軍用車両の電動化、リチウムイオン電池の需要拡大…市場規模は2025年に86億ドル予測

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軍用車両の電動化の市場規模は、2020年の48億米ドルから年平均成長率13.0%で成長し、2025年には86億米ドルに達すると予測されている。同市場は、グリーン化を求める技術開発の進展により大きな成長を遂げている。欧州地域では、軍用車両の電動化ソリューションへの投資が拡大しており、市場を支配すると考えられる---。

MarketsandMarketsが発行した市場調査レポート『軍用車両の電動化の世界市場(~2030年):技術(ハイブリッド・完全電気)・システム(発電・冷却システム・エネルギー貯蔵・牽引駆動システム・電力変換)・プラットフォーム・動作・地域別』による予測だ。日本ではグローバルインフォメーションが8月2日に販売を開始した。

●抑制要因:軍用電気自動車の航続の制限

電気自動車は民生市場では発展しており、軍用電気自動車もすでに短くない歴史があるものの、防衛分野ではその地位を確立できていない。これは、軍のキャンプや人員用車両の要件に対し、電気自動車の機能や用途が限定されていることに起因する。防衛分野では航続に関する制限が、課題となっているという。

●牽引要因:軍用車両におけるリチウムイオン電池の需要拡大

レポートによると、最近の軍用車両では、車両用バッテリー技術開発への要求が高まっている。搭載する電子機器が増加しているため、電力やエネルギーの必要量が増え続けているいっぽうで、従来の鉛蓄電池は性能の限界に達しており、代替電池技術の開発が求められている。

リチウムイオン電池技術は、幅広い用途において主要な二次電池技術の一つとなっている。電極材料やセルの設計など、さまざまな面で改良されたことが要因だという。電子機器を多く搭載した軍用車両は、大量の電力を必要とするため、放電率が高くなり、電池容量が課題になることが予想される。リチウムイオン電池は、鉛蓄電池に比べて高い比エネルギー(質量あたりのエネルギー)、エネルギー密度(体積あたりのエネルギー)、充放電サイクル寿命を有している。

また軍用車両では、仕様の類似したバッテリーを使用することで、混在する車種間で共通性が確保され、アップグレードが容易になるというメリットも期待される。“サイレントウォッチ”(無音偵察)の耐久性を向上させるという点で、リチウムイオン電池は大きな可能性があるという。

《高木啓》

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