地域MaaSが実証実験で終わってしまう理由…リブ・コンサルティング マネージャー 西口恒一郎 氏[インタビュー]

地域MaaSが実証実験で終わってしまう理由…リブ・コンサルティング マネージャー 西口恒一郎 氏[インタビュー]
地域MaaSが実証実験で終わってしまう理由…リブ・コンサルティング マネージャー 西口恒一郎 氏[インタビュー]全 1 枚

CASE、MaaS、スマートシティが注目され、モビリティサービスを検討する企業や地域が増えている。一方で、事業の採算性などが問題視されている。どのように事業を検討していったらよいのだろうか。

自動車メーカー、公共交通機関、自治体向けに、中期経営計画の策定、新規事業開発、M&A/PMIなどのテーマを中心に担当。現在は、MaaS事業開発、地域モビリティサービスの展開など持続可能なモビリティ社会の実現に向け活動を行っているリブ・コンサルティング モビリティインダストリーグループマネージャーの西口恒一郎氏に聞いた。

「地域MaaSの今とこれから」をテーマに6名が登壇するオンラインセミナーが7月15日(木)に開催されます。 詳細はこちらから

机上で終わらせない、持続可能な事業づくりを支援

---:御社はどのような会社でしょうか。強みも教えてください。

西口氏:総合経営コンサルティングサービスを提供しています。強みとしては、伝統的な産業からベンチャー・スタートアップ企業への幅広い事業開発支援の実績、年間100プロジェクトを越える新規事業立案・立上げの支援実績、モビリティ業界の幅広いプレーヤーとのコネクションです。

コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)機能を持ったアーリーステージのスタートアップ支援をするインパクトベンチャーキャピタル、そして営業代行を行うプルーセルの2つの子会社を持っています。したがって、机上の計画で終わらせず、実際に成長させるところまでのお手伝いすることが可能です。

私が所属する部署はモビリティインタストリーグループです。これまで、自動車メーカー及び、自動車販売店を中心にコンサルティングを進めてきました。数年前から自動車業界のみならず、交通事業者や地方自治体などへと業界を広げています。

各企業のモビリティサービスの企画・設計・実行サポートに携わる事が多く、直近では、過疎地域でのオンデマンド交通サービスの導入支援や、C2Cカーシェアリングビジネスの事業企画、小型電動モビリティのマーケティング戦略立案などの支援をさせて頂きました。

今後はBeyond MaaSやスマートシティ・スーパーシティ領域に取組んでいきたいと考えています。

事業性やマネタイズの検討が弱いのではないか

---:御社の取組み実例の中には、皆さんがご存知のサービスもたくさんありますね。最近検討されているモビリティサービス・MaaSは採算性が問題視されており、実証実験で終わってしまうケースも散見されます。過去の成功・失敗事例から、経営・事業戦略コンサルの立場から何が言えるでしょうか。

西口氏:例えばオンデマンド交通の場合、日本ではオンデマンド交通の導入が目的になっており、そのための調査や検討は実施されますが、事業の持続可能性や、どのように採算ラインを超えていくか?の検討が少ないように感じています。本来であれば地域の移動課題を解決するための手段としてオンデマンド交通を導入するはずが、いつの間にか導入すること自体が目的にすり替わっているケースが多いと感じています。

このようなケースを防ぐためにも、必ずモビリティサービスの企画検討時に、本当に持続可能性のあるビジネスなのか?という視点で、「事業性評価」を十分におこなう必用があります。

プロジェクトによって評価基準に差異はありますが、大枠としては以下の3つの観点で評価をおこない、明確なノックアウトファクターが無いかどうか、必ず検証するようにしています。

1、リターン(事業参入可否、差別化要素、利益予測、継続性)
2、リスク(コスト、ステークホルダーとの関係性、経営資源の準備)
3、インパクト(市場ボリューム、経済効果、先進性・独自性)

持続可能性のあるモビリティサービスを実現させるのであれば、上記のような事業性評価を十分におこない「本当に事業として成立するか否か」のシビアなジャッジは重要です。また、評価を行う中で具体的な改善箇所も見えてくるので、より洗練された事業プランにする事も可能です。

---:今後の都市部・地方部それぞれのモビリティサービスをどのように考えればよいでしょうか?

西口氏:モビリティサービスは「事業課題解決型」と「社会課題解決型」の2つに大きく分類できるでしょう。前者は新技術やサービスを用いた自社の業務効率の改善、後者はその名の通り社会の課題を解決するためのサービスの検討です。

これに加えて、都市か地域か場所の要素を加えて戦略を変えていく必要があると思います。

「地域MaaSの今とこれから」をテーマに6名が登壇するオンラインセミナーが7月15日(木)に開催されます。 詳細はこちらから

《楠田悦子》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. 一気に200馬力以上のパワーアップ!? アウディのスーパーワゴン『RS4アバント』後継モデルは電動化で進化する
  2. トヨタ『クラウンセダン』は違う---水素を使う理由と苦労をチーフエンジニアが語る
  3. 女性向けキャンピングカー「Nomad Lux」デビュー 5月3日初公開
  4. シトロエン C3エアクロス 新型、間もなくデビューへ…ティザー
  5. ピアッジオが創立140周年、記念してペスパの特別仕様を発売---140台限定
  6. 日産『キャシュカイ』改良新型、表情を大胆チェンジ…欧州発表
  7. トヨタ プリウス、13万台をリコール…走行中にドアが開くおそれ
  8. レクサス最小の『LBX』は、「サイズ的ヒエラルキー」から脱却できたのか?
  9. 春爛漫の新潟に名車が集結…20世紀ミーティング2024春季「クラシックカー&バイクの集い」
  10. サスペンションの新常識! 1G締めがもたらす驚きの効果とは?~カスタムHOW TO~
ランキングをもっと見る