ソニーグループ 吉田社長「VISION-Sは探索領域として今後も開発」

ソニーの吉田憲一郎会長兼社長
ソニーの吉田憲一郎会長兼社長全 2 枚

ソニーグループは5月26日、2021年度の経営方針説明会をオンラインで開催した。その中で電気自動車『VISION-S』について、吉田憲一郎会長兼社長は「今後もVISION-Sは探索領域として開発を進める」と述べた。

VISION-Sは、米国ラスベガスで開催された「CES2020」に初披露され、話題をさらったコンセプトカーだ。ソニーの車載向けCMOSイメージングセンサーやToFセンサーなど30個以上のセンサーを搭載。人工知能(AI)や通信、クラウド技術も活用した車載ソフトウェア制御により、機能が継続的にアップデートされ、進化し続けるそうだ。

「2020年1月のCESで、モバイルの次のメガトレンドはモビリティであると言った。ソニーは、モビリティへの貢献として、VISION-Sの開発を進めており、プロトタイプの製作、公道走行テスト、高速走行下での5Gを用いた通信実証実験などを行ってきた。正直な印象として、学べば学ぶほど、学ぶことが多い。車体だけでなく、クラウドプラットフォームの開発にも取り組んでいる」と吉田社長は説明。

特にソニーがモビリティの進化に貢献できる領域として、車載センシング技術をあげた。同社は2014年に初の車載向けCMOSイメージセンサーの商品化を発表して以降、カメラによる車外センシング、欧州などで義務化される車内センシング、LiDARなどの研究開発を積み重ねてきた。その集大成とも言えるのがVISION-Sだったわけだ。

現在、実証実験などによって、さらに車載センシング技術に磨きをかけており、吉田社長は「今後、数年の時間軸で、モビリティの安全領域でソニーが貢献できる機会が増えることを実感している。また、安全領域での貢献はモビリティの新たなエンターテインメント空間への進化にもつながる」と話す。

そのうえ、車載センシング技術の進化はもう一つのメガトレンドであるIoTの進化にもつながるという。2030年には、1250億台のIoTデバイスが普及すると言われているが、これはデータ量の爆発や、膨大なデータ処理、送信、蓄積するための消費電力の大幅な増加をもたらす。一説には、現在の技術のままでは、2030年にはIoTデバイスに関わる電力量だけで、現在の社会電力消費量を大きく上回るという。

「ソニーは、IoTセンシングにおける情報処理で、CMOSイメージセンサーを用いたエッジソリューションを提供している。目的に応じて学習したAIを、CMOSセンサーに積層したロジックチップ内に格納し、情報を処理する。このソリューションはIoTにおける情報量と消費電力量を大幅に削減できるものであり、環境負荷低減に貢献すると同時に、セキュリティ、プライバシーに配慮したものになる」と吉田社長は説明する。

ソニーはイメージングセンサーだけでなく、センシングでも世界ナンバー1を目指しており、モバイル向けだけでなく、車載向け、そしてIoT向けでも市場を席巻しようと狙っている。

《山田清志》

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