサダーを務めている。

40年前に924カレラGTSが製造されたのと同じ場所でレストア

ポルシェ924カレラGTS(1981年式)ポルシェ924カレラGTS(1981年式)

ポルシェは今回、1981年式の924カレラGTSのラリーカーをフルレストアし、当時同車でラリーに参戦していたロール氏の誕生日に、サプライズで贈呈した。

1982年8月、実戦から離れた924カレラGTSは、ポルシェ博物館に引き渡された。ベルギーでのラリーのために、タバコブランドの「ジタン」のブルーで塗装されていた車体は、オリジナルのコニャックメーカーの「モネ」カラーのゴールド&ブラックに塗り替えられた。

ポルシェ924カレラGTS(1981年式)ポルシェ924カレラGTS(1981年式)

レストアを担当したのは、40年前に924カレラGTSが製造されたのと同じ場所、ドイツ・ヴァイザッハのモータースポーツ部門だ。摩耗部品やシャシーコンポーネント、燃料供給システムを除いて、『911ターボ』用のブレーキキャリパーから手動のチャージエアクーラーまで、既存のコンポーネントはすべてオーバーホールされ、再び組み立てられた。

「KKK26」と呼ばれるターボチャージャーは、内視鏡検査では何の問題もなく、ギアボックスも分解されたが、摩耗の兆候はほとんど見られなかったという。さらに、ポルシェ博物館のワークショップがレース用のクラッチを、ピレリが当時と同じ255/55R15サイズのタイヤを供給した。

ポルシェ924カレラGTS(1981年式)ポルシェ924カレラGTS(1981年式)

フルレストアされた924カレラGTSを贈呈されたロール氏は、「40年ぶりの対面に驚いた。この車は、私にポルシェへの扉を開いてくれた。だからこそ、とくに親しみを感じている。40歳若返った気分だ」とコメントしている。

《森脇稔》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. トヨタ カムリ 新型、全車ハイブリッドに…今春米国発売
  2. マツダ、新型3列シートSUV『CX-80』をついに世界初公開 日本導入時期は
  3. シトロエンの新デザイン採用、『C3エアクロス』新型を欧州発表
  4. ジムニー愛好者必見! ベルサスVV25MXが切り拓く新たなカスタムトレンドPR
  5. トヨタ『ランドクルーザー250』発売、520万円から…特別仕様車も
  6. レクサス『GX』通常販売は今秋に、先行して100台を抽選販売へ 価格は1235万円
  7. 日産はなぜ全固体電池にこだわるのか? 8月にも横浜工場でパイロットプラントを稼働
  8. トヨタ堤工場、2週間生産停止の真相、『プリウス』後席ドア不具合で13万台超リコール[新聞ウォッチ]
  9. トヨタ ランドクルーザー250 をモデリスタがカスタム…都会派もアウトドア派も
  10. 80年代GPマシンを現代に、ヤマハ『XSR900 GP』が143万円で5月20日に発売決定!
ランキングをもっと見る