リース車両修理費用保険「リペア保険」が登場…使うと高くなるから使わない、ではなく

車両保険に着目して生まれた「新しい自動車保険」…リース車両修理費用保険
車両保険に着目して生まれた「新しい自動車保険」…リース車両修理費用保険全 7 枚
クルマを所有・利用する上で「自動車保険(任意保険)」はとても重要。

不慮の事故による損害賠償や、防ぎようがないキズ・ヘコミ修理で多額の支払いが必要になったとき、自動車保険に加入していれば「自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)」でカバーしきれない損害を補える。


◆制度が複雑で理解が難しい!「自動車保険」

将来への備えとして、自動車保険は心強いはずなのだが…。『コツンとぶつけて自動車保険を使ってしまうと、翌年から保険料が高くなるので使いづらい』『ノンフリート等級別料率制度が複雑で、説明を受けてもいまいち理解できない』と思っている人はいるのではないだろうか。


中でも「車両保険」は特に悩ましい。クルマ同士の事故で車両が壊れてしまった時や盗難時などに使えるのが魅力だが、保険契約時のクルマの時価が基準になるため、保険金額を自由に設定できない。付けるか付けないかで、保険料が大きく変わるので、致し方なく未加入のケースも少なくない。


ちなみに法人企業が、自動車保険加入時に10台以上の社用車(営業車)を所有、またはリースで使用するときに「フリート契約」が適用され、保険契約を一括で行える点はメリットといえる。

注意ポイントは、総契約台数や支払い保険料に対して、支払われた保険金と前年度の割増引率で、翌年度の割増引率が決定するところ。

つまり、1回の事故でも支払われた保険金が高額だと、翌年の保険料が大幅に上がり、すべての社用車がその影響を受けてしまう仕組みになっているのだ。

自動車保険を使ってしまうと、翌年から保険料が高くなるので使いづらい。ノンフリート等級別料率制度が複雑で、説明を受けてもいまいち理解できないと、思っている人は少なくない


◆“車両保険”に着目して生まれた「新しい自動車保険」が登場

個人や法人を問わず、コロナ禍でますます節約志向が高まっている今。「車両保険」に着目して生まれた、これまでなかった “ 新しい自動車保険 ” が、2021年7月頃からスタートするという情報が編集部に届いた。名の知れた老舗の損害保険会社が提供するものかと思いきや、そうではなかった。


法人向けの自動車リース事業を展開する住友三井オートサービス株式会社(SMAS)の子会社で、リース車両などの保険代理店業務を行うSMAサポート株式会社が、4年間の構想期間を経て、なんと少額短期保険業へ参入。「i-SMAS少額短期保険株式会社」の社名を掲げ、長きに渡り調査を重ねて開発した “ 新しいモビリティ社会に求められる革新的な保険 ” を提供するという。


一体、どのような保険なのか? 東京・新宿にオフィスを構える同社へ訪問。三谷一社長、管理部 大友崇部長、営業部 菅原崇人部長からお話を伺う機会を得た。(※撮影時のみマスク非着用)


今回取材にご協力頂いた、i-SMAS少額短期保険株式会社 三谷一社長(中央)、管理部 大友崇部長(左)、営業部 菅原崇人部長(右)
◆調査でわかった、車両保険「未加入」40%

SMASは、法人企業向けカーリースの「メンテナンスサービス」として、タイヤやバッテリーといった消耗部品の交換や経年劣化による故障修理を行っている。

走行中に飛び石でフロントガラスが割れたり、駐車場などでコツンとぶつけて出来たキズやヘコミ、不慮の事故で車両が全損になってしまったときの修復は、メンテナンスサービスの対象外とのこと。リース車両を契約している法人企業が、自動車保険の「車両保険」に加入していれば、リース車両の損傷費用を保険料でカバーできるのだが…。


保険代理店業務を行うSMASグループのSMAサポートが自社顧客の声を集めたところ、40%が車両保険に未加入だったのだ。車両保険に加入していない理由として79%が「保険料が高い」と回答。このほか、注意をしていても避けられない損傷や事故でも、車両保険を使うと “ 全体の保険料が上がる ” ことをよく思っていないと回答した顧客が7%いたという。

車両保険の加入状況<SMAサポート調査資料>

車両保険に対する満足度と、車両保険に加入しない理由<SMAサポート調査資料>
つまり、車両保険に加入していない法人企業は、その都度、またはリース車両返却前にまとめて修理することになる。修理費の予算を確保していてもカバーしきれない場合は無理な捻出で経営が苦しくなるのは容易に想像できる。車両に損傷を与えたドライバーは修理費を一部負担するなど、ペナルティが課せられるケースもあるという。


SMASグループは、自社顧客をはじめ法人リース車両を活用しているすべての企業が、より柔軟に安心してリスクマネージメントできる方法がないか検討を重ね、金融庁へ構想を提出。その構想を実現するために「少額短期保険業」として、新会社を設立するに至ったという。


◆リース車両修理費用保険「リペア保険」とは?

2021年6月29日、SMAS、SMAサポート、i-SMAS少額短期保険の3社連名でリリースを発表。その一文を以下に抜粋する。

SMASグループは、お客さまのリース車両に対して必要な修理費用を補償する「リース車両修理費用保険(以下「リペア保険」)を開発し、ビジネスモデル特許を出願済(特願2021−55573)です。

今後は、車の修理補償を賠償責任補償等と分離することでリスク分散を行う「事故実績型」と、テレマティクスから取得する運転挙動に応じて保険料が変動(株式会社スマートドライブが開発した安全運転評価技術を採用)し、安全運転及びエコ運転が保険料の低減につながる「テレマティクス型」の販売を通じて、クルマ社会の発展と地球環境の向上を支える企業を目指してまいります。

i-SMAS少額短期保険「リース車両修理費用保険(リペア保険)」の特徴

取材時、三谷一社長は、こう教えてくれた。

「当社が開発した、リペア保険のポイントは3つあります。ひとつ目は、対人・対物と車両保険を切り分け、これまで連動していた割増引率を切り離したこと。ふたつ目は、時価を上限とした車両保険の保険金額を、5万円刻みで自由に設定できること。3つ目は、テレマティクスから取得する運転挙動に応じて保険料が変動すること。

自動車保険と切り離すことにより、リスク分散が可能になります。また、車両保険の保険金額を柔軟に設定できるので、割安な保険料を引き出しやすい設計になっています。

さらに、テレマティクス型の場合は、やさしい運転をすれば保険料が安くなる仕組みです。リペア保険のビジネスモデルは特許を出願済みのため、当社以外には提供されない自動車保険となります」

i-SMAS少額短期保険株式会社   三谷社長

i-SMAS少額短期保険が2021年7月頃から募集開始予定の「リペア保険」は、法人向けカーリースが中心だが、今後は個人向けカーリースにも注力していく、と取材の場で聞くことができた。クルマを所有・利用する多くの人々のリスクヘッジとして、加入しやすく使いやすい自動車保険がもっと増えることを期待したい。

“車両保険”に着目して生まれた「新しい自動車保険」…リース車両修理費用保険(リペア保険)

《カーケアプラス編集部@金武あずみ》

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