メルセデスベンツ、EVを全セグメントに…2025年以降の新型車は次世代車台ベースのEVのみに

2030年までのEVへの投資は400億ユーロ以上に

EVプラットフォームを3種類に集約する戦略

バッテリーを生産する8つのギガファクトリーを計画

メルセデスベンツのEVラインナップ(開発プロトタイプも含む)
メルセデスベンツのEVラインナップ(開発プロトタイプも含む)全 13 枚

メルセデスベンツ(Mercedes-Benz)は7月22日、2022年までにEVを全セグメントに投入し、2025年以降の新型車は次世代車台ベースのEVのみにすると発表した。

2030年までのEVへの投資は400億ユーロ以上に

EVシフトを加速するために、メルセデスベンツは研究開発への投資を増額する。2022~2030年までのEVへの投資は、400億ユーロ(約5兆2000億円)以上となる見通し。 「EVファースト」から「EVオンリー」への移行に伴い、内燃エンジンとプラグインハイブリッド(PHV)技術への投資は、80%減少するという。

メルセデスベンツは、英国を拠点とする電気モーター製造会社のYASAを買収する。この買収契約により、メルセデスベンツは、次世代の高性能モーターを開発するために、YASAが持つ軸方向磁束モーター技術とノウハウを利用できるようになる。

その一方、自社開発の「eATS 2.0」などの電気モーターは、インバーターとソフトウェアを含むシステム全体の効率と全体的なコストに明確に焦点を当てた戦略の重要な部分とする。世界最大の新エネルギー車(NEV)市場の中国は、メルセデスベンツの電動化戦略を加速する上で、重要な役割を果たすことが見込まれるという。

EVプラットフォームを3種類に集約する戦略

メルセデスベンツは2025年以降の新型車を、次世代車台をベースにしたEVのみにする予定。2025年に、3種類のEV向けアーキテクチャを導入する計画だ。

3種類のEV向けアーキテクチャの中心になるのが「MB.EA」だ。MB.EAは、メルセデスベンツのすべての中型から大型の乗用車をカバーし、将来のEVラインナップの電気バックボーンとして、スケーラブルなモジュラーシステムを確立することを目指す。

また、「AMG.EA」は、テクノロジーとパフォーマンス志向のメルセデスAMGの顧客に向けた専用のパフォーマンスEVプラットフォームになる。

さらに、「VAN.EA」は、EVバンと小型商用EV向けの専用車台になる。将来的には、排出ガスを出さない輸送と都市に貢献することを狙う。

バッテリーを生産する8つのギガファクトリーを計画

バッテリーに関しては、メルセデスベンツは200GWh(ギガワットアワー)以上のバッテリー容量を確保するために、バッテリーセルを生産する8つのギガファクトリーを設置することを計画している。8つのギガファクトリーは、バッテリーシステムの製造に特化した9工場のネットワークに追加される形となる。次世代バッテリーは高度に標準化されており、すべてのメルセデスベンツの乗用車と商用車の90%以上で使用できる柔軟性を備えているという。

バッテリーセルの生産に関しては、メルセデスベンツは新しいヨーロッパのパートナーと協力して、将来のバッテリーセルとモジュールを開発し、効率的に生産する計画だ。これにより、EV時代が到来しても、ヨーロッパが自動車産業の中心地であり続けることを目指す。また、バッテリーセルの生産は、メルセデスベンツのパワートレイン生産ネットワークを変革する機会になるという。

メルセデスベンツは、最先端のバッテリーセル技術を乗用車や商用車に搭載することで、EVの航続の拡大を目指している。メルセデスベンツは次世代バッテリーの開発において、SilaNano社などのパートナーと協力。アノードにシリコンと炭素の複合素材を用いることで、エネルギー密度をさらに引き上げる。これにより、長い航続と短い充電時間を実現していく。ソリッドステートバッテリー(全固体電池)技術に関しては、メルセデスベンツはさらに高いエネルギー密度と安全性を備えたバッテリーを開発するために、パートナーと協議しているという。

ダイムラーとメルセデスベンツのオラ・ケレニウスCEOは、「EVシフトは、とくにメルセデスベンツが属する高級車セグメントで加速している。転換点は近づいており、2020年代の終わりまでに、EVのみに切り替わる準備ができている」と述べている。

《森脇稔》

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