「新幹線の運転席に簡易トイレを」「JR北海道のインシデントは減少」…赤羽国交相会見

運転士の一時離席が起こったJR東海のN700S。当時の走行速度は150km/h程度だったという。
運転士の一時離席が起こったJR東海のN700S。当時の走行速度は150km/h程度だったという。全 4 枚

赤羽一嘉国土交通大臣は5月25日に開かれた定例会見で、東海道新幹線の運転士が一時、運転席を離れたトラブルについて記者の質問に答えた。

JR東海の発表によると、このトラブルは5月16日、東京発新大阪行き『ひかり633号』が熱海~三島間を走行していた8時14分頃に発生。当該列車の運転士が小田原到着直前に腹痛を感じ、熱海通過後に「新幹線電気車運転免許」と呼ばれる免許を持たない車掌と入れ替わりにトイレへ行き、約3分間不在にしていたという。

この件については、5月21日に金子慎JR東海社長が国土交通省に赴き陳謝したが、赤羽大臣は「一番大事なことは、指令に指示を仰がなかったというルール違反があり、また、3分間であったとしても運転資格のない者に運転を委ねたことは、重大な規律違反だと思っています」の述べ、社内規定違反を遺憾とした。

その上で、今回のトラブルを新幹線の安全神話に陥ることなく検証し、単に運転士個人の問題ではなく、会社として再発防止に取り組むことを指示したという。

具体的には「そもそも体調の優れない者は乗務させないなど運行管理を徹底する」「非常事態に備え簡易トイレを運転席に携行できるようにすること」「発作的な体調不良等が発生した場合などは、躊躇なく列車を止めること」を挙げたほか、「運転士のほかに、運転の免許を有する車掌を配置した列車を増やすローテーションが可能かどうか」という点も提起したと述べ、JR他社へも危機管理についての対処を指示する意向を示した。

また、今回のトラブルが国土交通省の省令に違反するのではないかという質問も出たが、これについては「ルールで規定するものでありますので、検証結果の報告を受けて、国土交通省として行政処分はそれに照らして対応することになります」と述べた。

このほか赤羽大臣は、発生からまもなく10年を迎えるJR北海道の特急『スーパーおおぞら』で発生した脱線火災事故に対する質問にも答えている。

この事故は2011年5月27日に発生しているが、その後の国土交通省からの監督命令や保安監査、JR北海道の安全性向上策などにより「近年、事故に至るおそれのあるインシデント等の件数は減少傾向にあり、一定の効果があらわれてきていると認識をしているところです」と述べた。

また、2021年度には老朽化した鉄道施設の更新などに約180億円を助成すること、2021年4月末には施設メンテナンス自動化などの設備投資に対して300億円の出資を行なったことも示し、JR北海道に対しては今後も必要な支援策を講じつつ「これからにつながるよう、有効な使い方をしてもらいたいと考えている」と結んだ。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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