トヨタの欧州Aセグ向け新型車、「GA-B」車台採用…開発と生産は欧州で

トヨタの新世代コンパクトカー向けプラットフォームが「GA-B」

新型Aセグ車がヤリスとヤリスクロスに続いてGA-B車台を採用

アイゴ後継車の提案はクロスオーバー車

新型Aセグメント車の車名は今後発表予定

トヨタ・アイゴXプロローグ
トヨタ・アイゴXプロローグ全 23 枚

トヨタ自動車(Toyota)の欧州部門は6月4日、欧州Aセグメント向けの新型車を、トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・チェコ(TMMCZ)で生産すると発表した。開発から生産まで、すべての意味でヨーロッパ車といえる新型Aセグメントモデルになるという。

トヨタの新世代コンパクトカー向けプラットフォームが「GA-B」

この新型車は、トヨタの「GA-B」プラットフォームを採用した3番目のモデルになる。トヨタの新世代コンパクトカー向けプラットフォームが、「GA-B」。GA-Bは、トヨタのクルマづくりの構造改革、「TNGA」(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)に基づく新プラットフォームだ。ボディの高剛性化や低重心化を図りつつ、さらなる燃費性能と高い操縦安定性や走破性を目指して、開発が行われた。

トヨタは、『プリウス』や『カローラ』に、「GA-C」プラットフォームを使用している。GA-Bは、このGA-Cの下に位置するコンパクトカー向け車台となる。GA-Bプラットフォームは、ホイールベース、全長、トレッド幅を変えられるモジューラー設計が特長だ。これにより、さまざまなサイズやボディタイプの車両に、適用することが可能になる。

また、このプラットフォームは高度な接合技術を採用しており、重量とコストに重点を置きながら、高レベルのアンダーボディ剛性を確保している。ロングホイールベースと高効率パッケージの組み合わせにより、コンパクトなボディサイズでも、室内スペースを犠牲にしていないという。

さらに、運転席は、車両の中心に近い低い位置にレイアウトした。これにより、車両の重心を引き下げる。ステアリングホイールの角度を最適化し、ドライバーの近くに配置することにより、理想的なドライビングポジションを生み出すという。

新型Aセグ車がヤリスとヤリスクロスに続いてGA-B車台を採用

GA-Bプラットフォームは、トヨタの欧州向けラインナップでは、すでに新型『ヤリス』とその派生モデルの『ヤリスクロス』に採用された。この2車種に続いて、GA-Bプラットフォームを採用する3番目のモデルが、欧州Aセグメント向けの新型車になる。

トヨタの現在の欧州Aセグメント車が、『アイゴ』だ。現行アイゴは2014年3月、スイスで開催されたジュネーブモーターショー2014で発表された。アイゴは、トヨタの欧州における入門モデルの役割を担うコンパクトカーだ。トヨタとPSAグループ(現ステランティス)が共同開発し、プジョー版は『108』、シトロエン版は『C1』を名乗る。

GA-Bプラットフォームを採用する欧州Aセグメント向けの新型車は、すでにデビューから7年が経過しているアイゴの後継車となる可能性が高い。

アイゴ後継車の提案はクロスオーバー車

トヨタ自動車の欧州部門は2021年3月、コンセプトカーの『アイゴXプロローグ』を発表した。アイゴXプロローグは、トヨタの欧州Aセグメント車における新しいビジョンを提示したコンセプトカーだ。アイゴは欧州Aセグメントにおいて、大胆かつ際立ったデザインを備えた車と認知されている。トヨタのヨーロッパデザインスタジオとして、フランスに拠点を置く「ED2」が、Aセグメントのコンパクトカーの顧客に、さらに大胆でスパイシーなデザインを持ったアイゴXプロローグを提案している。

アイゴXプロローグは、フロント、リア、サイドを問わず、あらゆる面で大胆さが際立つデザインを目指した。レッドとブラックのツートンボディは、アクティブさを追求したもので、都市で注目を集めるユニークなグラフィックプロファイルを作り出す。新しいくさび形のルーフラインは、アグレッシブかつスポーティなイメージを狙ったもので、ダイナミックな感覚を高めている。

フロントでは、ヘッドランプがボンネットフードを抱き締めるようなウイング状のフォルムとした。その下には、六角形をテーマにした大型グリル、フォグランプ、スキッドプレートが配されている。リアでは、スキッドプレートに自転車ホルダーマウントを装着する。ドアミラーにはアクションカメラが内蔵されており、冒険の瞬間を捉えて共有するのに最適、と自負する。屋根に組み込まれたルーフラックは、デザインを強調するだけでなく、六角形のテールランプとの関連性を持たせた。これは、アイゴのDNAを連想させるものだという。

新型Aセグメント車の車名は今後発表予定

トヨタは新型ヤリス、ヤリスクロス、そして新型Aセグメントモデルを合わせて、GA-Bプラットフォームがベースとなる車両の欧州における年間生産台数が、50万台を超えると見込んでいる。

また、新型Aセグメント車は、開発から生産まで、すべての意味でヨーロッパ車といえるモデルになるという。これは、2025年までに欧州で150万台の新車販売を達成するという目標の実現に向けて、欧州での生産を拡大するというトヨタのコミットメントを強調するものになる。

なおトヨタは、新型Aセグメント車の車名、販売目標台数、導入時期について、今後発表する予定、としている。

《森脇稔》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. スズキ『エブリイ』ワゴンに試乗、商用車とどう違うのか…5月4日の過去記事
  2. 【スズキ ワゴンRスマイル 改良新型】誰が見ても可愛いといわれるように…開発責任者がそういう理由とは
  3. 初心者でもここまでできる! プロショップが提案するコスパ重視の音質アップ術[音を良くするコツをプロが指南]
  4. YURTの『シエンタ』用車中泊キットが大幅アップデート、生産体制見直しで8万円値下げも実現
  5. ホンダエンブレムに溶け込むスーパーワイドカメラ、データシステムが『WR-V』用キットを発売
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 【学生向け】人とくるまのテクノロジー展 2025 学生向けブース訪問ツアーを開催…トヨタ、ホンダ、矢崎総業、マーレのブースを訪問
  2. AI家電を車内に搭載!? 日本導入予定の新型EV『PV5』が大胆なコンセプトカーに
  3. AI導入の現状と未来、開発にどう活かすか? エンジニアの声は?…TE Connectivityの独自リポートから見えてきたもの
  4. トヨタ「GRファクトリー」の意味…モータースポーツのクルマづくりを生産現場で実現【池田直渡の着眼大局】
  5. BYDが「軽EV」の日本導入を正式発表、2026年後半に
ランキングをもっと見る