プジョーがWECルマン・ハイパーカーを公開…リヤウイングなし! 9X8で2022年に参戦

プジョーがワールドプレミアしたLMH規定マシン、「9X8」。
プジョーがワールドプレミアしたLMH規定マシン、「9X8」。全 8 枚

ルマン24時間レースを含む世界耐久選手権(WEC)のトップカテゴリーに「ルマン・ハイパーカー」(LMH)規定のマシンで2022年の参戦を目指しているプジョーが6日、参戦車「9X8」をオンライン発表した。“リヤウイングなし”という斬新なマシンになっている。

WECのトップカテゴリー(最上位クラス)は今季2021年から「ハイパーカー・クラス」に改まっており、ルマン・ハイパーカー(LMH)という規定が根幹に据えられている。現段階でLMH規定のマシンを開発・製造してWECハイパーカー・クラスに参戦しているビッグメーカー(ブランド)はトヨタのみだが、それに続く存在としてプジョーが2022年の参戦を目指す意思を表明、既にドライビングスタッフも発表されていた。

そしてプジョーは2021年7月6日、参戦マシンをワールドプレミア。ハイブリッド・パワーユニットを搭載するそのマシンの名は「9X8」、ナインエックスエイトと呼ぶようだ。

「9X8」の「9」は、かつての「905」や「908」、プジョー歴代の耐久レースマシンからの継承になる。「X」は、プジョー・ハイパーカーの全輪駆動技術とハイブリッド・パワートレインを意味し、モータースポーツにおけるブランドの電動化戦略を体現。そして「8」は、プジョーの現在の市販モデル名に使われている“接尾語”だ。

公開されたプジョー9X8、なにより特徴的なのは“リヤウイングがない”ことである。まだ詳細は不明で写真と映像、発表概要を頼りにした範囲の話になるが、ボディ後端は低位置で上下両面が薄く一体にまとまったような空力的(意図を当然ながら多分に含んだと見られる)デザインになっており、別体的な形状で高位置へと立つイメージのいわゆるリヤウイングはそこにない。新たな空力コンセプトの具現化、というところだろうか。

これは発表映像でも「NO REAR WING」と強調されたりしていたポイントで、PEUGEOT SPORT(プジョー・スポール)のWECプログラム・テクニカルディレクターであるオリビエ・ジャンソニによれば、「我々の試算とシミュレーションで、リヤウイングがなくとも高いパフォーマンス(の実現)が可能であるとわかった」とのこと。今後、注目を集める技術トピックになりそうだ。

プジョー9X8の主要諸元は以下の通り。

全長:5,000mm 全幅:2,080mm 全高:1,180mm
ホイールベース:3,045mm
パワートレイン:PEUGEOT HYBRID4 500KW(全輪駆動)
リヤドライブトレイン:500kW(680hp)2.6リットル ツインターボ90度V6 ガソリン内燃機関+7速シーケンシャルトランスミッション
フロントドライブトレイン:200kW電動モータージェネレーター+1速減速機
バッテリー:プジョー・スポール、トタルエナジーズ、サフトの共同開発による高密度の900ボルトバッテリー
燃料&潤滑油:トタルエナジーズ

ドライバーのひとり、日本での活躍でもおなじみのルマン総合優勝&WEC王座獲得経験者ロイック・デュバルは、「どのアングルから見ても素敵なマシンというのがあるけど、9X8はまさしくそれ。どこから見ても最高だね」と、ニューマシンのデザインについてコメントしている。

WECハイパーカー・クラスにLMH規定マシンで参戦しているのは、現段階ではトヨタとグリッケンハウスのみ(同クラスにはアルピーヌも参戦中だが、これは旧LMP1規定車使用によるもの)。しかしながら、2022年参戦予定のプジョーに続き、フェラーリも2023年にLMH規定マシンでの参戦を予定している。また、ハイパーカー・クラスにはLMDhという別規定のマシンでの参戦も可能になるとされており、こちらでの近い将来の参入を企図しているビッグメーカー(ブランド)も多い。

WEC、そしてルマン24時間レースは今後、新たな隆盛期を迎えることが見込まれる。そこにルマンで3度の総合優勝(1992、1993、2009年)という実績をもつ地元フランスの雄、プジョーが比較的早い段階から加わる、しかも斬新なマシンで、となれば大きな興味をひくことだろう。プジョーは2022年、2台の9X8で参戦する予定だ。

《遠藤俊幸》

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