三菱電機 漆間新社長「先頭に立って企業風土の刷新と信頼回復に全力を挙げて取り組む」

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三菱電機は7月28日、漆間啓取締役専務執行役を社長に昇格させる人事を発表した。併せて不正検査問題で辞任を表明していた杉山武史社長が、同日付で特別顧問に退くことになった。会見には漆間新社長のほか、指名委員長を務める藪中三十二社外取締役も出席した。

「今回は指名委員会がイニシアチブをとって判断した。従来の社長が次期社長を推薦する方法とは違うやり方をとった。今、三菱電機が抱える問題に対応するためには、現場を知り、従業員から信頼されている人物でなければいけないということで、社内から候補を選び、執行役ら数十人から最終的に6人まで絞り込んだ。人格やリーダーシップ、変革への熱意、従業員からの信頼といった観点から適任が誰かを考え、結果的に漆間氏になった」と藪中社外取締役は説明する。

ただ、社内昇格では今までと変わらず、社内の改革も進まないのではないかという見方も少なくない。事実、質疑応答ではそのような質問も飛んだ。

それに対して、藪中社外取締役は「結果を見ていただくしかない。漆間氏は部下からの評価が非常に高かった。外部のコンサルタントが複数の候補者にインタビューした中でも評価が高かった」を回答。

新社長に就任した漆間氏は1959年7月生まれの62歳、大分県出身。82年に早稲田大学商学部を卒業後、三菱電機に入社。FAシステム業部部長、国際部次長、国際本部欧州代表を経て、2015年に常務執行役(FAシステム事業担当)に就任。その後、18年に専務執行役(社会システム事業担当)、20年に取締役専務執行役(経営企画、関係会社担当)に。

「複数の労働問題への反省に立った風土改革を進めている最中に、深刻な品質問題が相次いで判明した。今、当社グループの信頼は失われ、1921年創立以来、危急存亡の時に直面している」と漆間新社長は述べ、こう強調した。

「新社長として私に課せられた使命は変革だ。企業風土の抜本的な改革を推し進め、新しい三菱電機グループを作ること。そして、一連の問題で失われた社会からの信頼を再び取り戻すこと。この2つに尽きる。私自身が先頭に立って、企業風土の刷新と信頼回復に全力を挙げて取り組んでいく」

社長交代につながった不正検査問題の全容解明はこれから本格的に始まる。9月をメドに外部の調査委員会の結果や再発防止策を公表することになっているが、新たな不正が発覚する可能性もある。

「膿を出し切る」と話す漆間新社長は、品質に関わる担当執行役を外部から招く方針を示したが、内向きの三菱電機をどこまで変えることができるのか注目される。

《山田清志》

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