【ルノー カングー ディーゼルMT 新型試乗】ディーゼルを微塵も感じさせないエンジン…中村孝仁

ルノー カングー リミテッド ディーゼルMT
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それにしてもルノー『カングー』は偉大なクルマだと思う。初代が日本に導入されたのが2002年。ほぼ20年をかけてこのクルマは日本でライフスタイルカーとして完全に確立された地位を得た。

ご存知だろうがすでに本国では3代目のモデルが発表されていて、日本市場には2022年に導入が予定されている。つまり現行モデルは今年がファイナルイヤーというわけである。そんなファイナルイヤーにもかかわらず、限定車とはいえこれまでになかったディーゼルエンジン搭載車が登場した。リリースが出たのは7月1日。限定400台で6速MTと組み合わされる。

後発のライバルのシトロエン『ベルランゴ』やプジョー『リフター』対策ともいえるこのモデル、ところが400台などという数はすでに熱心なマニアが存在するカングーにとってはいとも簡単にクリアできる数字のようで、この原稿を書いている時点でほぼ完売だそうである。それどころか、ラインナップモデルのカングーもほぼ完売状態だというから、その人気の高さを窺い知ることが出来る。

というわけで今、現行カングーが欲しいというユーザーは、在庫を血眼になった探す必要がありそうだ。

ディーゼルを微塵も感じさせないエンジン

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個人的に1年前にほぼ購入寸前まで行ったクルマだから、その良さは十分にわかっているつもり。そして結果的にADAS機能が豊富で且つディーゼルを搭載してランニングコストが安いベルランゴをチョイスしたわけだが、改めてカングーに乗って見ると、このクルマの良さがとても良く見える。

とにかく一言で言って非常に乗り易い。まあ、見事なほど簡素で豪華なところなどこれっぽっちもないクルマだが、快適で、使い勝手に優れ、サイズ感を気にすることなくどんな所でもスイスイと走れる。まあ、ベルランゴも同じコンセプトなのだが、改めてカングーの魅力を味わうことが出来た。

件のディーゼルである。コードネームK9Kと呼ばれるこのエンジンは、オリジナルはすでに四半世紀以上前に作られたものだが、日本で排ガス規制を通すためにあれこれ改良を施したエンジンが今回搭載されたようで、新たに尿素SCRを吹き、ディーゼルパティキュレートフィルターを装備する。パフォーマンス的には116ps、260Nm(参考値)とライバルのベルランゴよりいささか劣る。

ただし、無類に静か。確かにアイドリング中はまあ、ディーゼルだろうな…(室内で聴いて)という程度のサウンドが聞こえるが、いざ走り出してしまうとディーゼルを微塵も感じさせない。言い方は悪いが少しガサツなガソリンエンジン的サウンドを発する。

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豪快なトルク、とはいかないが燃費は優秀

マニュアルを介するこのエンジン。ディーゼルの割には豪快なトルクというわけにはいかず、予想外に回転を上げて走ることを強いる。タコメーター内に1500~2250rpmの部分だけラインを引いてそこにECOの文字が躍る。要はこの回転域に入れておけば経済的な運転が可能だということを示すのだ。

併せてシフトアップ及びダウンのタイミングもインジケーターが指示するようになっているのだが、ディーゼルならアイドリングから少し立ち上がったくらいで十分ゆとりのトルクで走れるかと思いきや案外そうでもなく、1500rpmから落ちると使える有効なトルクを持たず、そこから踏んで行っても緩慢な加速しかしないから、ダウンシフトが強いられるといった具合。

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ただ、レブリミットはディーゼルとしては高回転の5250rpm。そこまでは回さなかったものの、高回転(ディーゼルとしては)は好みのようである。因みに6速MTのうち、4速以上はすべてオーバードライブ。そんなわけだから、5速以上はもっぱら高速でのみ使用できる。つまり市街地では4速までが精いっぱいで時々5速という状況だった。

WLTC燃費は総合で19km/リットルだそうで、なかなか立派な数値である。実際は250kmほど走って16.1km/リットルであった。だが、少なくともこれは我が家のベルランゴよりは優秀である。

3代目の登場も楽しみだ

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それにしてもその仕上げは如何にも素っ気ないというか味気ない。大型のバンパーは樹脂の無塗装だし、ホイールはテッチン。キャップすらつけていない。インテリアもソフトパッドは一切使わず、大きなダッシュボードはすべてハードプラスチック製。それ以外も実用性だけが考慮された素材選びとデザインが施されている。

今年上半期のルノー販売台数は4172台(JAIA調べ)。カングーの販売はおおよそ5割を占めると言われるから、2000台程度。しかし、今年に限って言えばすでにこの時期にタマ切れ状態なのだから、ルノージャポン的には「早く来い来い新カングー」なわけである。

ライバルが登場した今、果たして3代目も不動のライフスタイルカーとして人気を博すか?偉大なカングーだけに楽しみだ。そしてこのディーゼルカングー、次期モデルにも継続されるとシトロエンもうかうかしていられない。

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■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来44年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める

《中村 孝仁》

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