電動バイクと自転車の切り替え=「モビチェン」を警察庁が認定…グラフィットのeバイク

グラフィットのGFRシリーズに装着する「モビチェン」。電動バイクと自転車の切り替えを可能にする通達が警察庁より公表された
グラフィットのGFRシリーズに装着する「モビチェン」。電動バイクと自転車の切り替えを可能にする通達が警察庁より公表された全 15 枚

電動バイクなどを手掛けるglafit(グラフィット)は、同社が製造販売する「ハイブリッドバイクGFR」に、「モビリティ・カテゴリー・チェンジャー」を取り付けることで電動バイクと自転車の切り替えを認める通達が7月1日、警察庁より公表されたことを明らかにした。

通達文:警察庁交通局交通企画課長及び警察庁交通局交通指導課長発、警視庁交通部長及び各道府県警察本部長宛て、令和3年6月28日付警察庁丁交企発第270号、警察庁丁交指発第60号「車両区分を変化させることができるモビリティ」について(通達)

原付でも「モビチェン」により、自転車のカテゴリーで運転が可能に

グラフィットはこの案件について、内閣官房日本経済再生総合事務局(現・成長戦略会議事務局。規制のサンドボックス制度=政府一元窓口)のサポートを受け、和歌山市と規制のサンドボックス制度に共同申請し、2019年10月17日に経済産業省、警察庁、国土交通省において実証計画の認定を受けた。

これに基づきグラフィットは、2019 年11月から実証実験を実施。その結果を受けてグラフィットは、同社製ペダル付ハイブリッドバイクGFR(以下、GFR)に本要件を満たす「モビリティ・カテゴリー・チェンジャー(以下、モビチェン)」機構を自社開発していた。

今回、公表された通達は、関係省庁の検討や警察庁におけるモビチェンの最終確認を経て、車両区分の切り替え第1号案件として認められたものとなる(2021年6月28日発出、2021年7月1日公表)。

これまで「ペダル付きの原動機付自転車(以下、原付)」は、原動機を作動させずペダル走行させる場合であっても、原動機付自転車の属性は変わらず、例えば原動機付自転車が運転可能な通行区分の場所や運転方法に従うこととなっていた。

今回の改正(解釈変更)により、モビチェン機構を取り付けたGFR は、モビチェンの操作によって原動機を作動させずペダル走行させる場合、道路交通法上は自転車として扱われ、自転車の通行区分で運転できるようになる。規制のサンドボックス制度を利用し、モビリティ分野で道路交通法の解釈変更が認められたことで、GFRはこの分野での運用がスタートする日本初の車体となったわけだ。

なお、この切り替えは道路交通法上の取り扱いを変更するものとして認められたものであって、道路運送車両法では原動機付自転車であることに変わりはない。したがって、モビチェンを取り付けた状態でも、従来通り、原付の自賠責保険や任意保険に加入し、自転車モードでの事故にあってもそれが適用される。

通達を受けてグラフィットでは、GFR-02の走行が始まる前に、特に利用ユーザーが多い都道府県警と地元メディア向けの説明会を開催することにしている。

また、今回の発表に際してグラフィットでは、このモビチェンを既発売のGFR-01に対しても補機類の追加で装着を可能としたことを正式に明らかにした。これにより、GFR-01とGFR-02の両機種でモビチェンの展開が可能となる。

ただ、準備の都合もあって対応はGFR-02からとなる。現状ではGFR-02の発売時期が決定していないため、グラフィットでは「まずはGFR-02の生産を軌道に乗せ、予約分の納車を進めつつ、次の予約を始められるようにしたい」としている。GFR-01への展開はそれ以降の対応となるようだ。

マイクロモビリティの活用範囲を広げる様々な取り組みも公表

今回の通達を受けてグラフィットの代表取締役 鳴海禎造氏は、「モビチェンの装着によって、自転車としての新たな区分が認められたことで、原付と自転車の両方の区分それぞれで運用できる初めてのハイブリッドバイクが誕生したことになる。これは今後、他の分野においても二種類の区分を跨いで活用できる事例のスタートでもある」と述べた。

一方で、グラフィットでは加盟する日本電動モビリティ推進協会(JEMPA)と共に、マイクロモビリティの普及に向けた次のステップにも取り組んでいることを明らかにした。

それによると、一つは装備したモーターを電動アシスト自転車として活用できないかという取り組みだ。今回のモビチェンではメイン電源を切った状態でナンバーを隠すことにより自転車として取り扱いを実現しているため、現状では電動バイクで使うモーターのパワーを活用してはいない。そこで道交法に定められた出力基準を満たすことでこれを実現できれば、自転車モードとしてより使いやすくなるというものだ。

この件について鳴海氏は、「現在、認められる方向で調整中」としており、今後、GFRシリーズのもう一つの「電動アシストモード」と「電動バイクモード」を合わせた、二つの車両区分での切り替えも展開されそうだ。

シニアカーで適用されている“みなし歩行者”の最高速度域を、現在の6km/hから10km/hにアップするという提案もある。この背景にはランニングする速度域がほぼ10km/hで、歩道を走行できるエリアでの自転車も同様の速度域で走行していることがある。これについては警察庁で安全が担保できるかどうかを検討している最中だという。

また、現在、実証実験中の最高速度15km/hの小型低速車についても言及した。これは主として自転車と同じカテゴリーで区分し、“フル電動モビリティ”として取り扱えないかとの提案だ。そこでは簡易標識や講習だけで済む簡易免許も新設も検討されている。この件については実証実験後、明らかになっていく予定だ。

《会田肇》

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