VWの「EVアイランド」計画が始動、第一号は『ID.4』のポリスカー…島の全車両を電動化へ

島のバスをフルEVのライドシェアなどに置き換える

電動SUVのID.4の航続は最大522km

目標は島の自動車の数を約3分の1に減らすこと

ギリシャ・アスティパレア島に導入されたフォルクスワーゲン ID.4 のポリスカー
ギリシャ・アスティパレア島に導入されたフォルクスワーゲン ID.4 のポリスカー全 8 枚

フォルクスワーゲングループ(Volkswagen Group)は6月2日、ギリシャ政府との合意に基づいて地中海のアスティパレア島を「EVアイランド」化する計画の最初のEVとして、『ID.4』のポリスカー仕様を同島に納車した、と発表した。

島のバスをフルEVのライドシェアなどに置き換える

アスティパレア島は南エーゲ海に浮かぶ小さな島で、面積は約100平方kmだ。人口は約1300人で、毎年約7万2000人の観光客が訪れる。アスティパレア島の公共交通機関は現在、2系統のバスのみで、島のエネルギー需要も化石燃料によって、まかなわれている。

アスティパレア島は今後数年間で、持続可能な観光のパイオニアになることを目指している。ギリシャ政府は、国家エネルギーと気候計画の枠組みの中で、この変革を支援している。

プロジェクトの中心にあるのは、現在のバスサービスを、フルEVのライドシェアリングを含めたデジタルモビリティサービスに置き換えることだ。現在のレンタカー事業の一部を地元のパートナーと連携し、EVや電動バイクによるシェアリングサービスに転換する。これだけでも、島内の車両を大幅に減らすことが可能になる。約1000台のEVで、約1500台の内燃機関搭載の自動車を置き換えていく。

電動SUVのID.4の航続は最大522km

フォルクスワーゲングループは6月2日、ギリシャ政府との合意に基づいて地中海のアスティパレア島をEVアイランド化する計画の最初のEVとして、ID.4のポリスカー仕様を同島に納車した。

ID.4はフォルクスワーゲンの新世代EVのID.シリーズの2番目のモデルだ。ID.4は、フォルクスワーゲン初の本格的な電動SUVになる。世界最大の市場セグメントに成長しているコンパクトSUVセグメントに投入するために開発された。

ID.4は、スポーティかつオールラウンドな性能を追求した。リアアクスルに搭載されたモーターは、最大出力204psを引き出す。動力性能は、0~100km/h加速が8.5秒、最高速は160km/hでリミッターが作動する。

バッテリーは蓄電容量が52kWhと77kWhの2種類。1回の充電の航続は、52kWh仕様が最大346km、77kWh仕様が最大522km(いずれもWLTPサイクル)を可能にする。バッテリーは低重心化のために、キャビンのフロア下にレイアウトされた。後輪駆動による強力なグリップと210mmの最低地上高により、整備されたオフロードで優れた性能を発揮するという。アルミホイールは、最大で21インチが装着できる。

フォルクスワーゲンは、「We Charge」と名付けた電動車向けの充電サービスを欧州で展開している。ID.4の顧客は、このWe Charge が利用できる。DC急速充電ステーションでは、320km走行するのに必要なバッテリー容量を、約30分で充電することができる。

目標は島の自動車の数を約3分の1に減らすこと

フォルクスワーゲンはID.4だけでなく、EVコンパクトカーの『ID.3』など、今後数年間に計画されているいくつかの新型車を、アスティパレア島に導入する。また、ポリスカーだけでなく、空港の車両、地元企業の商用車や救急車、自治体の車両も電動化する。フォルクスワーゲングループは、島全体に充電器を設置して、約230の充電ネットワークを構築していく。

今後5年間で、アスティパレア島はスマートで持続可能な島に変わるという。EVの充電には、風力と太陽光によって現地で発電されたグリーン電力を利用する。カーシェアリングやライドシェアリングなどの新しいモビリティサービスが、現在のバスによるサービスに取って代わる予定だ。全体的な目標は、島の自動車の数を約3分の1に減らすことだという。

ID.4のポリスカーの納車式において、フォルクスワーゲングループのヘルベルト・ディースCEOは、「世界中で、環境保護への動きが大きな力になっている。フォルクスワーゲンはこの変化を推進しており、車両から充電、エネルギーソリューションまで、持続可能なモビリティをあらゆる範囲で提供している。アスティパレア島での取り組みは、政府と企業の緊密な協力によって促進される急速な変革の青写真になる」とコメント。

ギリシャのキリアコス・ミツォタキス首相は、「アスティパレア島は、グリーン化変革の試金石だ。電力は完全に自然によって調達される。この美しい島は、その移行の中心的な柱。フォルクスワーゲンなどのパートナーと協力し、よりクリーンかつグリーンで、より持続可能な未来を目指していく」と述べている。

《森脇稔》

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