スズキが8月5日に電話会議で発表した2022年3月期の第1四半期(4~6月期)連結決算は、主力のインド販売の大幅な回復などにより、営業利益は前年同期比42倍の545億円となった。
これまで見送っていた通期予想を公表し、半導体不足から営業利益は減益とした。第1四半期の四輪車グローバル販売は2.4倍の62万4000台となった。前年のこの時期にロックダウンとなっていたインドは4.4倍の29万7000台まで回復した。ただ、コロナ禍前の19年の実績である37万台は大きく下回っている。日本は35%増の14万3000台となった。
営業損益の増益要因では、販売の回復による売上・構成変化等が1082億円に及んだ。為替も全通貨に対して4期ぶりに円安方向となり、全体で125億円の増益に作用した。一方で原材料費の上昇分は200億円の減益要因となった。売上高は99%増の8454億円、純利益は48倍の848億円となり、この期では3期ぶりの増収増益だった。
インドの新型コロナ情勢などの不透明感からこれまで見送っていた通期の業績予想を公表した。半導体の供給不足が今期末まで続くとの前提を元に、グローバルの四輪車販売は前期比5%増の271万1000台の計画としている。主力のインドでは11%増の販売を見込んだ。
マルチ・スズキ社で生産・輸出するジムニー売上高は7%増の3兆4000億円、営業利益は13%減の1700億円、純利益は2%増の1500億円を予想した。純利益は2期連続の増益だが、営業利益は4期連続の減益となる。
電話会議に出席した長尾正彦専務役員は、半導体不足による生産影響について「上期で何とか食い止めたいと思っていたが、今は期末まで避けられないとの認識をもっている」と述べ、期初計画に対しグローバルで約35万台の減産になるとの見通しを示した。このうち、生産量が最も多いインドでは「新型コロナの感染拡大も懸念材料として見ているが、稼働は何とかして維持したい」とし、改定計画に沿った生産の確保に努める方針だ。
スズキ・スイフト (インド仕様)