2020年のLiB主要4部材市場は前年比13.1%増、コロナ禍でも成長を維持 矢野経済調べ

リチウムイオン電池主要4部材の世界市場規模推移と予測
リチウムイオン電池主要4部材の世界市場規模推移と予測全 1 枚

矢野経済研究所は、リチウムイオン電池(LiB)主要4部材世界市場の調査結果を発表。コロナ禍でも車載用および民生小型機器用LiBは成長を維持していることが明らかになった。

調査結果によると、2020年のLiB主要4部材世界市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、前年比13.1%増の233億2219万1000ドル(約2兆5600億円)と推計する。

中国で2020年は良くて横ばい、もしくは前年割れの見込みもあったが、xEV向けの補助金政策は2022年までの延長が決まり、また、2020年後半からは安価な低容量EVが売れ始め、中国のxEV市場は急成長。通年で前年を上回る市場規模となった。

欧州もドイツによるEV、PHEVの購入インセンティブ引き上げが追い風となり、電動車の購入支援策延長が実施されたフランスや英国等、欧州自動車市場の主要地域でもxEV市場は前年対比で大幅成長となった。その結果、2020年の車載用LiB市場はコロナ禍でも成長を維持し、LiB材料市場も前年を上回る規模で推移している。

日本は国別で2番目の地位を維持しているものの、4部材の全てで構成比が下落傾向にある。比較的高い出荷数量シェアを持つセパレーターも2020年で30%を切る形となっている。

韓国は引き続き自国のLiBセルメーカーがメインの供給先となっており、車載用セル向けの供給量の増加に伴って構成比が徐々に高まる傾向にある。韓国セルメーカーが欧州OEM向けに出荷を伸ばしており、セルメーカーと材料メーカーによるJV等の動きを含め、今後徐々に存在感が増していく可能性が考えられる。

一方、民生小型機器用LiB(セル)市場はスマートフォン向けの前年割れが続く中、電動工具や電動バイク、電動自転車向け等のパワー系セル等が新たな牽引役となっている。また、2020年は新型コロナウイルスの影響で、在宅勤務や教育機関等でのノートPCやタブレット端末の需要が伸び、LiB材料市場も成長することとなった。

今後の展望については、コロナ禍でもLiB(セル)は引き続き成長基調にあり、車載用セル向けに成長が加速しているLiB主要4部材世界市場は2021年以降も成長が続く見通しであるが、材料トレンドにはいくつかの変化が見られる。

正極材市場では、2020年に「LFP(リン酸鉄リチウム)回帰」の明確な動きが見られた。中国でBYD、CATLが共に「Cell To Pack」技術とLFPの組合せを発表。車載用LiBにて高容量化を志向する流れ自体は大きく変わっていない。

LFPセルを活用したパック技術については、中容量EVの比較的低いレンジ(50~60kWh)向けに、中国以外の自動車メーカーからもコスト面等で有望視する状況にある。

また、環境負荷低減に向け、廃車後の車載用LiBのリユース、リサイクルについての検討が進められており、従来の「高容量化」、「低コスト化」といったバッテリー開発の方向性に加えて、今後は「寿命」価値が重要度を増す可能性がある。

《纐纈敏也@DAYS》

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