「ナノ凹凸ゴム」で氷上性能が大幅アップ、ダンロップの新作冬タイヤ「WINTER MAXX SJ8+」

深雪やぬかるみを走る、クロカン車に適したタイヤ

素早く水膜を除去し、滑る前に密着させる

ライフも十分確保

ダンロップの新作冬用タイヤ「WINTER MAXX SJ8+」
ダンロップの新作冬用タイヤ「WINTER MAXX SJ8+」全 8 枚
住友ゴム工業は、SUV用の新作スタッドレスタイヤ『WINTER MAXX SJ8+(SJ8+)』を、8月1日に発売すると発表した。同製品は、2014年に登場したSUV向けのスタッドレスタイヤ『WINTER MAXX SJ8(SJ8)』の後継モデル。

7年ぶりの更新となる今作は、(SJ8)と比較して氷上ブレーキ性能が14%向上、氷上コーナリング性能は11%向上し、飛躍的に改善したという。驚きの進化を果たしたSJ8+の詳細を、ダンロップ開発者に聞いた。

◆深雪やぬかるみを走る、クロカン車に適したタイヤ

都市型SUV向けのスタッドレスタイヤWM03と、よりハードな雪道も想定したクロカンSUV向けのSJ8+。キャラクタの違う2種類のラインアップが揃った

ダンロップといえば、2020年シーズンに登場したスタッドレスタイヤ『WINTER MAXX 03(WM03)』の評価が高い。特に、コストパフォーマンスの高さが好評で、「満足度肯定率は95%」も得ているそうだ(ダンロップ調べ)。

WM03は、コンパクトカーから都市型SUVまで広くターゲットとしているのに対して、SJ8+は山岳路の深雪から泥濘路(ぬかるみ)のような路面まで走るクロカンをターゲットにしたもの。ちなみにSJ8+とは、「スノー(S)・ジョイフル(J)・通し番号の(8)・改良(+)」のこと。クロカン・トレイル車向けの新作タイヤとしての位置付けとなる。

雪の降る山間部まで仕事に行く際や、山奥の雪深いスキー場に向かう場合など、荒れた環境の雪道を走る可能性があるならば、SJ8+のほうがベターだということだ。「都市型SUVか、クロカンSUVか」のように、用途別にスタッドレスタイヤを作り分けていることで、SUVユーザーがニーズに応じて選択できるというのは、非常にありがたい。

◆素早く水膜を除去し、滑る前に密着させる

密着力の上がるナノ凹凸ゴムを採用。2020シーズンで登場したWM03にも採用されたダンロップの新技術

SJ8+は、SJ8で実績のあったトレッドパターンはそのままに、ゴムのコンパウンドを、WM03で開発した「ナノ凹凸ゴム」へと変更することで、氷上性能を大幅に高めた。冒頭で紹介した「氷上ブレーキ14%向上、氷上コーナリング性能11%向上」は、この改良のみで実現できているというのだから驚きだ。

冬道で怖いのは、氷ではなく「表面の水」だ。溶けた雪や氷が作る水膜がタイヤと氷面密着を妨げ、タイヤが滑る原因となる。そのため「止まる」ための解決策は、素早く水膜を除去し、滑る前に密着させる、これに尽きる。

ダンロップのエンジニアによると、「氷で滑る」のはほんの一瞬の出来事であり、氷に超速で密着することが重要だという。その解決策として登場したのが、WM03で導入した「ナノ凹凸ゴム」だ。

水膜にいち早く到達する凹凸構造と、水との密着を高める柔軟性を持ち合わせた、柔らかめのコンパウンドとなっている。その結果、除水にかかる時間はWM SJ8に比べ、1.5倍~2倍(ダンロップによる数値)にもなり、氷面との高い密着力を発揮したという。

◆ライフも十分確保

先代のSJ8に対し、SJ8+では氷上コーナリングとブレーキ性能を高めた。ライフは若干落ちるが、5000km×4シーズンは性能維持が可能(スタッドレスタイヤの標準的なライフ)だ。

ナノ凹凸ゴムは柔らかいコンパウンドのため、ライフが気になるところ。そこで、ゴムの柔らかさを維持する「液状ファルネセンゴム」という成分を配合するなど、対策は十分なされている。ダンロップによると「摩耗が起きても、常にフレッシュなナノ凹凸面がトレッド面に現れるように設計しているため、1シーズン5000km × 4シーズン程度であれば性能維持できる」という。

用意されるサイズはSJ8から16サイズ増え、175/80R15から265/50R22までの全54サイズとなった。価格はオープンプライスとなる。

全54サイズを用意

《吉川賢一》

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